FCC現委員長のネット中立性悪者説はすべて正しくない、と同僚の委員が指摘

2015年に、当時FCCの委員だったAjit Pai〔現委員長〕は、新たに制定されようとしていたネット中立性規則(net neutrality rules, NNR)に彼が反対票を投じる理由を詳細に述べた、長編のペーパーを委員会に提出した。彼はその中で、それらの規則がもたらす害について、たくさんの予言をした。そして今日(米国時間11/30)、同委員会のClyburn委員が、それらの予言のほとんどすべてが当たっていないことを指摘した

FCCのWebサイトにポストされた短いが要を得たドキュメントでClyburnは、現委員長の黙示録的予言の数々を取り上げている。曰く、この新しい規則で料金の規制ができるようになるだろう。曰く、FCCがISPにサービスの内容や方式を指示するようになるだろう。曰く、そしてもちろん最終的には裁判所が〔NNRを〕無効と裁定するだろう。…などなど。

言うまでもなく、そのどれも起きていない。いくつか、例を挙げよう:

Pai委員長: 法廷はこの不法な越権行為を支持しないだろう。
: 連邦控訴審は2015年の命令(NNR)を二度支持し、Paiが異議申し立ての根拠としている法的解釈のすべてを却下した(彼は同じ解釈をDestroying Internet Freedom Orderの草案で再び持ち出している)。

Pai委員長: ISPがGoogle Fiberのようなことをして市場に徐々に参入しようとすると、FCCはnoと言うだろう。
: FCCがブロードバンドの市場参入に対し規制を課したことはない。

Pai委員長: NNRに盛られているFCCの権限行使や規制の差し控えは一時的である。
: FCCがNNRで認められている権限不行使を撤回したことはまったくない。

Pai委員長: ブロードバンドの新しいユニバーサルサービスの料金が導入されるだろう。
: 新しいブロードバンドユニバーサルサービスの料金は導入されていない。

Pai委員長: ネットワークのアーキテクチャと設計に関する決定権はもはやエンジニアではなく官僚や法律家が手にするだろう。
: ネットワークのアーキテクチャと設計に関する決定権は確固として
エンジニアたちの手にあり続けている。FCCの行為がインターネットのネットワーク設計を指令したことは一度もない。

皮肉にも、この最後の予言は、彼の予想とは違う、別の形で事実になった。Pai自身の「インターネットの自由を回復する」の指令は、記録が残っているだけでも数百人ものエンジニアたちが、それ〔Paiの指令書〕を書いた官僚や法律家たちはネットワークのアーキテクチャと設計を根本的に誤解している、と説明している。

Clyburn委員による Paiの誤謬指摘の全文は、ここで読むことができる。本誌のインタビュー記事はここにある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ネット中立性の擁護者たちが12月7日に全国のVerizonショップで抗議集会を開く

12月14日にFCCが、自由でオープンなインターネットを護(まも)るオバマ大統領時代の政策を撤廃するか否かの票決を行う。票決は昨日(米国時間11/21)発表されたが、そのときFCCは、 2200万という歴史的な数に達したコメントへの言及を避けた。コメントの大多数は、撤廃に反対していた。

そのことに対する抗議集会が、12月7日に全国のVerizonのショップ(の店頭)で行われる。抗議集会を組織したのは、Demand Progress, Fight For The Future, そしてFreePress Action Fundだ。

主催者団体のページに、主旨が述べられている:

FCC委員長Ajit Paiは明らかにまだVerizonの社員であり、公人ではない。しかしそんな彼でも、議会の質問には答えなければならない。そこでわれわれは議員たちに働きかけて、FCCの監視という彼らの仕事を為し、その一環として、第二条ネットの中立性の保護を骨抜きにしてVerizonなどの大手ISPたちに彼らが望むクリスマスギフトを与えようとする、Ajit Paiのプランに議会として反対するよう、呼びかけるものである。

ネット中立性について短時間で知りたい人は、下のJohn Oliverの説明を聞くか、以前の本誌記事を読んでいただきたい。

簡単に言うとネット中立性とは、ISPがインターネットに‘高速レーン’を設けて、彼らが好む、または彼らに大金を払うコンテンツやWebサイトを優遇することから、消費者とインターネットを護(まも)ることである。

ではなぜ、抗議集会をVerizonのショップでやるのか?

FCCの委員長Ajit Paiはそれまで、Verizonの社員で顧問弁護士だった。またVerizonはネット中立性の強硬な反対者で、撤廃のためのロビー活動を行い、第二条を捨て去るための訴訟に数百万ドルを支出している。

編集者注記: VerizonはOathの親会社であり、OathはTechCrunchの親会社である。

〔関連記事:
ニューヨーク州司法長官がFCCのネット中立性に関する公聴コメント無視を批判(未訳)
FCCが「インターネットの自由の回復」の最終案を発表…それは全然自由じゃない(未訳)、高速レーンの設置など顧客の差別は私企業としてのISPの自由である、とするAjit Paiらの説。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

