科学の文献を自然言語処理などのAIの技法を使ってインデクシングするプロジェクトSemantic Scholarが、これまでのコンピューター科学に加えて、バイオメディカル(biomedical, 生物医学)の研究文献数千万点を新たに加えた。これで、この、この有益なツールがカバーする分野がさらに増えたことになる。
Allen Institute for AI*が作ったSemantic Scholarは、これらのペーパーの全文をスキャンし、そのトピックや図表、キーワード(薬品名、臓器名など)などでそれらの関連付けを行う。〔*: Allen Institute for AI, Microsoftの協同ファウンダーPaul Allenが2013年に立ち上げ。〕
今日では大量の文献が毎日のように発表されていて、その蓄積量がますます膨大になりつつある。それらを適切にレビューすることは、一人の研究者だけでなく、チームでも不可能だ。6年前のペーパーにたまたま、ノルエピネフリンの製造過程における副産物の微弱な医薬効果が書かれているが、それがメインの発見ではなく、あるいは別の分野のジャーナルに載っていた、という場合、今の研究者はそれをどうやったら見つけることができるのか?
これら何百万ものペーパーを取り込んで、細かいことでも研究者が見つけられるようにするのがSemantic Scholarの目的だが、最近までそのシステムはコンピューター科学の文献に限定されていた。今回、いくつかのバイオメディカルの研究分野が加わったので、そこになたのペーパーもあるか、確認してみよう!
このWebツールの今回のアップデートにはUIの改良が含まれ、利用者の関心に即したトピックやタグが見つけやすくなり、また、各分野の最新の研究動向も分かるようになった。それによりたとえば、ユーザーが知らなかった新しい薬やテクニックが浮上してくることもありえる。
このツールは誰でも利用できるが、もちろん誰にとっても便利とは言えない。風邪薬を探していたり、あるいはあなたが古生物学者だったら、ここはあまり役に立たない。でも、今後対象分野が徐々に増えていくと、それも変わるかもしれない。
〔関連記事〕