インドのEdTech大手Byju’sが約940億円調達、その半分を創業者が出資

インドの大手EdTech企業Byju’s(バイジューズ)の共同創業者兼CEOで、社名にもなっているByju Raveendran(バイジュー・ラヴェンドラン)氏が、このスタートアップ企業に4億ドル(約470億円)を出資したと、両者が現地時間3月11日に発表した。

この出資は、Byju’sが確保した8億ドル(約940億円)規模の資金調達ラウンドの一部であると、ベンガルールに本社を置く同スタートアップは述べている。

Sumeru Ventures(スメル・ベンチャーズ)、Vitruvian Partners(ヴィトルヴィアン・パートナーズ)、BlackRock(ブラックロック)もこの(同社が名前を明かしていない)ラウンドに出資。このラウンドにおけるByju’sの企業価値評価は約220億ドル(約2兆7000億円)になると、この件に詳しい人物は述べている。この資金調達は、Byju’sが新規株式公開を申請すると広く予想されている時期に行われた。

この新たな出資により、ラヴェンドラン氏とその家族の持ち株比率は25%になる。これはインドのスタートアップコミュニティでは珍しい例だ。

「私たちは、有機的および無機的なルートで、インドと国際市場で加速度的な成長に立ち会い続けています」と、ラヴェンドラン氏は語っている。

「私たちは、学ぶ人々の生涯価値を創造するという長期目標を達成することに、ずっと重点を置いています。そのために私たちは、学生が将来どのような学び、学んだことを忘れ、再び学び直すかを、想像したり想像し直したりしています。私たちの願望は、何十年も続くものを構築することです」。

Byju’sは、大学や大学院レベルのコースを目指す学生向けに設立されたが、近年は学校に通うすべての学生を対象にサービスを拡大している。ユーザー数は、2021年初めに公表された約8000万人から増加し、現在は1億5000万人を集めているという。同社によれば、年更新率は86%、NPS(ネットプロモータースコア、顧客ロイヤルティ、顧客の継続利用意向を数値化したもの)は76を示すという。

新型コロナウイルス感染流行が始まって以来、25億ドル(約2900億円)以上を調達してきたByju’sは、最近調達した資金のかなりの部分を企業買収に投じている。2021年は、200以上のセンターを持つ高校生向け受験指導機関最大手のAakash(アーカシュ)を10億ドル(1170億円)近い金額で買収した。また、Great Learning(グレート・ラーニング)、米国を拠点とするEpic(エピック)、子ども向けコーディングプラットフォームのTynker(ティンカー)を、現金と株式取引で合わせて12億ドル(約1400億円)超で買収している。

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

インドのEdTech大手Byju’sの最新ラウンドでの評価額は約2兆円

国際的な事業展開を進め、また積極的にM&Aの機会を模索しているインドのEdTech大手Byju’s(バイジュース)が、大型の新規投資ラウンドの一環として3億ドル(約333億円)を調達した。

調査会社ToflerがTechCrunchに提供した資料には、今回のラウンドでのByju’sの評価額は180億ドル(約2兆円)とあり、2021年6月の165億ドル(約1兆8338億円)より増えている。165億ドルという評価額で、Byju’sはインドのスタートアップエコシステムにおける中心的な存在であるフィンテック大手Paytm(ペイティーエム)を追い越した。

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Oxshott Capital Partnersが新ラウンドをリードし、XN Exponent、Edelweiss、Verition Master Fund、IIFL、Time Capital Advisorsなどが参加した。

今回の投資は、Byju’sの評価額を210億ドル(約2兆3333億円)に押し上げそうな大型の投資ラウンドの一環だとTechCrunchは理解している。

Byju’sの広報担当は現地時間10月4日、コメントを却下した。

今回の資金調達は、Byju’sが2022年のIPO(新規株式公開)に向けて投資銀行とやり取りしている中でのものだ。TechCrunchが8月に報じたように、一部の投資銀行はByju’sが2022年に上場する場合の評価額として最大500億ドル(約5兆5505億円)を提示した。Byju’sの創業者でCEOのByju Raveendran(バイジュー・ラヴェンドラン)氏は9月のインタビューで「IPOはあり得る」と認めていた。

