AIに投資するTaserは、ボディカメラを使った犯罪予測システムを開発か

主たる事業を非致死性兵器から警察用ボディカメラに転換すると発表した時、スタンガンで知られるその会社は警察の説明責任に興味を示しているかと思われた。しかしthe Intercept およびTaserの2017年警察技術報告書の分析によると、実態はもっと複雑であり、はるかに薄気味悪いものらしい。

現在はAxonと呼ばれるその会社がボディカメラ部門を設立したのは数年前だが、2017年になって事業を拡大している。2月にDextroとFossil Groupという AI企業2社を買収して以来、この会社が新たな機械学習チームの目標を警察活動においていることを示す兆候が見られている。

同社は予言的警察活動システム構築への関与を明確に否定し、「当社が顧客のために予測を立てることはない」と主張しているが、報告書には同社が「公共安全に関するあらゆる情報の収集と分析を自動化し、これまで不可能だった実態解明の鍵を見つけ出すこと」を目標としていると公然と書かれている。報告書のAIおよび機械学習に関する部分では、ほかの業界が顧客の行動予測に活用している巨大データ群から優れた洞察を抽出していることを誇っている。

「トム・クルーズの映画『マイノリティ・リポート』に出てくる認識予測のレベルには達していないかもしれないが、個人の行動パターンは特定の振る舞いをする確率を知るための有効な情報になりつつある。そして当社のデータセットがさらに大きくなれば、確実なパターンを見つける分析アルゴリズムはさらに精緻化されるだろう。予言的警察活動が拡大することは必然だ。私はこれを悪いことだと考えていないし、TASERの2つの原則とも一致している。命を守ること、そして真実を守ることだ。善良な市民のプライバシーと権利を守りつつ、この2つの称賛されるべき目標の達成を促進するテクノロジーがあるなら、それを採用すべきだ」

Taserが人工知能につぎ込んでいる膨大な投資を考えれば、警察が生死にかかわる判断を下すのを助けるデータを提供することは、この会社の得意とするところだろう。同社が独自に設置した倫理委員会がその使命をどう果たしていくのかについては、今後を見守るしかない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ボディカメラの装着で警官に対するクレームが93%減少

METHUEN, MA - AUGUST 20: Methuen police officer Nick Conway wore a body camera while he wrote a citation on Saturday August 20, 2016. In May, the Methuen Police Department, with little fuss, became the first major law enforcement agency in Massachusetts to start using body cameras, putting them on 47 patrol officers after a six-month trial run last year. (Photo by Matthew J. Lee/The Boston Globe via Getty Images)

ケンブリッジ大学の研究によれば、警察官へのウェアラブルカメラの装着を義務付けると、警察官に対する苦情が大幅に減ることがわかった。特定の警察署にて一部の警官に対してカメラの装着を義務付けた場合、カメラを装着しない警官の振る舞いも変化するようでもあるとのこと。

データは7つの警察署から集めたものだ。2014年および2015年に収集し、記録時間はトータルで140万時間で、対象となったのは1,847人の警察官だ。データはCriminal Justice and Behavior誌に掲載され、こちらでPDFを閲覧することもできる。

カメラを装着する警察官は、1週間毎にランダムに選ばれた(全体の半数の割合で装着させた)。装着が義務付けられた警察官は、他人と話すシーンでは常にカメラをオンにしておくことが義務付けられた。カメラがどのような効果をもたらすのかについては、警官への不満の多寡を指標として用いた。たいていの警察署では、問題行動のあぶり出しのために一般市民から寄せられる不満などについて計測してもいるので、カメラの効果を確認しやすいという意味もあった。

カメラ装着実験を行う前年は、警官の行動に対する不満申し立て件数は1539件となっていた。そしてカメラの装着実験を行った2年目には、不満申し立ての件数は113件に減少したのだった。

Figure from the paper showing how much complaints were reduced in each experimental site.

実験を行った警察署における、不満申し立て件数の減少率

この結果を見る限り継続した研究ないしカメラの採用を本格的に検討すべきであるようにみえる。もちろん不満の申し立てが、必ずしも警察官による不適切な対応を示すというわけではないが、苦情の申し立て件数が減れば、調査のための時間も費用も削減することができる。また、研究では、カメラを積極的に採用すべきかもしれないもうひとつの変化も指摘している。

すなわち、カメラを装着した警察官に対する不満申し立てと、非装着の警察官に対する不満申し立て率に、違いが見られなかったのだ。

これはちょっと気になる話だ。公平な証拠を記録に残すカメラの存在が、警察官および市民の双方を冷静にして、カメラが存在する場合にトラブルが減少するという方が正しい帰結であるように思える。しかしカメラを装着しない警察官に対する不満申し立ても同じように減っているのだ。

「カメラで収集したデータを何度もみるうちに、警察官側に振る舞いを変えるべきだという意識が生まれたのかもしれません。それにより、コミュニケーションがうまくいくようになったという可能性もあります」と、研究のリードオーサーであるBarak Arielはニュースリリース中で述べている。「100%近く苦情申し立て件数が減っている中、他に考えられる要因は見当たりません」。

研究社たちは「contagious accountability」と名付けている。カメラに監視されていなくても、ただしい振る舞いをしようとする人が増えていく、というような意味だ。

この調査からは、警官が自らの振る舞いを大きく変えたのか、それとも苦情申し立て側(ないし被疑者など)が慎重になっているのかはわからない。両者が相乗効果を示しているのか、あるいは別の要因があるのかもしれない。そうしたことを明らかにしていくためには、さらに詳細な調査が必要ともなるだろう。ただ、調査の結果をいろいろとみてみる限り、他の要因が考えられるにしても、警官側の振る舞いが変わった可能性が高いようにもみえる。

今後、さまざまな角度からの検討が望まれるのはもちろんのことだ。しかしここに示される結果は十分に魅力的に見える。警察はウェアラブルカメラの導入に前向きであるべきなのかもしれない。

Arielおよび共同執筆者のAlex Sutherlandは、CambridgeのFestival of Ideasにて今回の研究成果を発表することになっている。近くに住んでいて興味のある方は、ぜひでかけてみてはどうだろうか。

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(翻訳:Maeda, H