Ubuntu開発元Canonicalが仮想マシン管理ツールMultipassのM1 Macサポート発表、20秒でLinux環境起動

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Ubuntu開発元Canonicalが仮想マシン管理ツール「Multipass」のM1 Macサポート発表、20秒でLinux環境を起動

Canonical

Linuxで最大のシェアを持つUbuntuの開発元Canonical社は9日(英現地時間)、M1チップ(系列)を搭載したMac上でクロスプラットフォームのLinuxを動作させる「最も迅速な方法」を発表しました。具体的には仮想マシン管理ツール「Multipass」(GitHub)がサポートされたということであり、これによりユーザーは1つのコマンドでM1 Mac上で仮想マシンイメージを起動し、わずか20秒でLinuxを実行できるとのことです。

アップル初のMac向け自社開発チップ「M1」は高性能かつ低消費電力が魅力ながらも、独自仕様のためmacOS以外のOSを動かすことが困難であり、Linux Kernelについても一応の動作が確認されてから、Linux Kernel 5.13 RCで正式サポートされるまで半年近くかかっていました。ついに10月には「基本的なデスクトップとして使える(GPUアクセラレーションはまだ使えず)」と宣言されながらも、今なおM1 Mac上で動かすまでは簡単な作業とは言えません。

そんななか、Canonical社はUbuntuこそが「M1 MacをLinuxコンピュータに変身させる最初のプラットフォーム」だと主張。今回のMultipassサポートに当たっても、プロダクトマネージャーのNathan Hart氏も自社が「開発者が市場にある他の選択肢よりも早くLinuxを使えるようにしたいと考えており、Multipassチームはその実現に貢献しています」と述べています。

Multipassの何が優れているかといえば、仮想マシン(VM)内のアプリを動かすにあたってコンテキスト(動作状態を保持する機構)を切り替える必要がなく、VM内のアプリをホスト端末(M1 Mac)から直接実行できるということです。

公式ブログによれば、Multipassの最新版1.8.0ではVM内のコマンドとホストOS上のコマンドを結びつけられる新機能「エイリアス」が利用でき、それにより「ユーザーはあらゆるLinuxプログラムをネイティブに近い状態で使えます」とのこと。例えばWindowsやMac上でDocker(仮想環境の構築ツール)を実行したい開発者にとって、エイリアスはその代わりになり得ると謳われています。

アプリやシステム開発から縁遠い一般人にとっては難解な話にも思えますが、要は「M1(あるいはM1 ProやM1 Max)搭載MacでLinuxの仮想マシン(サーバーなど)を構築してコマンド実行しやすくなった」ということです。

M1 Macの発売から約1年が経過し、アップルが全く仕様を明らかにしていないM1チップの分析がここまで進んだことは驚きとも思えます。が、上記のLinux KernelはGPUアクセラレーションはまだ使えず、今回のMultipassはそもそもグラフィック機能はサポートしておらず、いずれもM1チップを攻略しきっているとは言えません。

とはいえ、MacにゲーミングPC的なグラフィック機能を求めるのはコストパフォーマンスと見合っていない事実は、価格が数倍違うM1 Max MacBook ProとPS5のGPU性能が大差ないことでも再確認された感はあります。クリエイティブやソフト開発のプロ向け製品として、M1 Macは着実にシェアを伸ばしていくのかもしれません。

(Source:Ubuntu Blog。Via 9to5MacEngadget日本版より転載)