パンデミックが始まって以来180億ドル(約2兆円)を調達した同社は、その資金のかなりを企業買収に使った。2021年初めに同社は、センター200カ所超を抱え、最大の高校生向けコーチング機関の1つであるAakashを10億ドル(約1111億円)近くで買収した。Byju’sはまた、Great Learningと米国拠点のEpicを、それぞれ現金と株式による10億ドル超の取引で買収した。そして9月にはキッズコーディングプラットフォームのTynkerを2億ドル(約222億円)で買収したことを明らかにした。

ラヴェンドラン氏は9月、Byju’sが引き続き合併・買収の機会を模索していると述べた。こうした買収により、同社は積極的にサービスを拡大し、より有意義な方法で海外マーケットにうって出ることができると語った。

Byju’sは大学レベルや修士レベルのコースを追求している学生をサポートしており、近年はあらゆる学年の生徒向けにサービスを拡大してきた。Byju’sアプリの家庭教師はピザやケーキなど実生活にあるものを使って複雑な問題を教えている。

インド政府が数カ月にわたってロックダウンを敷き、学校を閉鎖することになったパンデミックにより、Byju’s、そしてUnacademyやVedantuなど他のオンライン学習スタートアップは成長を加速させた。

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

インド最大のEdTechスタートアップByju’sが米国の読書プラットフォームEpicを約550億円で買収

Byju’s(バイジュース)は7月21日、カリフォルニアに本社を置く読書プラットフォームのEpic(エピック)を5億ドル(約550億円)で買収したと発表した。インドで評価額が最大のスタートアップByju’sが米国マーケットで事業を拡大する最新の動きだ。

買収取引は現金と株式によるもので、Epicの創業者であるKevin Donahue(ケビン・ドナヒュー)氏とSuren Markosian(スレン・マーコシアン)氏が引き続きEpicを率いる、とByju’sはTechCrunchとのインタビューで述べた。

Epicは社名を冠した、12歳以下の子ども向けのデジタル読書プラットフォームを展開している。米国の小学校の90%で活用されている同プラットフォームは、200万人超の教師と5000万人もの児童(2020年の2000万人から増加した)が使用している。

初期投資家にEvolution Mediaを抱えるEpicは、何人の子どもが本を読んでいるか、どれくらい読書に関わっているか、どこで関心が薄れ始めるかなど、リアルタイムの匿名化および集約されたデータを集めて分析している。Netflix風の動きの中で、Epicはまたオリジナル本の紙バージョンのリリースも開始した。

TechCrunchは3月に、Byju’sがEpic買収を交渉中だと報じた。ドナヒュー氏とマーコシアン氏はByju’sと関わりがある。2人がByju’sの共同創業者でCEOのByju Raveendran(バイジュー・レヴィーンドラン)氏と最初に会ったのは4〜5年前だが、買収話が始まったのは2021年だと2人は話した。

レヴィーンドラン氏(写真)はインタビューで、自身の息子がアプリを使っていて、それがきっかけとなってスタートアップを起業する機会を真剣に追求するようになったと述べた。

「我々は約8年前に、あらゆる子どもに本を提供する、という目標でEpicを創業しました。テクノロジーを通じて子どもを読書に夢中にさせることができ、子どもと読書の間にある障壁を取り除くことができると考えたのです。当社のプラットフォームはいま、米国のほとんどの学校で活用されていて、5000万人超の子どもにリーチし、10億冊の本が読まれました」とマーコシアン氏は話した。

「このプラットフォームの構築は個人的な思いからです。我々の子どもにもっと本を読んで欲しいのです。ですので、この点を鑑みて世界にプラットフォームを拡大することに目を向けるのは我々に取って理にかなったものでした。バイジューと話し始めたとき、教育に対する情熱、そしてテクノロジーが教育の機会を広げるのに役立つという信念を共有していることに気づきました。バイジューとともに我々はEpicを次のレベルにもっていくことができます」とマーコシアン氏は語った。

