Walt Disney Companyの発表によれば、 長年にわたってディズニーグループの指揮を執ってきたBobt Iger(ボブ・アイガー)氏がCEOを辞任し、Bob Chapek(ボブ・チャペック)氏がその職を引き継いだという。
アイガー氏は、大型企業買収を含むアグレッシブなメディア戦略によってディズニーを業界屈指の高収益な企業に成長させた。ボブ・チャペック氏は長くディズニーグループの経営陣に加わっており、最近はDisney Parks, Experiences and Productsの会長だった。
アップデート: アイガー氏の社員向けメールを追加した(元記事参照)
新しい CEO に任命されたチャペック氏はディズニーのテーマパーク事業の責任者だが、賛否両論ある人物だ。 チャペック氏はディズニー内で「価値のエンジニアリング」と呼ばれる一連の動きを主導したことで知られる。これは大勢のクールな人材をカットしたことを表す婉曲語法だ。現在まで長く人気が続くディズニーのアトラクションやプロダクトは「想像力豊かな人々に腕を振るわせよう」というアイガー氏の戦略によって生まれたものだが、チャペック氏はむしろ予算至上主義者として知られる。Twitterではディズニーの新CEO就任によって、テーマパーク事業部における予算がカットが起こるのではないかと早くも予想されている。
チャペック氏のCEO昇格に伴い、空席となったテーマパーク事業部の責任者にはWalt Disney Worldの元トップ、Josh D’Amaro(ジョッシュ・ダマロ)氏が適任だろう。ダマロ氏はディズニー内部、ことにテーマパーク事業部できわめて人望が高い。ただし支持者間でその理由が正反対だったりするため、この点がダマロ氏の責任者就任を妨げるかもしれない。
今回のCEO交代については、まだよくわからないことがいくつかある。アイガー氏は36カ月のCEO任期延長を受けていたが、そのうちまだ14カ月を残している。しかも辞任が発表されたタイミングも通常予測される四半期決算発表の電話会議中ではなかった。最近のディズニーの決算は好調を続けているが、新型コロナウイルス感染症の突発は中国におけるテーマパクの閉鎖をもたらし、ディズニーの経営にとって現在はきわめて重要な時期となっている。
それだけにこの時期のアイガー氏の辞任について憶測が飛び交っており、関係者はその理由が会社にとってあまり深刻なものでないことを願っている。今後何か新しい情報が入り次第記事をアップデートする予定だ。
2005年以降のアイガー氏のCEO任期中にディズニーは映画、テーマパーク、その他のエンターテインメント事業において大胆な戦略を取り、業績を大きく伸ばしてきた。2019年後半にスタートしたストリーミングサービスであるDisney+は、市場の予想を超える大成功を収めている。また713億ドル(約7兆8744億円)という空前の額で21st Century Fox(21世紀フォックス)の映画、テレビ事業を買収したことも記憶に新しい。
アイガー氏は10年前のMarvel Entertainment も主導している。「スター・ウォーズ」と「インディー・ジョーンズ」を持つLucasfilm(ルーカスフィルム)の買収もアイガー氏が指揮したものだ。一時冷え込んでいたAppleのSteve Jobs(スティーブ・ジョブズ)氏との関係を立て直し、ジョブズ氏が1986年に創立したアニメーションスタジオのPixarの買収を実現させたこともアイガー氏の功績だろう。
こうした大型買収を含むアグレッシブな拡大戦略がディズニーをメディア業界において現在のようなリーダーの地位につけた。
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また我々も報じたように、Disney+は2650万人ものサブスクリプションを集めている。なおアイガー氏はCEOを退いた後も2021年いっぱい エグゼクティブ・チェアマンとして留まるとディズニーは発表している。
この稿の執筆にあたって、アイガー氏とチャペック氏のCEO交代の事情、評価についてMatthew Panzarino(マシュー・パンサリーノ)編集長に協力してもらった。
画像: Allen J. Schaben/Los Angeles Times (opens in a new window)/ Getty Images
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