Ford Motor Company(フォード・モーター・カンパニー)と韓国・ソウルに本社を置くSK Innovation(SKイノベーション)は米国時間5月20日、電気自動車用のバッテリーを米国内で製造する合弁法人を設立する了解覚書(MOU)を締結したと発表した。この合弁会社はBlueOvalSK(ブルーオーバルSK)と呼ばれ、2020年代半ばから年間約60GWhを生産する予定。今回のMOUは、Fordが電池生産能力を垂直的に発展させようとしている最新の兆候だ。
Fordの最高製品プラットフォームおよびオペレーション責任者であるHau Thai-Tang(ハウ・タイ・タン)氏は、20日に次のように述べた。「当初はMustang Mach-E(マスタング・マッハE)だけだったので、電池を供給元から購入するのが最も効率的だと考えていましたが、普及率が上がっていき、アーリーアダプタからアーリーマジョリティへと移行していくにつれて、このレベルの投資を正当化するのに十分な(生産)量を確保できるようになり、このパートナーシップを追求することになりました」。
FordのLisa Drake(リサ・ドレイク)COOは、20日に記者団に対し、所有構造は今後検討されていくと述べた。60GWhの生産能力は、おそらく2つの製造拠点にまたがることになると思われるが、北米の工場の場所を含め、両社はまだその計画を決定していないとドレイク氏は付け加えた。60GWhは、およそ60万台のEVを製造するのに十分なバッテリ容量に相当すると、タイ・タン氏は述べた。
Fordはここ数カ月、バッテリセルを大規模に製造する垂直統合型の能力を構築するために前進してきた。2021年4月、ミシガン州ディアボーンに本社を置く同社は、ミシガン州にバッテリー技術開発センターを開設することを発表した。また、BMWと共同で、ソリッドステート式バッテリ(全固体電池)開発企業であるSolid Power(ソリッドパワー)の1億3000万ドル(約141億5000万円)のシリーズBラウンドをリードした。
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しかしFordはこれまで、電池の自社生産にはあまり積極的ではなかった。タイ・タン氏は「当社の製品計画は大きく変わりました」と述べている。
このニュースは、フォードが同社の象徴的な車であり、米国で最も売れているトラックのEVバージョンとなる「F-150 Lightning(F-150 ライトニング)」を発表してから24時間も経っていないタイミングで届いた。ライトニングは、フォードが過去1年間にデビューさせた3台のEVのうちの1台で、2025年までに220億ドル(約2兆4000億円)をEVに投資するという同社の計画の礎となるものだ。
SK Innovationは、すでにジョージア州で26億ドル(約2830億円)を投じて2カ所のEV用バッテリー工場を建設中だ。そのうち1工場はすでにバッテリーを生産しており、もう1つの工場は2023年に操業を開始する予定。また、フォルクスワーゲン社を顧客として、テネシー州にも別の工場を建設中だ。FordとSK Innovationの関係は長年にわたっており、前者は2018年にSK Innovationをライトニングのバッテリーサプライヤーに選定していた。
最近では、ライバル企業であるLG Energy Solution(LGエナジーソリューション)との企業秘密に関する紛争をめぐり、2021年4月に18億ドル(約1960億円)の和解が成立した。これは、SK Innovationがジョージア州での事業を停止することになりかねなかった2年間の紛争の末の和解だ。
韓国の2つのコングロマリットは、それぞれの自動車メーカーパートナーとともに、米国のバッテリー製造に数十億ドルを投資している。LG Energyは、GMとの合弁会社であるUltium Cells LLCのもと、オハイオ州とテネシー州に製造施設を建設している。
「スケールが意味を成すようになりました」とドレイク氏はいう。「動き出すには絶好のタイミングです」。
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カテゴリー:モビリティ
タグ:Ford、SK Innovation、BlueOvalSK、バッテリー、電気自動車
画像クレジット:Ford
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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Aya Nakazato)