Epicがリリースしたオリジナル作品(画像クレジット:Epic)

米国での事業拡大

Byju’sにとって新しいプロダクトは現在のポートフォリオを拡大し、同社が探し求めてきた米国についての専門性をもたらす、とレヴィーンドラン氏は述べた。Byju’sのサービスへのEpic追加は「読書は子どもの学習にとってパワフルなフォーマットであるため、プロダクトという観点から賞賛すべきものです」とも話した。

「Epicのプロダクトの提供は米国の生徒にさらなるオプションをもたらし、当社がサービスを提供しようとしてきた層にリーチするのに役立つでしょう。Epicはこうした層をよく理解しています」とレヴィーンドラン氏は指摘した。

​Byju’s​は2021年初め、コーディングと数学をオンラインと非オンラインで提供し、またラインナップに音楽、英語、美術、科学を加える計画の一環として、海外事業をByju’s Future Schoolへとブランド変更した。レヴィーンドラン氏は、Epicがブランド名を改称するか決めていないと話したが、同社が米国でよく知られているブランドあることを認めた。

7月初めに米国でディズニーのキャラクターを使った学習アプリを立ち上げたByju’s​は米国で主に3つのサービスを提供している。各サービスは2021年だけでそれぞれ1億ドル(約110億円)を売り上げる、とレヴィーンドラン氏は予想している。「当社の野心は世界に影響を与えることです」と同氏は述べた。

Byju’s​は北米事業に10億ドル(約1100億円)を投資する計画だと同氏は話し、Epicのサービスをインドや他のマーケットにも投入する計画だとも付け加えた。

買収と資金調達

EpicはByju’s​の一連の買収の最新例だ。ここ2年、Byju’s​は米国拠点の子どもにフォーカスした「フィジタル」スタートアップのOsmoを1億2000万ドル(約130億円)で、オンラインコーディングのプラットフォームWhiteHat Jrを3億ドル(約330億円)で、コーチングセンターチェーンのAakashを10億ドル(約1100億円)近くで、そして(正式に認めていないが)インドのEdTechスタートアップTopprとGradeupを買収した。

「我々は買収をするために買収をしたわけではありません」。自身教師であるレヴィーンドラン氏はそう語り、買収した会社の買収後の成長と成功、そしてこうした企業がどのようにもともとの創業チームに率いられているかを指摘した。「当社の野望はかなり長期的なものです。我々は創業者らが成長を加速させるのをサポートするために協業しています」と同氏は述べ、Byju’s​がさらなるM&Aの機会の模索にオープンであると付け加えた。

2020年にパンデミックが始まってから15億ドル(約1655億円)を調達し、Blackstoneなど著名投資家を引きつけたByju’s​は、近年の資金調達が若い会社の買収を支えたと述べた。同社は現在、外部からさらに資金調達する計画はないが、レヴィーンドラン氏は今後数カ月内の資金調達は排除しなかった。

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タグ:Byju’sインド買収

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

オンライン学習大手Byju’sがインドで最高評価額のスタートアップに、UBSなどから資金調達

EdTechの巨人Byju’s(バイジュース)がUBS Group、Zoom創業者のEric Yuan(エリック・ユアン)氏、Blackstoneなどから新たに3億5000万ドル(約383億円)を調達し、ポストマネーで評価額が165億ドル(約1兆8094億円)とインドで最も価値の大きなスタートアップになった。

書類の中で、Byju’sはアブダビの政府系ファンドADQやPhoenix Risingを含む多くの投資家から約3億5000万ドルの投資を受けたことを明らかにした。新たな企業価値はPaytmのものを上回った。Paytmの直近の企業価値は160億ドル(約1兆7546億円)で、インドのスタートアップ業界でトップだった(Paytmは現在上場を模索中で、30億ドル[約3289億円]の調達と企業価値300億ドル[約3兆2899億円]を目指している)。