800社あまりのスタートアップがFCC委員長にインターネットの中立性を殺すなと陳情

今日(米国時間4/26)FCCのAjit Pai委員長が、通信業界の大企業の利益のために消費者保護を放棄する彼の計画の概要を公表した。

大手通信企業はPaiのFCC改革に期待していたが、テクノロジー業界の誰もがそうだったわけではない。Paiの発表のあと、テクノロジー業界の800名あまりのグループがPaiに、インターネットの中立性(net neutrality)を担保している規則を廃棄しようとする彼の計画を、企業経営者として非難する声明を送付した。

巨大通信企業ではないテクノロジー企業にとっては、以下が最重要の争点となる:

“… アメリカのスタートアップのエコシステムの成功は、ブロードバンドのスピードの向上以上のものに依存している。私たちは、オープンなインターネットにも依存している。それには、強制力を伴うインターネットの中立が含まれ、それによって大手ケーブル企業が私たちのような者を差別できないようにならなければならない。既存の法的枠組みを無にしようとする貴官の意図が、私たちにはとても心配である。

インターネットの中立性がなければ、インターネットへのアクセスを提供している既存企業が、市場の勝者と敗者を決められるようになる。彼らは、自分たち自身のサービスや既存の競合企業を優遇するために、私たちのサービスのトラフィックを妨害できるだろう。あるいは、彼らは私たちに新しい料金を賦課して、消費者の選択を妨げることができるだろう。そのような行動は、起業家の、“事業を創始し、ただちに全世界の顧客ベースに到達し、業界全体に革新をもたらす”能力を、直接的に妨害する。私たちの企業は既存企業と、製品とサービスの質で競合できるべきであり、インターネットアクセスプロバイダーへの料金の支払い能力によってであってはならない”。

Y CombinatorとTechstarsとEngineを発起人とするこの書簡は、テクノロジー業界にインターネットの中立性を支持する大群が存在することを示している。その大群は、投資家やインキュベーター、スタートアップ、プログラミングスクールなどから成る。全文を以下に埋め込んでおこう。

〔訳注: ここに書簡ドキュメントが見られない場合は、原文の末尾を見てください。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

アジット・パイFCC委員長、ネット中立性について今週、講演予定

FCC〔連邦通信委員会〕のアジット・パイ(Ajit Pai)委員長がインターネット中立性問題に関して手の内を見せるようだ。Reutersの記事によれば、パイ委員長は「インターネット規制の将来」について水曜日(米国時間) に講演する予定だ。

TechCrunchはFCCに委員長の講演が行われることを確認したが、講演のテーマは公式発表されていないという。パイ委員長はバルセロナで開催されたMWCでこれまでのFCCのインターネット規制のアプローチに関して「強権的で古臭いやり方」だったと批判していた。

Broadband Privacy Rule(ブロードバンド・プライバシー規則)はFCCが自ら廃止しなくても Congressional Review Act〔議会審査法〕によって無効とされる可能性がある。またFCCのゼロ・レーティングに関する調査の中止も、そもそもこの調査自体が強制力のないものだった。しかし2015年のOpen Internet Order〔オープン・インターネット指令〕はFCCのインターネット規制の根拠となる重要な命令であり、無造作にしまいこめるような存在ではない。今週予定されている講演はFCC委員長が2年前にFCCが獲得したネット通信に対する規制を撤廃する計画を公に説明する最初の機会となる。

これまでに明らかにされたパイ委員長の姿勢から推測できるのは、パイ委員長はトム・ウィーラー前委員長の政策に反対であり、インターネット・サービスをタイトルII〔電気通信サービス〕ではなく、タイトルI〔情報サービス〕に分類すべきだと考えているという点だ。

パイ委員長はタイトルⅡを根拠とする前委員長の方針を違法だとしており、インターネットの規制に関してFCCは権限を逸脱していると批判している。もしパイ委員長がインターネットに関するタイトルⅡの権限を正式に否定するなら、ネット中立性に関する規則は事実上効力を失うことになる。つまり法律があっても警察がない状態のようなものだ。おそらくはその代りに別の(願わくばより優れた)規則が制定されるはずだが、それには数ヶ月かそれ以上かかるのが普通だ。その間、ネット中立性に関しては強制力のある規則がない状態となる。

仮にこうしたアプローチが取られるとしても、インターネット中立性問題に関する指令の無効化にはプライバシー規則の撤廃などよりはるかに時間がかかり、多大の準備が必要となるだろう。プライバシーに関する規則にしても、まだ無効化は効力を発揮しておらず、依然としてCongressional Review Actの適用を受ける可能性ある期間内だ。

パイ委員長が講演するイベントはFreedomWorksの主催だ。これは右派リバタリアン系の組織でオバマケアの撤廃を主張したことがある(この団体は自サイトでTechCrunchのイラストのいくつかを無断で使用しているのでひょっとすると著作権にも反対しているのかもしれない(もちろん単なる不注意かもしれない。問い合わせ中だ)。

なおSmall Business and Entrepreneurship Councilもイベントの共催者だ。この協議会もBroadband Privacy Ruleの撤廃を含めて最近のFCCの政策には全面的に賛成している。両組織にコメントを求めてあるので、なんらかの回答があればアップデートする。

画像:Tom Williams/CQ Roll Call/Getty Images

〔日本版〕Congressional Review Actにより、議会は連邦行政庁の規則、命令に関して上下両院共同の反対決議を行うことができ、行政庁が一定期間内に決議の趣旨に沿った新たな規則等を制定しない場合には自ら無効化できる。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+