AWSが多売で薄利をまたスケールアップ, DBのストレージとIOPSの上限を3倍に

Amazon Web Services(AWS)は、Relational Database Service(RDS)のデータベースインスタンスに対して配備できるストレージの最大量を、これまでの3倍にする

AWSのブログには、ストレージのI/OスピードIOPSも3倍にする、と書かれている:

今後作成するDBインスタンス(MySQLまたはOracle)は、ストレージの最大量が3TB(これまでは1TBまで)で、最大30000IOPS(これまでは10000)となる。SQL Serverを使うDBインスタンスは、最大ストレージが1TB 7000IOPSとなる。m2.4xlargeの上のリード/ライト各50%のワークロードに対しては、Oracleで最大25000IOPS、MySQLで12500IOPSとなる。しかしながら30000IOPSの配備では、レイテンシの低下とスループットの向上が可能となる。実際のIOPSは、データベースのワークロード、インスタンスタイプ、使用するデータベースエンジンの違いに応じ、何を配備したかによって異なる。詳細については、Amazon RDS User GuideのFactors That Affect Realized IOPSを見ていただきたい。

AWSのユーザはデータベースの既存のインスタンスに関し、ストレージとIOPSの変更が可能である。それはユーザが、高速で予測可能なパフォーマンスを得られるためだ。

また、ストレージとIOPSのどちらかを単独でスケールすることも可能だ。

RDSは、MySQLやOracle、そしてSQL Serverを使ってデータベースをセットアップ、管理、そしてスケールする際の、“面倒な低レベル作業”をすべて肩代わりする。

上記3つの機能は、今すでに利用できる。IOPSの配備(プロヴィジョニング)が可能なリージョンならどこでもOKだ。

ストレージとIOPSのリミット3倍化は、顧客が保存し処理するデータの質・量に応じた最適インフラを提供していくという、AWSの近年のポリシーの一環だ。この”コスト重視“のコンセプトは、AWSが掲げるアーキテクチャでもある。そのことは、今回の最新アップデートにおいても明らかだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


VMwareの経営者たちがAmazonを攻撃, でもその吠え声はうつろに響く

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VMwareは最近のAmazon Web Servicesのエンタプライズ市場進出に対して、過剰に戦々恐々しているようだ。

CRNの報道によると、VMwareのCEO Pat Gelsingerは、今週行われたあるパートナー企業のイベントで、顧客がワークロードをAmazonに移すたびに、そのパートナーはVMwareを失うだけでなく、自分のビジネスを永遠に失うのだ、と述べた:

Gelsingerはこう言った: “われわれは企業のワークロードを自分の手の中に持っていたい。それらが、あのような安っぽい日用品的なパブリッククラウドに移ってしまえば、われわれは完全に負けだ。われわれは自分たちのフランチャイズをプライベートクラウドからパブリッククラウドへ拡張し、顧客に両方の利点を提供していきたい。わが社にしか提供できない、そのようなユニークなサービスにより、企業のワークロードを今および永遠に、手中にしていたい”。

VMwareの社長でCOOのCarl Eschenbachは、ずばりこう言う:

今日この席にお集まりのみなさまは、企業世界におけるVMwareブランドの高い評価をご存じです。ですから、私たちが一致団結すれば、本を売っている会社を打ち負かせられないことは、ありえないでしょう。

これらの言葉には、破れかぶれのようなトーンがある。これらの言葉は、聴衆に、VMwareのプロダクトへの信頼を植え付けるよりもむしろ、不安をかき立てるだろう。しかもそれは、必要のない言葉であり、それに、あまりにもベタだ。

Gelsingerは、AWSのハードウェアは安物の日用品だ、とけなす。Eschenbachは、Amazonは本を売ってる会社だ、と軽蔑する。どちらも正しくない。

今ではAWSだけでなく、GoogleもRackspaceもFacebookも、日用品的なハードウェアを使っている*。安いし、ソフトウェアを動かしやすいからだ。ソフトウェアを作るのはデベロッパだ。そしてデベロッパが作っているのは、労働者たちが自分のGalaxyスマートフォンやiPadから使うアプリケーションだ。今では、ハードウェアをオープンソース化しようとする動きすらあり、OpenComputeような団体が関心を集めている。だからハードウェアは今後ますます安くなり、そしてイノベーションを加速する。今や、ハードウェアのハッカソンが行われる時代だ。〔*: 日用品的なハードウェア, Sun SPARKのような高価なサーバ専用機でなく、一般市販のx86機のこと。〕

消費者向けアプリケーションには日用品的ハードウェアが最適、という説がこれからは一般化するだろう。アプリケーション/アプリは、職場にも家庭にも、どこにでも転がっている。職場と家庭の境界も、曖昧になる。安いハードウェアが市場を支配するのも、当然だ。

Eschenbachの発言は、良く言っても陰険だ。今のAmazonは、本も売っているデータ企業だ。本のほかに、コンピューティングパワーとストレージとハイパフォーマンスコンピューティングのためのサービスも売っている。Hadoopのジョブやデータウェアハウスの能力も売っている。

私が話をしたVMwareの社員は、パートナーイベントではあのようなレトリックがふつうにある、と言った。でも、VMwareがなぜ、AWSの悪口を言うのか? 最近のVMwareは、おかしくなってしまったのか?