今回の資金調達は、Byju’sが2021年初めに開始した大きなラウンドの一環であり、同社は150億ドル(約1兆6449億円)の調達を目指している。最近の投資家にはB Capital GroupやヘッジファンドXNなどが含まれる。Byju’sは2019年7月に57億5000万ドル(約6305億円)、2020年末に110億ドル(約1兆2063億円)と評価されていた。

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Byju’sは新たに調達した資金をさらに多くのスタートアップ買収に使う計画だ。2021年初めにTechCrunchが報じたように、インドのコーチング機関Aakashを10億ドル(約1096億円)で買収したByju’sはオンライ学習スタートアップTopprの買収のデューデリジェンスを進めていて、米国拠点のEpicの買収も協議している。

Byju’sは学生の大学過程と大学院レベルの教育に向けた準備をサポートしていて、近年はあらゆ学年の生徒を対象にしサービスを拡大してきた。Byju’sアプリの家庭教師はピザやケーキなど実生活にあるものを使って複雑な問題を教えている。

パンデミックのためにインド政府は1カ月にわたって全国ロックダウンを敷き、学校も閉鎖したが、そのパンデミックはByju’s、そしてUnacademyやVedantuなど他のオンライン学習スタートアップの成長を加速させた。

2021年初め、Byju’sはユーザー数が8000万人に達し、うち550万人が有料購読者だと述べた。収益を上げているByju’sは2020年米国で1億ドル(約109億円)を売り上げた、と(Byju’sに出資している)GSV Venturesのマネージングパートナー、Deborah Quazzo(デボラ・クアゾ)氏はインドのベンチャーファンドBlume Venturesが3月に開催したセッションで述べた。

Byju’sの幹部は2021年初めのUBSイベントで、Byju’sの直近の年換算売上高は8億ドル(約877億円)で、12〜15カ月以内に10億ドル(約1096億円)に達する、と話した。同社はここ数カ月、海外展開の計画も加速させている。

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

インドのEdTech大手Byju’sが米英・ラテンアメリカ・インドネシアに進出、国際市場へ拡大

評価額130億ドル(約1兆4210億円)以上のインドのEdTech大手Byju’s(バイジュース)が成長を加速させるために、2021年5月後半に国際市場への進出を計画していることがTechCrunchの取材で確認された。

インド時間4月5日に設立33年の個別指導塾Aakashを約10億ドル(約1093億円)で買収したバンガロールを拠点とするこのスタートアップは、来月には米国、英国、ブラジル、インドネシア、そしてメキシコでサービスを開始し、2021年後半には他の地域を開拓する予定であると、従業員にメールで伝えた。

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「Byju’s Future School」と名づけられたこのスタートアップの国際事業は、Byju’sが2020年に3億ドル(約328億円)で買収したコーディングプラットフォームWhiteHat Jr.の創業者であるKaran Bajaj(カラン・バジャイ)氏が率いるという。

Byju’sの創業者兼CEOであるByju Raveendran(バイジュー・レヴィーンドラン)氏は、声明の中で次のように述べた。「私たちは、テクノロジーを通じて、世界中の子どもたちが学ぶことを好きになってくれると信じています。当社のグローバル展開は、子供たちが創造性を発揮し、実践により学ぶことを奨励する補助学習を家族が積極的に求めている重要な時期に行われます。今回のローンチは、世界中にアクティブラーナー(能動的学修者)を生み出すという当社のビジョンをさらに後押しするものです」。

WhiteHat Jr.のプラットフォームは、Byju’sの国際的な活動において重要な役割を果たしている。教師と生徒が1対1でセッションを行うコーディングプラットフォームにより、Byju’sは同期型と非同期型の両方の形式でコースを提供できるようになっている。

同社は2020年末にいくつかの国際市場で実験を開始し、ここ数カ月の間に、各地域を管理するために数名のトップクラス幹部を採用した。これらの幹部はすべてバジャイ氏の直属となると関係者は述べている。

