Canon、フィルムカメラの販売を終了――時代は過ぎゆく

カレンダーに書き込んでおくといいかもしれない。あるテクノロジーが終わりを告げた―もっともこのテクノロジーはここ10ほど死にかけてはいたのだが。日本の巨大カメラメーカー、Canonは今週、フィルムカメラの最後の1台を販売したことをひっそりと発表した。日本語サポート・ページの内容に気づいたのはPetaPixelだった。

問題の機種はEOS-1Vで、製造はなんと8年前に打ち切られており、以後Canonは在庫を販売していた。その在庫がとうとなくなったらしい。突然驚きのニュースというより長いことかかって徐々に消えていったという雰囲気だ。そうではあっても一時代の終わりといえるだろう。1930年代の創業以来、Canonの販売ラインナップからフィルムカメラが消えるのはこれが始めてだ。Canonの前身の会社は初めて売り出したカメラを〔観音菩薩にあやかって〕KWANON(カンノン)と名付けたという。

突然ノスタルジーを起こしてEOS-1Vが欲しくなる向きもあるだろうが、中古の購入は比較的簡単だ(もっともこのニュースで多少プレミアがアップするかもしれない)。この分だとKickstarterにフィルムカメラの復活プロジェクトが登場するのもそう遠くないだろう。

Nikonを始めフィルムカメラをサポートし続けているメーカーはいくつかある。CanonではEOS-1Vの修理サポートを2025年10月31日まで受け付けるとしている。しかし規約で定められた修理対応期間(2020年10月31日)の終了以降は部品の在庫状況により修理を受け付けることができない可能性があるという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

キヤノン、6D Mark IIを発表――フルサイズのデジタル一眼入門に絶好

キヤノンがフルサイズのデジタル一眼レフ、EOS 6D Mark IIを発表した。前モデルの6Dは2012年にデビューしており、私自身、真っ先に1台購入した。それから5年経ったが依然として素晴らしいカメラだ。5D Mark IVも持っているが、ある点ではこれに十分匹敵する。キヤノンから今回新しく登場した6D Mark IIはオリジナルの6Dのアップグレードを考えていたユーザーにも、新しくフルサイズの一眼レフを購入しようと考えるユーザーに好適だ。

6D Mark IIは26.2メガピクセルのフルサイズCMOS撮像素子を内臓する。AFは全クロスタイプの45点測距だ(撮影目的にもよるが、AF測距点が一挙に4倍以上になったことが最大のアップグレードかもしれない)。キヤノン独自のデュアルピクセルCMOS AFを採用しており、1080p 60pのフルHDビデオ撮影が可能。レンダリング・エンジンには新しいDIGIC 7画像プロセッサーが使われている。ISO感度は常用で100から40000。モニターはサイドオープン式バリアングルで今回のアップグレードで6Dに初めて採用された。

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バリアングル・ディスプレイも大きなセールスポイントだ。キヤノンのハイエンドのフルサイのズデジタル一眼でバリアングルが採用されたのは珍しい。街撮り、結婚式などでバリアングルは簡単にユニークなアングルの写真が撮れる。ビデオ機能は残念ながら6D Mark IIがやや弱い部分だ。ライバルのほとんどが4Kビデオ撮影機能を売り物にしているが、こちらはフルHDどまりとなる。

連写性能は毎秒6.5コマに強化された。防塵防滴仕様でWi-Fi、NFC、Bluetooth、GPSを内臓する。予約の受付を開始しており、出荷は8月になるようだ。

静止画撮影がメイン、ときおりビデオを撮影するというカメラマニアには最適の性能だろう。もちろん市場は2012年以来大きく変わった。2000ドル〔20万円半ば〕という価格帯には富士フィルムのX-T2、ソニーのミラーレスなどが存在する。それでもボディー価格1999ドルで画質、信頼性に定評あるキヤノンの製品が購入できるとなれば十分魅力ある製品だ。

〔日本版〕記事中のスライドショー画像はEF 24-105 f4L IS USM IIのレンズキット。アメリカ版プレスリリースにはこのレンズキットがリストアップされているが、日本では用意されない。日本でのレンズキットは24-70 F4L IS USMとEF 24-105 IS STMの2種類となる。キヤノンの日本サイトはこちら。キヤノン・マーケティング制作の紹介ビデオによればバリアングル液晶は60Dのものと同タイプで、取り付け軸を中心に180°回転して裏返しにできる(0:58あたり)。

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Canon、ミラーレスのEOS Mの新モデルM2を発表―現行機の最大の欠点、AF速度が大幅に改善か

Canonの最初のミラーレス一眼は失望させる製品だった。 2012年に発表されたEOS Mの最大の欠点は信じがたいほどAFの合焦速度が遅いことだった。また撮影直後にモニターの画像が一瞬消えるという不具合もあった。新モデルではCanonはこれらの問題を改善し、Wi-Fi機能を追加した。デザインは現行モデルをほぼ踏襲した。

M2が公式に発表されたのは今のところ日本と中国だけで、英語圏での発表は今日になるもようだ。しかし新モデルの概要はすでに明らかになっている。ボディーのデザインは現行機とほぼ同じだが、サイズはわずかに小さくなり、Wi-Fiによる写真の共有、転送が可能になっている。

しかしなんといっても最大のセールスポイントはAFの改善だ。CanonはハイブリッドCMOS AF IIシステムの採用により、AF速度を2倍以上に向上させたとしている。APS-Cサイズ、18メガピクセルのセンサーは現行モデルと同様だが、もともとセンサーには問題はなかったので、AF速度が発表どおり大幅に改良されているならミラーレス・レンズ交換式カメラ(MILC)の入門機としては優秀なモデルになったはずだ。

M2は日本市場には12月中旬に出荷される。アメリカ市場への出荷時期は明らかになっていないが、クリスマス商戦に間に合えばCanonにとって大いにメリットがあるだろう。今年中にアメリカ市場に投入されることを期待した。私自身EOSMのデザインは気に入っている。Canon Rumorsに詳細なスペックがある。

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Canonの新デジイチ、EOS 70DはライブビューのAFが画期的に改善―インディーの映画製作者に理想的

キヤノンは長らく待たれて中級デジタル一眼レフの新機種EOS 70Dを発表した。これは60Dの後継機種で、スペック、価格の両面で入門デジイチのRebel(Kiss)シリーズの上位に位置する。60Dと比較して今回発表された70Dは動画撮影に大幅な機能向上が図られている。

キヤノンは70DにデュアルピクセルCMOS撮像素子によるオートフォーカスを導入した。このテクノロジーでは1画素に2個のセンサーを搭載することによって焦点合わせの高速化を実現している。AFはスムーズで正確になり、ライブビューで動画撮影を行う際に特に威力を発揮する。モニタは自由に回転させることができるバリアングル方式だ。静止画撮影のAF能力も改善されている。AF測距点は上位機種の7Dと同じ19点(すべてクロスタイプ)に改良された。しかしなんといっても、機能強化の中心は動画だ。

量産前のモデルだが、実機をテストしたEngadgetによれば、新AFは広告どおりの高性能ぶりを示したという。デジタル・ビデオの撮影にはキヤノンのSTMシリーズのレンズとの相性が特に良いらしい。その結果は驚くべきレベルだという。Kickstarterで資金集めをしているインディーの映画製作者にとっては70Dの出現は大きな朗報だ。

ISOレンジも拡大され、3インチの高精細度バリアングル・モニタにはタッチ・パネルが採用された。連射は毎秒7コマにスピードアップした。また上位モデルの6Dに採用されているWi-Fi接続機能も装備され、スマートフォンやタブレットからカメラを操作したり、ファイルを転送したりできる。

価格も度外れに高価ではない。ボディのみが1199ドル、 18-55mm IS STMレンズキットが1349ドル、EF-S 18-135 ISSTMレンズキットが1549ドルだ。キヤノンによれば発売は9月になるという。それ以後に製作が始まる Kickstarter映画の画質は大いに向上すると期待できそうだ。〔日本版:日本では8月29日発売予定で、ボディーのみの実勢価格は13万円前後と予想されている。〕

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Canon、プロのデザイナー向け混合ARシステム、MREALをリリース―超リアルなプロトタイピングが可能に

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今日、Canon〔アメリカ法人〕は混合拡張現実システム、 MREALをリリースした。ヘッドマウントディスプレイを装着したユーザーは周囲の現実の中に3次元の仮想物体を置いて観察するることができる。デザイナーにとってはまさに夢の実現だ。

ARは一般ユーザー向けの応用としてはまだこれといって目立った成果を挙げていないが、工業デザインの分野では画期的な飛躍となるかもしれない。CanonのMREALの価格は12万5000ドルで、当然プロの使用を前提としている。

MREALのヘッドセットはGoogle Glassのように軽量で洒落たデザインではない。透過式で情報を表示するのではなく、ヘッドセットに装備されたカメラで正面の映像を取り込み、その上にバーチャル物体を重ねて表示するようコンピュータが処理する。バイザー内には2台のディスプレイがあり、リアルタイムで3D動画ストリームが表示される。Glassのように長時間装着することを前提にしたシステムではない。しかし極めて高精細度の3D動画で、現実の周囲の状況に重ねて仮想物体を見ることができる。たとえば自動車デザイナーはショールームに置かれた車体がその照明の下でどのように見えるか限りなくリアルに体験できる。〔キヤノンのMRシステムの紹介ページ

20130221_hiRes_3dcardemo本体12万5000ドル、プラス年間2万5000ドルのメンテナンス料金では一般人が気軽に買うというわけにはいかないが、プロのデザインのあらゆる分野に大きなインパクを与えそうだ。デザイナーやエンジニアが用いるのはもちろん、開発中の製品に対する消費者の反応を得るためにも大いに役立つ。また発明家が投資家に対して「完成すればこうなる」とアイディアを売り込む際にも威力を発揮しそうだ。もちろんiPhoneのケースを作るというならこんな高価なシステムを使っては引き合わないだろうが、Lit Motorsのように次世代電気自動車を開発しているなら、十分に合理的な投資といえる。

GoogleがGlassを発表したインパクトでサードパーティーが眼鏡タイプの情報デバイスの開発を始めたのと同様、Canonのような世界的有名企業からこうした画期的システムがリリースされたことは、ステートアップが似たような機能でもっと安価なソリューションを探し始めるきっかけになるに違いない。ARが小規模なビジネスでも利用できるような価格になることを期待したい。

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