Amazonがユーザー生成ビデオ市場でも独自のサービスをスタートさせたことが明らかになった。今朝(米国時間5/10)のAmazonが突如発表したAmazon Video Directgは、クリエーターがビデオをAmazonのプライム・ビデオにアップロードし、ストリーミング時間に応じたロイヤルティーを受け取れるというものだ。
クリエーターの収益化にはいつくつかのオプションが用意されており、買い切り、レンタル、広告入り、無料などが選べる。また一連のビデオをパッケージしてプライムビデオに付加される有料チャンネルとすることもできる。このアドオン・サブスクリプションのシステムを利用するためにはストリーミング・パートナー・プログラムに参加することが必要で、Amazonでは大手のビデオ製作企業を念頭に置いている。
クリエーターにとってはAmazonプライムの巨大なユーザーベースが魅力的だろう。、手続き上の面倒が少ないセルフ・サービスで「何千万ものプライム・ビデオ会員にリーチできる」とAmazonは指摘している。
Amazonのプライム会員の大部分はすでにプライム・ビデオを利用している。なんといってもプライム会員になるだけでNetflixに匹敵するビデオが無料で見られるというのは有利だ。コンテンツにはキー局のテレビ番組に加えてハリウッド映画のヒット作、Amazon製作のオリジナル作品も含まれている。
Amazonによれば、クリエーターは登録した作品が視聴可能な地域もコントロールもできるようになるという。現在プライム・ビデオが利用可能な地域はアメリカ、ドイツ、オーストリア、イギリス、それに日本だ。
アップロードされたビデオはAmazonのビデオが利用できる地域ならいつでも繰り返し再生できる。これにはAmazonのFire TVに加えてiOS、Android、デスクトップ、ゲーム専用機、インタネット接続テレビなどのデバイスが含まれる。
他のビデオ・サービスと同様、クリエーターは視聴統計を入手してパフォーマンスをチェックすることができる。ローンチの時点ではタイトルが視聴された延べ時間、推定される売上、ロイヤルティーの支払履歴、サブスクリプション登録者数などだ。この統計にもとづいてクリエーターは効果をアップさせるための各種調整が行えるとAmazonは述べている。
エンタテインメント業界誌の大手、Varietyによると、ビデオのロイヤルティーについては、売り切り、レンタル、サブスクリプションともにAmazonが売上の50%を得るという。プライム・ビデオでストリーミングされた場合、アメリカでは1時間ごとに15セント、アメリカ以外の地域では1時間6セントがクリエーターに支払われるようだ。ただし年額7万5000ドルが上限となる。
新しいビデオ・サービスは頭文字を取ってAVDと略称される。Amazonでは新プラットフォームのプロモーションのためにAVD Starsというユニークはシステムをスタートさせる。AVD Starsプログラムには毎月100万ドルの賞金が投じられ、視聴時間に応じてクリエーターに与えられる。Amazonは賞金をAVDタイトルのトップ100本に配分するようだ。AVDプロモーション・プログラムは今日すでにスタートしている。登録したクリエーターに対する最初の賞金配分は6月1日から30日までの実績に応じるものされる。
Amazonは新プログラムへの大手企業の参加者として、 Conde Nast Entertainment、HowStuffWorks、Samuel Goldwyn Films、The Guardian、Mashable、Mattel、StyleHaul、Kin Community、Jash、Business Insider、Machinima、TYT Network、Baby Einstein、CJ Entertainment America、Xive TV、Synergetic Distribution、Kino Nation,Journeyman Pictures、Pro Guitar Lessonsの各社を挙げている。
こうしたパートナー企業の顔ぶれを見てわかることは、YouTubeが多数の一般ユーザーの日常的なビデオのアップロードをメインとしているのに対して、AMDはメディア系大企業やMCN(マルチチャンネル・ネットワーク)などの本格的なビデオ・クリエーターを主な対象としているということだ。AMDのライバルはYouTubeよりむしろVimeoのようなサービスかもしれない。
なおAmazonでは最近、プライム会員のメンバーシップとは別に、月額8.99ドルの会費でプライム・ビデオだけを独立のサービスとして申し込めるようにしている。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)