「Byju’s Future Schoolは、6歳から18歳までの子供たちを対象に、リアルタイムの指導と創造的な成果を生み出すレッスンを融合させたインタラクティブな学習プラットフォームを提供することで、受動的な学習から能動的な学習への橋渡しをします」とメールには書かれている。

「Byju’s Future Schoolは、英語圏の生徒を担当する1万1千人のインドに拠点を置く有資格女性教師を擁しており、メキシコやブラジルなどの非英語圏市場へのさらなる浸透を目指しています。コーディングのカリキュラムは、スペイン語とポルトガル語でも提供され、これらの2カ国の生徒を担当する資格を持った女性教師を採用する予定です」とも。

Byju’s Future Schoolは、音楽、英語、美術、科学を含むさまざまな科目を提供する予定であると同社は従業員に伝えており、立ち上げ時にはコーディングと数学が利用可能になる予定だという。

【更新】本記事はByju’sからの確認を含めて更新された。

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

インド最大の教育オムニチャネル構築を目指しEdTech大手Byju’sが個別指導塾Aakashを約1102億円で買収

なぜByju’s(バイジュース)は2020年に10億ドル(約1102億円)以上の資金を調達し、さらに5億ドル(約551億円)の確保に向けてすでに少しずつ近づいているのか。今日、その答えが見えてきた。

Byju’sはインド時間4月5日、33年の歴史を持つ物理的な個別指導センターのチェーンであるAakash Educational Servicesを買収したと発表した。これは、インドのオンライン学習の最大手が、世界第2位のインターネット市場におけるリーダーとしての地位をさらに固め、オフラインでの成長を加速させるためだという。

関連記事:加速するオンライン学習サービス、インドのEdTech大手Byju’sが評価額1.6兆円で近く654億円調達か

現在評価額が130億ドル(約1兆4300億円)の同スタートアップは、この買収のために「10億ドル(約1102億円)近く」の現金と株式を支払った(現金約6億ドル/約661億3000万円、残りは株式)とのことで、これはEdtech分野では最大級の規模だと、事情に詳しい関係者3名がTechCrunchに語った(EYは、この取引について両社にアドバイスを行った。2021年1月に、両社が交渉中であることをBloombergが初めて報道した)。

Blackstoneが出資しているAakashは、一流の工科大学や医科大学への入学を目指す学生を対象に、全国で200以上の物理的な個別指導センターを所有・運営している。同社は25万人以上の高校生にサービスを提供している。

数十年の歴史を持つこの会社は近年、一部の製品をオンラインで利用できるようにしていたが、パンデミックの影響で学生の好みが変わってきたことから、6~7カ月前にAakashとByjuは買収の可能性を模索するようになったと、同社の幹部がTechCrunchの共同インタビューで語った(両社は、取引の財務的側面についてのコメントは控えた)。

Aakash Educationalのマネージングディレクター兼共同出資者であるAakash Chaudhry(アーカッシュ・チャウドリー)氏は、2社が手を組むことで「非常に充実した付加価値の高いサービスを学生に提供できる」と述べた。「Aakash Educationalの幹部は、買収後も同社に留まります」とも。

今回の買収により、両社はインドで最大の学生向けオムニチャネルを構築することができる、と同氏は続けた。「物理的な教室へのアクセスを希望する学生には、当社が対応しています。オンラインでコンテンツや学習にアクセスしたいと思っている学生には、Byju’sがサービスを提供してきました。我々はこれから一緒に、物理的なロケーションとテクノロジー、オンライン学習を活用して、他にはないものを学生に提供していきたいと思います」。

教育の未来はオフラインとオンラインが融合したものになるだろうと、同名のスタートアップの共同設立者兼CEOであるByju Raveendran(バイジュー・レヴィーンドラン)
氏はインタビューで語った。自身も教師の彼は(写真上)、それを理解しているのだろう。レヴィーンドラン氏はオンラインプラットフォームを立ち上げる前、スタジアムで何百人もの生徒に授業を行っていた人物だ。

Byju’sが提供する試験準備などのいくつかのサービスについては、オンラインのみのモデルはまだ数年先になるだろうと同氏は述べている。今回の契約は、ByjuとAakash Educationalのサービスをより小さな町や都市で展開することも目的としている。

2019年にAakashの株式37.5%を約1億8300万ドル(約201億7000万円)で取得した、Blackstoneのアジア買収共同責任者兼インドプライベートエクイティ責任者のAmit Dixit(アミット・ディクシット)氏はこう述べている。「オムニチャネルは、テスト対策と個別指導の勝利モデルとなっていくでしょう。インド有数の補習教育企業であるAakashとByju’sのパートナーシップに参加できることをうれしく思います」。

近年インドの教育スタートアップが受け取った資金(Blume Venturesがまとめた画像・データ)

大学・大学院への進学を目指す学生のための準備コースを提供するByju’sのユーザーベースは2020年から大幅に増加し、現在では8000万人以上のユーザーが利用しており、そのうち550万人が有料会員となっている。収益性の高いByju’sは、2020年、米国で1億ドル(約110億2000万円)以上の収益を上げたと、インドのベンチャーファンドBlume Venturesが先月開催したセッションで、(インドのスタートアップを支援している)GSV VenturesのマネージングパートナーであるDeborah Quazzo(デボラ・クアッゾ)氏が語った。

Lightspeed VenturesとNaspersが出資しているこのスタートアップは、近年、買収による無機的な成長も試みている。2019年には米国のOsmo(オズモ)を1億2000万ドル(約132億2000万円)で買収し、2020年には子供向けのコーディングプラットフォームWhiteHat Jr.を3億ドル(約330億6000万円)で買収している。レヴィーンドラン氏は、同社はさらに多くの企業を買収することを検討していると述べた。TechCrunchは先週、Byju’sがカリフォルニア州に本社を置くスタートアップEpic(エピック)を「3億ドル(約330億6000万円)を大幅に上回る額」で買収する交渉を行っていると報じた。

コンサルタント会社Convergence CatalystのチーフアナリストであるJayanth Kolla(ジャヤント・コラ)氏は、Aakashの買収によりByju’sはブランド認知度を高め、より多くの学生にリーチできるようになると述べている。「インドのような市場では、ウェブ上での有機的な急成長は、ある時点で停滞してしまいます」と彼は語った。

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

加速するオンライン学習サービス、インドのEdTech大手Byju’sが評価額1.6兆円で近く654億円調達か

新型コロナウイルスパンデミックによってインドでオンライン学習サービスの浸透が加速したことを受け、2020年約10億ドル(約1091億円)を調達したインドのEdTech大手Byju’s(バイジュース)が新たな資金調達を開始させようとしている。

この件に詳しい2人がTechCrunchに語ったところによると、Byju’sは評価額150億ドル(約1兆6367億円)で新たに6億ドル(約654億円)超を調達することで交渉している。評価額は2020年後半に110億ドル(約1兆2002億円)、2019年7月は57億5000万ドル(約6274億円)だった。

関連記事:インドのオンライン学習大手Byjuが約530億円を調達、アプリ登録者6400万人超、有料購読者420万人超

共同創業者でCEOのByju Raveendran(バイジュー・レヴィーンドラン)氏は2021年2月、一部の既存投資家にかなりのサイズの新規調達を3月に行うことを告げた、と情報筋は話した。新規ラウンドの交渉はかなり進んでおり、いくつかの新規投資家がラウンドをリードすることが予想されているとのことだ。

Byju’sの広報担当は2021年2月と今週初め、コメントを控えた。

近年、インドの教育スタートアップが受け取った資金(Blume Venturesがまとめた画像とデータ)

同社は調達する資金をスタートアップのさらなる買収に使う計画だ。現在、米国拠点のスタートアップ(TechCrunchは社名を確認できなかった)と買収の話し合いをしており、インドの対面式コーチング機関Aakashを買収するためにデューディリジェンスを行っていると匿名希望の情報筋は語った。Byju’sは1年前に、インドと米国で学生にオンラインコーディングクラスを提供しているWhiteHat Jrを3億ドル(約327億円)で買収した

Byju’sは大学の学部や修士レベルのコースを学生が履修うできるように準備しており、近年は学校に通うすべての生徒にサービスを提供するためにコースを拡大してきた。Byju’sアプリでの個人指導はピザやケーキといった実社会のものを使って複雑な科目に取り組んでいる。

インド政府が数カ月にわたる全国規模のロックダウンと学校閉鎖を命令することになったパンデミックは、Byju’sそしてUnacademyやVedantuなどを含む他のオンライン学習スタートアップの成長を加速させた。

Byju’sはユーザー8000万人を抱え、うち550万人が有料のサブスクを利用している。GSV Venturesのマネージングパートナー、Deborah Quazzo(デボラ・クアゾ)氏は今週初めにインドのベンチャーファンドBlume Venturesが開催したセッションで、利益を上げているByju’sの2020年の米国での売上高は1億ドル(約109億円)超だったと話した。

スタートアップの幹部たちは最近開催されたUBSイベントで、Byjuの現在の収益ランレートは8億ドル(約874億円)で、今後12〜15カ月で10億ドルに達すると予想している。

Byju’sは現在、前回の資金調達で160億ドル(約1兆7473億円)と評価された金融サービスのPaytmに続くインドで2番目に価値のあるスタートアップになっている。

関連記事:インドの教育系スタートアップByju’sのCEOが将来の買収、新型コロナ影響、海外展開について語る

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

インドの教育系スタートアップByju’sのCEOが将来の買収、新型コロナ影響、海外展開について語る

インドが3月下旬に全土でロックダウンを実施して学校や他の公共スペースを閉鎖して以来、バンガロール拠点のスタートアップByju’s(バイジュース)は世界で2番目に大きなインターネットマーケットであるインドの生徒にとってなくてはならないプラットフォームの1つになった。

Byju’sが生徒4000万人を集めるまでに4年半かかり、ロックダウン以降、Byju’sのユーザーベースは6500万人に膨らんだ。共同創業者でCEOのByju Raveendran(バイジュー・レヴィーンドラン)氏が9月15日、Disrupt 2020カンファレンスで語った。

生徒はByju’sの教え方にひかれる、と話す。自身も教師だったレヴィーンドラン氏は、複雑な数学の問題を教えるのにピザといった現実世界にあるものを使う直感的な方法を考え出した。

同氏のスタートアップの評価額は先週時点で110億ドル(約1兆1600億円)近くで(これによりByju’sはインドで2番目に価値の大きなスタートアップになった)、いくつかの海外マーケットでもサービスを展開している。2019年後半にByju’sは黒字化を達成したことを発表した(未訳記事)。この3つの特徴のうち1つでも持っているインドのスタートアップはそう多くなく、ましてや3つすべてとなるとなおさらだ。

内容が多岐に渡るDisrupt 2020でのインタビューの中で、レヴィーンドラン氏はByju’sのこれまでの道のり(Byju’sは教室や講堂、スタジアムで生徒に教えるオフラインのプラットフォームとして始まった)、海外マーケットでの事業拡大計画、M&Aの機会についての考え、新型コロナウイルスパンデミックがいかに事業やインドの教育分野に影響を及ぼしているかなどについて語った。

「残念ながら、多くの人にとってパンデミックがデジタル学習を試すきっかけになった。保護者は今、オンラインセグメントをこれまでにも増して受け入れている。この部門は明らかに分岐点にある」とレヴィーンドラン氏は話した。

生徒がオンライン学習をより利用しやすいようにするために、Byju’sはパンデミック中、提供するサービスをすべて無料にした。しかし同プラットフォームの有料購読者は今や400万人超となり、着実に成長していると同氏は述べた。

同社は2020年、インドマーケットでの売上高が10億ドル(約1055億円)を超え、純利益は1億5000万〜1億8000万ドル(約158億〜190億円)を予想している。

「相対的に成功といえる。ターゲットオーディエンスとして念頭に置いているのは浸透率で、この分野での我々の浸透率は4%以下だ。学校に通う子供の3分の1以上がスマートフォンを持っていない。この事実に対応するために、やらなければいけないことはたくさんある」と話した。

パンデミックによってインドで引き起こされた別の現象は、エドテックスタートアップ業界における統合だ。Byju’sは生徒にコーディング技術を教える創業18カ月のスタートアップWhiteHat Jr.を3億ドル(約316億円)で買収した(未訳記事)。

Byju’sが他にもいくつかの企業と話し合いを進めていることについては、TechCrunchはすでにレポートした。ここにはインド企業のDoubtnutが含まれる(未訳記事)。同社のアプリでは生徒が数学の問題の写真を撮り、その解き方をステップバイステップで提供する。

M&Aに関してByju’sが語ったことは次の通りだ。「この部門の長期的なポテンシャルはかつてなく高まっている。当社は既存のユーザーベースあるいは新しいマーケットで獲得し得る新規の顧客に強固なプロダクトの構成要素を加えることができる企業を探している。または、新たなマーケット、特に英語が使用されているマーケットにおいてすぐさま事業を展開できるようディストリビューションで貢献してくれる企業が欲しい」。

「今後数社の買収を発表する。数社について真剣に検討している」とも付け加えた。レヴィーンドラン氏は「最も株に価値を置いている」ため、今後の買収はまたも全額現金払いとなる見込みだ。

IPO、資金調達、そして海外展開

Byju’sは少なくとも今後2年は上場を考えていない、とレヴィーンドラン氏は話した。「当社は強固なビジネス基盤を持っている。高成長と持続可能な成長の正しいバランスを見つけることができ、かなりの短期間で非常に収益性の高いモデルを構築した。しかし上場について真剣に考えていない」と述べた。

Byju’sに出資している投資家もまた急いでいないようだ。「一部の初期投資家にエグジットを与えるために上場する必要はない。というのも、事業そのものが十分な現金を生み出すからだ。投資家の大半が過去のラウンドで投資した額の金をすでに手にした」と同氏は語った。

Byju’sは今年、7億ドル(約740億円)超を調達した。レヴィーンドラン氏になぜ資金を調達するのか尋ねた。「調達した主な資本の使い方という点において、当社はかなり資本効率がいい。最初の5年間で主要資本のうち3億5000万ドル(約370億円)に満たない額を使った。これは当社がいかに効率的にモデルを展開してきたかを示している」と述べた。

「最近の資金調達の大半は、完全現金払いの買収のような無機的成長の費用を賄っている。当社はこれを強固なビジネスモデルの追加に使っている。当社は必要だからと資金を調達したことはない。常に適切なパートナーを加えるためだ。直近では、長期的で忍耐強い投資家を追加した」と同氏は話した。Byju’sは現在少なくとも投資会社2社と話し合いを進めていて一連の資金調達の動きはまだ終わっていないようだ。

海外事業の拡大については、レヴィーンドラン氏はいくつかの英語圏マーケットの子供を対象にしたデジタル学習アプリを立ち上げる計画だと述べた。オーストラリアやニュージーランドを含む複数のマーケットの顧客向けにWhiteHat Jr.が数学を提供するとのことだ。

またTechCrunchは、インドにおけるまだ黒字化を達成していない他のスタートアップ大企業についてどのように考えているか、インドのエドテック分野に新規参入の余地はあるか、などについても話を聞いた。完全インタビューは以下のビデオで閲覧できる。

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カテゴリー:EdTech

タグ:Byju’s インド Disrupt 2020

画像クレジット:MANJUNATH KIRAN / AFP / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi