ポーランドのエンジニアリング専攻学生3人が起業した大気質監視サービスのAirlyが2億円調達

山火事の煙が米国西部の空を覆い、そして大気汚染が世界に広がる中、空気の質は文明社会が解決すべき問題となっている。

工業化や気候変動によって引き起こされた自然災害は有害な物質を大気に放出しており、世界中の政府は大惨事と経済成長の組み合わせが市民にとって何を意味するのか注視している。

ポーランドのクラクフを拠点とするエンジニアのチームが、大気の質を正確に測定するAirly(エアリー)を立ち上げた。自分たちが住む街の大気の質を知りたかったのが始まりだ。

エンジニアリングを専攻する3人の学生、Michal Misiek(ミハル・ミシェック)氏、Wiktor Warchalowski(ヴィクトル・ウォシャウスキー)氏、 Aleksander Konior(アレクサンダー・コニオール)氏によって設立された同社は、大気中の粒子状物質、窒素酸化物、硫黄酸化物、メタン、一酸化炭素などの排出を測定するのにセンサー技術とソフトウェアを組み合わせている。

「最善のデータを提供するためにソフトウェアとキャリブレーションアルゴリズムを活用しています」とCEOを務めるウォシャウスキー氏は話した。大気の質を収集するだけではない。3人は、収集したデータに基づいて最大24時間先の大気質を正確に予測できるとするアルゴリズムを開発した。

現在の大気質評価ツールのマーケットは約40億ドル(約4200億円)で、2025年までに65億ドル(約6800億円)に成長することが見込まれている。すでにAirlyのテクノロジーは、Philips(フィリップス)、PwC(プライスウォーターハウスクーパークーパース)、Motorola(モトローラ)、Aviva(アビバ)、Veolia(ベオリア)、Skanska(スカンスカ)などの大学や企業が欧州やアジアの400都市で使用している。またAirlyはAPIを提供しており、メディアやテクノロジー、金融の企業はリアルタイムの大気質データにアクセスできる。周囲の空気の質について知りたい消費者向けのアプリもある。

大気質評価組織であるフランス拠点のAirparifは、これまでで最も正確な大気質デバイスだと評してAirlyに賞を贈った。

同社の始まりは、ウォシャウスキー氏と同氏の友達がマラソンに向けてトレーニングする際に、大気汚染への露出を抑えるためにどの時間帯が走るのに最適かを知りたいと思ったことだった。「私が午後5時に走りたかったときに参照したデータは午後2時のもので、最新ではなかったのです」と同氏は話した。

今や200万人以上が同社のアプリを使用している。「私のようにデータを必要とする人が多いのです」と同氏は述べた。

AirlyはiPhoneほどのサイズのデバイスを消費者やコミュニティに販売し、またAPIへのアクセスを有料にすることで収入を得ている。デバイスは300ドル(約3万1600円)で、APIへのアクセス料金は1000ドル(約10万5300円)〜だ。

手元の収益、そして業界をリードする大気質モニタリング組織のお墨付きもあって、Airlyは新しく組織された投資会社Giant Venturesがリードしたラウンドで200万ドル(約2億1000万円)を調達した。ラウンド参加者はSir Richard Branson(リチャード・ブランソン)氏とSir Ronald Cohen(ロナルド・コーエン)氏の家族、Pipedrive共同創業者のMartin Tajur(マーティン・タジュル)氏、 Cherry VenturesのパートナーでSpotifyの元CMO、Sophia Bendz(ソフィア・ベンズ)氏、Gojekの元CMO、Piotr Jakubowski(ピョートル・ジャクボウスキー)氏、Henkelの役員Konstantin von Unger(コンスタンティン・ヴォン・ウンガー)氏だ。

Giant Venturesのマネージングパーパートナーで共同創業者のCameron McLain(キャメロン・マックレーン)氏は「世界の大気質データの主要ソースを構築することで、Airlyは巨大な社会的かつ経済的価値を創出しています」と話している。

カテゴリー:EnviroTech

タグ:Airly 資金調達

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(翻訳:Mizoguchi