BuzzreachがAPI連携で構築したがん治験情報検索サービスをFWD富士生命と患者に向け提供

BuzzreachがAPI連携で構築したがん治験情報検索サービスをFWD富士生命と患者に向け提供

製薬企業と患者を直接つなぐ治験情報インフラを展開するBuzzreachは10月5日、API連携などにより構築したがん領域(オンコロジー)の治験情報サービスをFWD富士生命保険とがん患者に向け業界で初めて提供すると発表した。2020年11月から開始する。

Buzzreachは、がんに特化したサービスや情報提供を行う患者支援団体、患者会、ウェブメディアやSNSアプリ運営企業との業務提携を実施。API連携で製薬企業などが登録する治験情報を提供し、IT連携することで、より多くのがん患者やその家族に治験情報を届けるスキームを構築し、2020年4月から提供している。

Buzzreach

FWD富士生命では、がんの「治療」だけではなく「生活」もサポートすることをコンセプトにした無解約返戻金型がん保険「FWD がんベスト・ゴールド」を11月2日より発売。また先の連携により、日本全国で実施中のがん治験情報を検索できる業界初のサービス「FWD がん治験情報提供サービス」を商品付帯サービスとして提供する。

現在、がん治療薬は各製薬企業が進める開発品目の中心にある。平成30年度(2018年度)のPmda(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)報告では、全764本の治験届けのうち、343本が抗悪性腫瘍薬となっており、製薬企業と患者双方のニーズが高まっているという。

これまでBuzzreach提供の験情報マッチングプラットフォーム「smt」では、中枢神経系や希少疾患、小児疾患を中心に治験情報を提供してきた。今回の取り組みにより、がん領域の治験情報を新たに加えることで、製薬企業と患者、治験に携わっていない医師などに向け、不足している治験情報ニーズに合わせた情報提供に拡大。同時に、日本初となるがん保険との連携でがんと宣告された被保険者およびその家族に対して、希望のひとつである新たな治療の選択肢を提供できるようになるとした。

BuzzreachがAPI連携で構築したがん治験情報検索サービスをFWD富士生命と患者に向け提供

2017年6月設立のBuzzreachは、治験の様々な課題を解決するSaaSサービス「puzz」、患者(被験者)向け治験情報マッチングプラットフォーム「smt」(エス・エム・ティ)、患者(被験者)向け治験管理・リテンションアプリ「スタディ・コンシェルジュ」を開発・販売。

puzzは、製薬企業やアカデミア、医師主導で行われる治験を含む臨床試験、臨床研究の様々な課題を解決する機能が搭載されたSaaS型の管理システム。治験を筆頭とした臨床試験、臨床研究のフィージビリティ調査、施設選定業務をサポートする機能、プロジェクト(試験)運用・運用管理機能、製薬企業・研究者および医療機関向けの治験情報公開・管理機能を採用。治験情報公開・管理機能では、製薬企業や臨床試験実施機関が主体となり治験を筆頭とした臨床試験情報を登録・公開・管理し、治験を主とした臨床試験情報を必要とする患者や家族に向けて情報を提供、臨床試験実施医療機関の公開およびマッチング、参加申し込みまでをオンラインで完結できる。

smtは、新しい治療法や治療薬の情報を求める患者や家族と、日本にあるすべての臨床試験情報とをウェブ上でマッチングするサービス。患者自身や家族の環境、状況に合った治験情報だけでなく、近隣で、どの医療機関が該当する治験を実施するのかを知ることができる。

Buzzreachは、smtの登録情報とITインフラを活用したsmtAPIサービスを用意。ペイシェントセントリシティ(患者の声を取り入れた医薬品開発)の一環として患者向け治験情報を自社コーポレートサイトに公開したい製薬企業や、患者側の団体(患者会やメディア)などに対して、smt公開情報とインフラを提供できる。治験情報の公開から実施医療機関への応募までワンストップで行えるインフラを整備しているという。

スタディ・コンシェルジュは、治験参加患者に寄り添ったリアルタイムのコミュニケーションにより、治験参加患者の不安を和らげ、効率的に有効データを得ることで治験中止リスクを軽減し、新薬の早期承認を支援する業界初のアプリ。治験参加患者の治験薬の服薬忘れや飲みすぎを防ぎ、治験コーディネーター(Clinical Research Coordinator。CRC)のサポート的な役割を担う。

カテゴリー: ヘルステック
タグ: BuzzreachFWD富士生命ネットサービス日本

関連記事
「治験の情報格差なくす」Buzzreachが情報発信サービスを正式公開

グロービスのアクセラレーションプログラム「G-STARTUP」の1st Track選出のスタートアップ14社

グロービスは11月27日、「G-STARTUP」のデモデイを東京・麹町で開催した。グロービスのアクセラレーションプログラム「G-STARTUP」の第1期の参加企業が約3カ月の支援プログラムを経て、事業開発の成果を発表する場だ。

グロービス・キャピタル・パートナーズ/代表パートナーの今野穣氏

G-STARTUPはユニコーン企業を00 社輩出するプラットフォームを目指して2019年4月に立ち上がったプログラムで、外部メンターが審査に入るなどオープンかつニュートラルな環境が特徴。イベントにはエンジェル投資家を始め約50名の出資検討者も完全招待制で参加した。今回のデモデイのピッチコンテストは以下の5名が審査員を務めた

■審査員長
川田尚吾氏(DeNA/共同創業者)

■審査員
有安伸宏氏(エンジェル投資家)
立岡恵介氏(グローバルブレイン/ジェネラルパートナー)
堀新一郎氏(YJキャピタル/代表取締役社長)
今野穣氏(グロービス・キャピタル・パートナーズ/代表パートナー)

Spornia.

現在はスポーツ選手のひと握りしか、スポーツによってマネタイズできない現状を打破するサービスを開発・提供。スポーツによって稼げる環境を構築するサービスを提供する。具体的には、サッカー教室などのイベント、YouTubeなどに動画を公開した際の広告収入(アドセンス)、オリジナルグッズ販売、スポーツ選手を広告などに使いたい企業とのマッチなどを通じて、選手のマネタイズをサポートする。まずはミドル層のプロアスリートをターゲットとして、イベント支援などを進めていくという。

Crossborders Innovation

求人の案件と登録した人材をワンクリックでマッチングさせるAIアシスタント「hachico」を開発・運営。プレゼン内容は非公開。

オリジナルライフ

結婚準備の情報収集を便利にするスマートポータル「WeddingNews」を運営。プレゼン内容は非公開。

Liigo

アジアにフォーカスしたツアーやアクティビティの検索サイト「Liigo」を運営。ベルトラやBooking.com、アソビューなどアクティビティサイトを串刺し検索可能で、宿泊先や観光情報、レストランなどの情報も調べられるほか、独自のチケットやクーポンの配布も実施している、エアトリなどの大手旅行メディアとの提携を済ませており、Liigoを経由することで独自の旅行プランを短時間で組み立てることができる。今後はLiigo独自のプランなども提供も検討しているという。

ユノ

ビジネスケータリング専門のマーケットプレイス「Chefs Cater」を運営。通常は電話で予約や見積もりが必要なケータリングサービスを、ネットだけで完結できるのが特徴。一般的なケータリングでは、セントラルキッチンなどでライン作業で調理が進むため、料理のバリエーションが乏しいが、Chefs Caterでは街中のレストランなどが調理した料理を、Chefs Caterが依頼した配送専門のドライバーが指定場所まで運ぶ。調理と配送を分けることで飲食店側の業務負担を減らせるほか、配送を専門に請け負うドライバーにはビルなどの建物の入館方法、搬入場所などの情報が蓄積されるので、利用者側も安心して配送を任せられるというメリットがある。

ガラパゴス

AIを使ったデザインシステム「Air Design」を開発・運営・大手広告代理店と提携して、各社が所有する広告データをAIが取り込むことで、ウェブサイトのさまざまなランディングページ(LP)を自動生成できる。LPで使われるテキストデータも収集・分析しており、よく使われるワードなどを一覧できるのでキャッチコピーを考案する際の参考にもなる。
生成したLPは、フォントの種類や大きさ、背景色などカスタマイズすることも可能だ。

Grune

xR技術を活用した展示場のシミュレーションシステムを開発。現在の住宅展示場は、3億円程度の建設費用がかかり、しかも数年で立て替える必要がある。しかし現在では、契約数が下落傾向にあるという。同社はまず、この現状を解決するため住宅展示場に同社のVR技術を持ち込み、実際の建物の中で壁紙や家具などをVR空間上で入れ替え見られるようにする。これにより、住宅展示場でのコンバージョンレートを上げることを目指す。将来的には住宅展示場をVRでリプレースすることを目指す。

ダイバーシーズ

民住サービス「Homii」を運営r。同サービスは現代版の下宿で、空き部屋のマーケットプレイス。一般的な民泊とはことなり、あくまでも下宿という形態なので、民泊新法で定められている年間提供日数180日以内という制限が適用されない。利用者はHomiiから下宿先を選んで、家主に謝礼を支払うだけで長期滞在が可能になる。ダイバーシーズでは謝礼の10%程度を手数料として徴収することでマネタイズする。

QCCCA

位置情報ベースのセーフコミュニティサービスを開発・運営。現在QCCCAでは、「痴漢レーダー」というサービスを提供しており、痴漢被害に遭った、もしくは被害を目撃した利用者が場所や時間などを書き込める。このサービスを発展させて、安全な街作りを支援する。現状では、自治体がメールなどで配信している不審者情報は一方的に情報が送られてくるだけで利活用しづらい。同社は利用者からの書き込みなどによる危険と安全のデータを蓄積しつつ、交番やコンビニの数や距離などの地理情報を掛け合わせて分析。分析されたデータを基に、地域パトロールのルートや監視カメラの設置場所の最適化、地域コミュニティの活性化などを計画している。これらの危険・安全のデータを企業向けに販売するほか、災害時になどには支援物資の受け渡しのインフラとしての整備も計画している。

MORGHT

YouTuberのファンコミュニティーサービスを開発・運営。YouTuber本人ではなくコミュニティリーダーが運営するファンクラブのようなもので、メンバーは共通の話題で盛り上がれる。コミュニティリーダーは、広告表示やアイテム課金、グッズのフリーマーケット運営などを通じた収益化も可能。またYouTuberが所属する事務所との連携も検討しており、YouTuber本人の売上を分配するスキームも検討中とのこと。

Curio

スペース貸しサービス「Daysk」を運営。景色のいいレストランやバー、カフェ、神社など一般的なスペースレンタルサービスで借りられない物件を多数取りそろえているのが特徴。席単位で予約が可能なので、物件所有者は、閑散期の飲食店の一区画などを気軽に貸し出すことが可能だ。利用者は1時間100〜200円程度で、コワーキングスペースなどとは異なる環境を利用できるうえ、カフェなどの飲食店では席があらかじめ確保されているので安心だ。夜しか営業しないバーを日中丸ごと借りることも可能だ。

expeet

スキルシェアサービス「expeet」を運営。今回、掃除部分野にフォーカスしたマッチングサービス「clin」を開発し、清掃員と企業や民泊業者などをマッチングする、。申し込みから見積もり、注文までをすべてオンラインで済ませることができるのが特徴。清掃員は運営元があらかじめ面接してスキルをチェックしたスタッフが派遣される。

buzzreach

治験のマッチングプラットフォーム「buzzreach」を開発・運営。現在の治験は、製薬会社が病院を指定して実施するのが主流で、治験を受ける患者などが不足しているほか、治験の情報がオープンになっておらず新薬を必要とする患者に届いていないという問題がある。この問題を解決するのがbuzzreach。製薬会社が治験の情報を登録できるデータベースを構築しており、登録された治験情報を必要とする患者に共有される。今後は、服薬管理や医療機関との連携なども検討するという。

dreamstock

スマートフォンを活用して、世界中の子供がサッカーでプロを目指せるサービスを提供するサッカー版LinkedI。ブラジルのマーケットにフォーカスしており、ヨーロッパのトップリーグで活躍する選手だけでなく、2部リーグやヨーロッパ以外でプレーする選手の発掘を目指す。当初はサッカー専門の動画共有サイトとして誕生したサービスだったが、投稿される動画のクオリティーが高かったことから、サッカーチームとのマッチングを思いついたという。すでに数人のプロ選手がサービスに登録しており、選手が移籍した際は移籍金の10%を程度を手数料として徴収する。アマチュアの選手は、dreamstockと提携する世界各国のチームが開催するセレクションに動画を投稿し審査を受けることで,プロチームへのキャンプへの参加などの特典が得られる。

「治験の情報格差なくす」Buzzreachが情報発信サービスを正式公開

新しい治療法や治療薬の情報を求める患者らが、病気や症状に合った治験や臨床試験の情報を検索できるプラットフォーム「Search My Trial(SMT)」。そして製薬企業や医療機関が直接、患者や一般ユーザーに治験実施の情報を発信できるプラットフォーム「Puzz(パズ)」。

新薬開発には欠かせない、“治験”にまつわる2つのサービスを患者・医療関係者の双方向に展開するBuzzreach(バズリーチ)は3月5日、これまでベータ版として提供してきたPuzzを正式にリリースしたと発表した。

Puzzの詳細に入る前に、一般向けに公開されているプラットフォームのSMTについて紹介したいと思う。SMTは、病気や症状に悩む患者など一般ユーザーと、日本全国で行われる治験・臨床試験情報をウェブ上でマッチングするサービスだ。SMTは2018年5月より、ベータ版として公開されている。

SMTでは患者自身や家族の環境や状況に合った治験情報を調べることができ、近隣で該当する治験を実施する医療機関があるかどうかも検索可能。かかりつけ医院での治療だけではなく、別の選択肢としての治験を検討することができる。

ユーザーが気になった治験・臨床試験には応募も可能。ウェブ上で簡易的なスクリーニングを行った結果、条件に合えば医療機関の治験コーディネーターと連絡が取れるようになる。

一般向けのSMTに対し、今日正式リリースされたPuzzは「製薬企業/医療機関向け」かつ治験情報を「発信」するためのプラットフォームだ。

Puzzでは企業/医療機関が治験情報を掲載して、一般ユーザーや治験情報を必要とする患者に向けて情報を発信し、参加申し込みまで受け付けることができる。

Puzzでは医療機関単位だけでなく、プロジェクト単位で治験情報を登録でき、それぞれに細かい設定や情報展開が可能となっている。Puzzに治験情報を掲載することで、治験の被験者募集を専門的に行う企業やヘルスケア系メディア、患者会などに対して、情報発信を一度で同時に行える。

また、Puzzに掲載された治験情報はSMTにも掲載されるため、新しい治療法を求める患者と治験情報とをマッチングすることもできる。

Puzzでは、これらのチャネル全体で約250万人の治験希望者データベースに向けて治験情報を拡散可能。さらに治験参加者のデータはクラウド上で一括管理することもできる。Puzzへの情報登録は無料プラン、有料プランが選択可能だ。

情報格差をなくし、薬の開発コスト・スピード改善を目指す

新薬開発では、長い開発期間と膨大な開発コストが製薬企業の負担となり、削減が各社の課題となっている。その要因の中でも、治験の被験者となる患者の数が絶対的に足りない、という問題が大きく影響しているとBuzzreachでは見ている。

この問題は、治験業界における情報の流通性の低さにあるという。治験は新薬を作るためには必須のプロセスだが、治験の認知度の低さにより、患者募集のためのコストが増大し、必要な症例数が足りない場合には試験期間の延長や実施医療機関の追加などにより、さらにコストが余分にかかるようになる。

一方で新たな治療方法を求める患者にとっては、治験情報に行き着くまでが困難で、簡単に最新の情報を得ることができない。

患者側と製薬企業/医療機関との情報格差をなくすこと、患者側に必要な情報が届けられること、アナログだった患者情報の管理を一括で行えるインフラを整えること。これらを実現することで、薬の開発コスト・スピード改善に貢献したい、というのが、同社がSMTとPuzzを開発した狙いだ。

2018年のベータ版ローンチから約6カ月間、複数の製薬企業でPuzzを導入した結果、あるプロジェクトではトータル開発期間を2カ月間短縮でき、これにより4500万円ほどのコスト削減ができたケースもあるという。

Buzzreach代表取締役 猪川崇輝氏

Buzzreach代表取締役の猪川崇輝氏は「現状、大半がブラックボックスとなっている治験の情報を患者につなぐことが開発スピードをあげ、開発コストの圧縮にもつながり、何より患者に新たな選択肢と希望を届けることを可能にする」とコメント。「日本で実施されている可能な限り多くの治験情報を、病気で悩む人に新たな選択肢としてつなぐため、PuzzおよびSMTを提供し、より一般向けにわかりやすく情報に触れてもらえるよう努める」としている。

同社はPuzz正式リリースと同時に、KLab Venture Partnersをリードインベスターとして、シードラウンドで資金調達を実施したことも明らかにしている。調達金額は総額約5000万円だ。

調達によりBuzzreachでは、PuzzやSMTのサービス拡充に加え、ITを活用して、より良い環境を求めている患者にフォーカスしたその他のサービスにも注力するという。

今後、治験の情報提供をきっかけに、患者ごとに最適な情報を届けるサービスを展開していく、というBuzzreach。2019年春には治験担当者と参加患者をつなぎ、さまざまな問題を解決する患者管理アプリをリリースし、治験を基点として製薬企業と患者がつながるコミュニティをスタートさせる予定だということだ。

Buzzreachは2017年6月の創業。代表取締役CEOの猪川崇輝氏と、COOの青柳清志氏はともに治験被験者募集専門会社のクリニカル・トライアルで立ち上げ時から参画していた経歴を持つ。

治験業務の効率化を図るプラットフォームとしては、昨年10月にOracleに買収された米国のスタートアップgoBaltoや、日本にも拠点を置くMedidataといった企業が、主に製薬企業やバイオテクノロジー企業、医療機関、研究機関などに向けたサービスを展開している。