アップルがApp Storeのバグで世界で1週間で2000万件のレーティングを消す

App Storeに起きた事故により、Google、Microsoft、Starbucks、Hulu、Nikeなどの人気アプリから小規模なデベロッパーのプロダクトまで2000万件以上のレーティングが消えた。バグは2019年10月23日に影響を与え始め、米国時間10月29日になってやっと解決された。Appleは、アプリのレーティングに大打撃を与えた事故について原因や経緯についてまだ説明していない。

この大幅なレーティングの消失は、モバイルアプリの分析プラットフォーム、Appfiguresが発見した。同社は、200以上のデベロッパーの300以上のアプリがバグの影響を受け、App Storeから2200万のアプリレビューが消されたことを突き止めた。米国を含めて影響を受けた国ではレーティング数が平均50%減少した。

total ratings

もっとも大きな打撃を受けたのは米国で1000万件のレーティングが消えた。 しかし、影響はグローバルであり、アップルがサポートする155か国すべてがバグの被害を受けた。中でも、中国、英国、韓国、ロシア、オーストラリアは大きな影響を受けた。

特にひどいダメージを受けたアプリもある。 たとえば、Huluは米国でレーティングのなんと95%を、DropboxとChaseは85%を失った。バグの影響を受け企業にはTechchCrunchの取材に対してコメントを避けたところもあるが、レーティングの削除は「我々のリクエストよるものでなかった」ということは認めた。

hulu chart ratings drop

このバグで米国が最も大きな影響を受けた理由はこちらで人気が高い大型アプリに被害が出たからだろう。これにはeWalgreen、Venmo、Amazon Prime Video、Southwest、Hotels.com、Disneyland、Ibotta、ESPN、Amex、Xoom、Fandango、Skyscanner、Google Classroom、Nike SNKRS、My Disney Experience、Old Navyなどだ。

Appfiguresによると、ヒットした300本以上のアプリのうち、約半数の154本で100以上のレーティングが消えた。

おお。StarbucksのiOSアプリは一晩で約130万件のレーティングを失った! huluは約9万件、他の多数のアプリもそうだ。これがAppStoreだけのバグだといいのだが。

当初ほとんど情報がなかったため、一部のデベロッパーはアップルがインチキなレーティングを除去しようとしているのかもしれないと推測した。 しかしすぐにAppfiguresがプラスの評価とマイナスの評価の双方が削除されていることを発見したため、この推測は根拠を失った。レーティング除去がフェイクレーティングを排除しようとするものならプラスの(フェイク)評価のみが削除されていたはずだ。

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もう1つの推測は、Appleがレーティングシステムの高速化を図ったものの、どこかで失敗したというものだ。

不幸なことに、影響を受けた一部の開発者にとって、このバグはアプリの総合評価に影響を及ぼた。被害を受けたアプリの一部は評価の星を落とした可能性がある。そうなるとApp Store内の検索や検索エンジンの広告からアプリにアクセスする能力が損なわれる可能性がある。

一部のデベロッパー(およびAppfigures)は米国時間10月30日現在、消えたレーティングの一部が復元されたことをTechCrunchに確認した。

残念ながらApp Storeでアプリのレーティングが一瞬で消えたのはこれが初めてではない。昨年も似たような事故が起きており、App Storeのバグ によって数千のiOSアプリがレーティングの半分を失った。この場合も、アップルはバグをこっそり修正したが、何が起きたのか説明はしなかった。

我々は米国時間10月29日にアップルにコメントを求めたがまだ回答がない。

しかし、我々が掴んだ情報では、アップルは一部のデベロッパーに直接連絡を取り「誤ってレーティングの削除が行われたが、現在修正、回復に取り組んでいる」と説明したという。

【Japan編集部追記】Appfigures記事のアップデートによれば、アップルは問題をエラーだったと認め、影響を受けたすべてのアプリのレーティングを復元中だという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook