仮想空間の中で人間を表現するベストの方法はなんだろう? 顔写真みたいな矩形の中にアバターの画像を収めるか? それじゃあ、まるでSlackだ。スライダーが100万もある顔を特製するか? それはあまりにもSecond Life的だ。顔の3Dスキャンをやるか? そんなの、“Lawnmower Man”のぱくりだよ。では、ユーザーが着けているヘッドセットを漫画的に表現するのはどう? 目だけが、グリグリっと(googly)前に飛び出てるんだ。うーん、天才的なアイデアかも。
GoogleのDaydreamチーム(Daydreamは新しいVRのブランド、スマホのスクリーンセーバーの名前ではない)が同社のDevelopers Blogに、仮想体験のプロトタイピングの楽しさを投稿している。
これまでのVRでは、そのソーシャルな側面がいちばん軽視されている。物語の展開はたしかにおもしろいかもしれないが、でも、遠くの人びととの対話のやり方が変わる可能性の方がずっと深い問題だ。しかし今の限界のある技術で、どうやって人間のそれらしきプレゼンスを作ればよいのか。不気味の谷に、落ち込むことなく。
Daydreamのデベロッパーたちは、現実を視覚的に複製するという従来のVRのやり方の逆を行った方が、意外と、現実の重要な部分がはっきり現れることに気づいた。体(からだ)から離れたヘッドセットと、その上のグルグル目に、カリスマ性はないけれども、それらの動きからは、人間のプレゼンスがすぐに認識でき、それどころか、われわれの日常の直観に反して、むしろ細部を欠いていることが、改良なのだ。不適切な細部が、何もないことよりも悪いことは、ときどきある。
これらの目は、頭が回転したときの方向を示唆しているのだ、と思う。意外なほど効果的なショートカットだ。パズルのビデオ(上図)も、骨などの余計なものがない方が、よく分かる。
そのほかの、ちょっとしたことも表現できる。たとえば、どちらが背が高いかという、身長の差だ。マスクに帽子が留めてある(上図下)といった、ささやかな個人的特徴も。
このVR技術に関する詳細は、VRプロトタイピングに関するGoogle I/Oのプレゼンで紹介された。ビデオも、そこで使われた。Google I/Oなんて、先月の話題だけれど、でもこれは、今見ても楽しい。