要するに、問題はコストだと思う。VMwareは、ライセンス料が高い。エンドユーザのコストを下げられるための、マルチテナントインフラがない。AWSは薄利多売型だから、たくさん安く売ることによって稼ぐ。

また、エンドユーザ側の選択の幅も問題だ。VMwareには、AWSが提供しているような各種サービスの深さがない。だから、その高料金を正当化できる根拠も実はない。

GelsingerらVMwareの経営陣がAWSをいくらけなしても、彼らの真の脅威は新世代のクラウドインフラストラクチャからやってくる。それは、ときにクラウド、ときにデータセンターでもあるようなインフラだ。OpenStackとCloudstackにはそのエネルギーと、新しいクラウドの活気がある。それが、エンドユーザ企業の新しい仕事のやり方にアピールする。ForresterのアナリストJames Statenが、いみじくも書いている:

平均的な企業のvSphere環境は、その企業のI&OチームがvCloud Directorを採用している場合でも、セルフサービスではない。それは、完全に構成された環境への迅速なアクセスを提供しない。それはChefのスクリプトを扱えないし、費用的にも、Visaカードで5ドルといった大衆的な大量トランザクションには向いていない。VMwareと企業のvSphereアドミニストレータが、新しいエンタプライズソフトウェアをつかまえるためには、彼らは考え方を変えて、ラジカルで企業文化的には困難なシフト、すなわちインフラストラクチャ管理からサービスのデリバリへのシフトを達成する必要がある。クラウドを悪者視するのではなく、クラウドから学ぶのだ。

パブリッククラウドの敵視は、vSphereアドミニストレータの立場を強くするだけであり、最前線のデベロッパにアピールしたいのなら、そのような敵視は間違いだ。vSphereをそのまま(プライベート)クラウドに乗せて、コスト構造に透明性がないまま、ワークロードのデプロイやヘルプデスクからのリクエストへの対応に二日もかかっているようでは、毎日々々、パブリッククラウドに負けることになる。

VMwareは今、ソフトウェア定義データセンターに注力して他社との差別化を図ろうとしている。VMwareの経営陣は、その取り組みをプレゼンすべきであり、AWSとそのエンタプライズ進出に対する不安をさらけ出すのは得策とは言えない。

しかしもっと重要なのは、VMwareが新しいクラウドに合わせる努力だ。空しい閧(とき)の声は、VMwareの深い弱点を表しているだけであり、AWSなどの新勢力は、その弱みに乗じ続けるのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

AWS(Amazon Web Services)がメッセージングとノーティフィケーション(通知)APIを値下げ

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Amazon Web Servicesがまた値下げをした。今回の値下げ対象は、二つのサービス: Simple Queue Service(SQS)と、Amazon Simple Notification Service(SNS)だ。

SQSは、複数のコンピュータ間を行き来するメッセージを保存するための、スケーラブルなキューを提供する。アプリケーションの各部位が分散しているとき、このようなメッセージングシステムによってお互いが正しく協調〜シンクしながら動くことができる。各部位そのものに、いちいち直接アクセスする必要がない。したがって、SQSを利用するとワークフローの自動化が容易にできる。デベロッパは、Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)とAWSのそのほかのインフラ的Webサービスとの正しい連動を確保できる。

SNSは、クラウドからの通知をセットアップし、操作し、送り出す。この通知処理により、アプリケーションからのメッセージをパブリッシュする、サブスクライバーたちやほかのアプリケーションに配布する、などのことができる。それは、Web上のコンピューティングをより容易にするための便宜の一つだ。

値下げの概要は以下のとおり:

  • SQS APIは50%値下げ、100万リクエストあたり50セントとなる。
  • SNS APIは17%値下げ、100万リクエストあたり50セントとなる。
  • SQSとSNSの無料層が拡大され、各月リクエスト100万までとなる。これまでの10万を一挙に10倍。

値下げの発効は明日(米国時間3/1)から。GovCloud(US)を除くAWSの全リージョンに適用される。

値下げは、このところのAWSの基本戦略の一環だ。この前はS3ストレージが値下げされた。AWSのその戦略は、いわゆる薄利多売だ。サーバ(サービス)のスケールが大きくなれば 、提供単価を安くできる。またボリュームディスカウントと提供コンピューティングパワーの拡大により、顧客に最適能力を提供できる。同時にAWS側の余裕も拡大し、ふたたび値下げが可能になる。そんな“善循環”をAmazonはねらっている。

値下げは、競争の激化のたまものでもある。Google Compute Engine(GCE)と、デベロッパたちに好評なWindows Azureも、共に値下げを繰り返している。オープンソースのOpenStackも、今後ますます、そのインフラストラクチャの可利用性を高めるだろう。だから、競争の激化はこれから加速する一方だ。値下げは、サービスの価値を高める重要な要素の一つになる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

企業のローカルネットワーク(LAN)をクラウド上に作れるPertino–もうハードウェアは要らない

Pertino

Pertinoが今日立ち上げたサービスを利用すると、中小企業などが自社のローカルネットワークを、ハードウェアもケーブルもいっさい使わず、完全にクラウド上に構築できる。

PertinoはAmazon Web Service(AWS)を使ってそのサービスを提供し、ユーザである企業はその上にセキュアなネットワークを大小を問わず作ることができる。かつて、そのようなネットワークを作るためには、高価なネットワーク機器に一財産を投じなければならなかった。今ではPertinoが、世界中にあるAWSのデータセンターでソフトウェアを動かすことによって、それを提供する。

Pertinoのサービスにログインした顧客は、適正なネットワークを構成するデータプレーンに接続することになる。それにより顧客企業は、社内的なネットワークをセットアップしてもよいし、あるいは契約企業や契約技術者たちとの一時的なネットワークを作ってもよい。そのネットワークの上では、ファイルの共有やリモートデスクトップサービスなども提供できる。ネットワークの規模の拡大〜縮小や高速化などの維持管理業務は、“software defined networking (SDN)”(ソフトウェア定義ネットワーク)によって行われる。

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SDNはいわば、ハードウェア上に構築されるネットワークのもろもろの機能をラップして抽象化するソフトウェアの層だ。ユーザはもはやハードウェアを操作せず、そのソフトウェアをネットワーキング装置として利用し操作する。SDNは、エンタプライズ市場に今起きていることを象徴している。ソフトウェアがハードウェアをリプレースして、新しいサービスを、顧客がハードウェアを直接購入していたときよりも安価に、かつよりベターに提供するのだ。今はどの業界にも、この変化が起きつつある。たとえば消費者はもはや、自分で店へ行ってビデオを借りない。自分でDVR機器を持たない。ビデオはすべて、Netflixがストリーミングしてくれる。消費者のところでディスクが陳腐化するように、企業がCisco、Juniperといった企業から買っていた高価なネットワーキング機器も陳腐化する。

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Pertinoは今非公開ベータだが、すでにそのソフトウェアを世界中のデータセンターにインストールしている。まだデータセンターの世界的な遍在という状況がなかった3年前には、同社のようなサービスは不可能だっただろう。最近の2年間でAWSは、シドニー、東京、サンパウロ、北米北西部地域などにデータセンターを開いてきた。そのデータセンターネットワークは、今ではほとんどグローバルだ。アフリカが、まだ弱い。そこでPertinoは、AWSで間に合わない部分をほかのデータセンターで補うつもりだ。

Pertinoは、今雨後の筍し始めているSDN企業の一翼だ。Big Switch NetworksやVMwareが買収したNiciraなどは、それまでCitrixやCiscoなどのベンダが支配していたエンタプライズ市場を、徐々に横取りし始めている。しかし今現在は、SDN企業の多くが顧客企業のデータセンターを利用してSDNのインフラストラクチャを構築している。Pertinoは、それをすべてクラウドでやろうとする…主なターゲットはネットワーキングに大金を投じられない小企業だ。その料金は、人員3名/使用機器3台までが無料、その後利用者が一人増えるたびに10ドルが課金される。Aerohive や、Ciscoが買収したMerakiもクラウドネットワーキングを提供しているが、それらはWiFiのアクセスポイントとコントローラを使う。

ただし、今のPertinoには制約があって、対応ユーザ機器はWindows 7搭載機のみ、モバイルのサポートはない。今年の終わりごろまでには、互換機をもっと広げるそうだ。

Pertinoは、ソフトウェアがハードウェアをリプレースするというディスラプトの好例で、これからの中小企業は、Ciscoなどから高価な機械装置を買わなくても堅牢なネットワークを構築できるのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))