ライブビデオストリーミング会社LiveUの買収をPE大手Carlyleが正式に認める

米国時間7月19日にお伝えした、LiveU(ライブユー)の売却が間近に迫っているというニュースに続き、米国時間7月20日には同社とその買い手であるCarlyle(カーライル)がその取引を正式に認めた。LiveUは世界の約3000の主要メディアに採用されているライブストリーミング・ハードウェアおよびソフトウェアの大手開発会社である。

売り手は、2年前にLiveUを2億ドル(約219億円)で買収したFrancisco Partners(フランシスコ・パートナーズ)で、Carlyleと同じプライベート・エクイティ(PE)企業だ。LiveUとCarlyleは、今回の売却条件を明らかにしていないが、有力な情報筋によれば、4億ドル(約438億円)以上だと伝えられている。Carlyleは、投資資金はCarlyle Europe Technology Partners(カーライルヨーロッパテクノロジーパートナーズ、CETP)IVによって提供されると発表している。同ファンドはヨーロッパと米国のミドルマーケットテクノロジーに焦点を当てて投資を行うファンドだ。LiveUはイスラエルに本社を置いているが、今回の買収はCarlyleにとってイスラエルでの初のハイテク企業買収となる。

LiveUの評価額が2年間で2倍になったのは、現在のメディアの状況を反映したものでもある。特に、動画はコンテンツや情報の消費の中心であり、その存在感は高まる一方だ。このため動画の撮影・送信方法を改善するツールを開発する企業が注目されているのだ。

またパンデミックも動画市場を活性化させた別の要素だ。LiveUは、今回の東京オリンピック大会の数千時間におよぶイベントの録画・配信に使用される予定だ。東京大会では、多くの重要なイベントが無観客で行われるため、これまで以上にライブビデオコンテンツへの依存度が高くなるだろう。

そのことはまた、LiveU自体が成長し、その地位を確固たるものにしていることにも由来している。最近では、同社は英国市場のチャネルパートナーであるGarland Partners(ガーランド・パートナーズ)を買収し、同地域の顧客とより直接的な関係を築き、ビジネスを拡大しようとしている。

同社は、映像を撮影するカメラなどの機器だけでなく、それを送信するためのエンコード機器、そして素材を受け取って利用するハードウェアまでの、垂直統合型の提案を行う。

また、高品質な映像を撮影し伝送するために不可欠なデータ圧縮を行うソフトウェアを開発し、携帯電話や衛星などのさまざまなネットワークを組み合わせて動作させている。

要するにこれは非常に奥行きのあるシステムであり、部分的にも、全面的にも採用することが可能なのだ。そしてこの柔軟性と信頼性により、3000社を超えるメディア企業が顧客として名を連ねており、スポーツイベントや大規模なニュースイベントなどの注目度の高いイベントや、日常的なビデオ報道にも使用されている。

FranciscoはLiveUを資産として比較的早く手放したが、Carlyleはより戦略的な計画を持っているようだ。Carlyleは「メディアテック分野での深い経験を活かして、LiveUの成長への熱望を支援したい」と述べている。同社はすでにDisguise(ディスガイズ)、NEP、The Foundry(ザ・ファウンドリ)、Vubiquity(ビュービクイティ)、BTI Studios(BTIスタジオ)、The Mill(ザ・ミル)などの隣接業務企業に投資している。また、LiveUは、同社が連携プレーを継続するための役割を果たすようだ。

LiveUは声明の中で「Carlyleは、高品質なライブ映像配信の需要が急速に高まっていることを利用しつつ、M&A活動や有機的な成長を通じて、LiveUの市場での地位をさらに強固にすることを目指します」と述べている。同社によれば、5Gが広く普及することでその傾向が加速するという。

LiveUの共同創業者であるCEOのSamuel Wasserman(サミュエル・ワッサーマン)氏は「Carlyleと提携することで、LiveUのグローバルな事業展開とサービスの拡大を図ることが可能になり、大変うれしく思っています。今回の買収は、LiveUにとって重要な節目であり、当社の事業に対する強い信頼を示すものです」と述べている。「Carlyleは、メディアやテクノロジー分野での実績に加え、グローバルなネットワークを活用することで、業界の深い専門知識を提供してくれるでしょう。ここ数年のFrancisco PartnersとIGP Capitalのサポートとパートナーシップに大いに感謝しています」。

CETPのアドバイザリーチームの責任者であるMichael Wand(マイケル・ワンド)氏は「Carlyleは、急速に成長している革新的で破壊的なメディアテクノロジー企業に投資してきた実績を持っています。今回急速に成長している市場の最前線にいるLiveUと提携できることを本当にうれしく思っています」と述べている。「LiveUチームとのパートナーシップにより、新しい分野への進出、ターゲットを絞ったM&A、特にライブコンテンツの需要が急増しているライブスポーツに対する主要メディア放送局との関係強化などを通して、彼らの成長をサポートしていきます。高品質のリアルタイムビデオコンテンツへの移行が進んでいること、他の伝送技術と比較した場合のボンディングセルラー技術(複数の電話回線を束ねて伝送速度を上げる技術)のコスト面での優位性、セミプロやノンプロのスポーツなどのこれまで日の当たらなかった分野にライブ放送を導入する機会などは、LiveUに大きな成長の可能性を提供できると考えています」。

関連記事:PE大手Carlyleがライブ放送・ストリーミング技術のLiveUを438億円超で買収すると関係筋

カテゴリー:ネットサービス
タグ:CarlyleLiveU買収ライブストリーミング動画配信イスラエル

画像クレジット:LiveU

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:sako)

ライブビデオストリーミング会社LiveUの買収をPE大手Carlyleが正式に認める

米国時間7月19日にお伝えした、LiveU(ライブユー)の売却が間近に迫っているというニュースに続き、米国時間7月20日には同社とその買い手であるCarlyle(カーライル)がその取引を正式に認めた。LiveUは世界の約3000の主要メディアに採用されているライブストリーミング・ハードウェアおよびソフトウェアの大手開発会社である。

売り手は、2年前にLiveUを2億ドル(約219億円)で買収したFrancisco Partners(フランシスコ・パートナーズ)で、Carlyleと同じプライベート・エクイティ(PE)企業だ。LiveUとCarlyleは、今回の売却条件を明らかにしていないが、有力な情報筋によれば、4億ドル(約438億円)以上だと伝えられている。Carlyleは、投資資金はCarlyle Europe Technology Partners(カーライルヨーロッパテクノロジーパートナーズ、CETP)IVによって提供されると発表している。同ファンドはヨーロッパと米国のミドルマーケットテクノロジーに焦点を当てて投資を行うファンドだ。LiveUはイスラエルに本社を置いているが、今回の買収はCarlyleにとってイスラエルでの初のハイテク企業買収となる。

LiveUの評価額が2年間で2倍になったのは、現在のメディアの状況を反映したものでもある。特に、動画はコンテンツや情報の消費の中心であり、その存在感は高まる一方だ。このため動画の撮影・送信方法を改善するツールを開発する企業が注目されているのだ。

またパンデミックも動画市場を活性化させた別の要素だ。LiveUは、今回の東京オリンピック大会の数千時間におよぶイベントの録画・配信に使用される予定だ。東京大会では、多くの重要なイベントが無観客で行われるため、これまで以上にライブビデオコンテンツへの依存度が高くなるだろう。

そのことはまた、LiveU自体が成長し、その地位を確固たるものにしていることにも由来している。最近では、同社は英国市場のチャネルパートナーであるGarland Partners(ガーランド・パートナーズ)を買収し、同地域の顧客とより直接的な関係を築き、ビジネスを拡大しようとしている。

同社は、映像を撮影するカメラなどの機器だけでなく、それを送信するためのエンコード機器、そして素材を受け取って利用するハードウェアまでの、垂直統合型の提案を行う。

また、高品質な映像を撮影し伝送するために不可欠なデータ圧縮を行うソフトウェアを開発し、携帯電話や衛星などのさまざまなネットワークを組み合わせて動作させている。

要するにこれは非常に奥行きのあるシステムであり、部分的にも、全面的にも採用することが可能なのだ。そしてこの柔軟性と信頼性により、3000社を超えるメディア企業が顧客として名を連ねており、スポーツイベントや大規模なニュースイベントなどの注目度の高いイベントや、日常的なビデオ報道にも使用されている。

FranciscoはLiveUを資産として比較的早く手放したが、Carlyleはより戦略的な計画を持っているようだ。Carlyleは「メディアテック分野での深い経験を活かして、LiveUの成長への熱望を支援したい」と述べている。同社はすでにDisguise(ディスガイズ)、NEP、The Foundry(ザ・ファウンドリ)、Vubiquity(ビュービクイティ)、BTI Studios(BTIスタジオ)、The Mill(ザ・ミル)などの隣接業務企業に投資している。また、LiveUは、同社が連携プレーを継続するための役割を果たすようだ。

LiveUは声明の中で「Carlyleは、高品質なライブ映像配信の需要が急速に高まっていることを利用しつつ、M&A活動や有機的な成長を通じて、LiveUの市場での地位をさらに強固にすることを目指します」と述べている。同社によれば、5Gが広く普及することでその傾向が加速するという。

LiveUの共同創業者であるCEOのSamuel Wasserman(サミュエル・ワッサーマン)氏は「Carlyleと提携することで、LiveUのグローバルな事業展開とサービスの拡大を図ることが可能になり、大変うれしく思っています。今回の買収は、LiveUにとって重要な節目であり、当社の事業に対する強い信頼を示すものです」と述べている。「Carlyleは、メディアやテクノロジー分野での実績に加え、グローバルなネットワークを活用することで、業界の深い専門知識を提供してくれるでしょう。ここ数年のFrancisco PartnersとIGP Capitalのサポートとパートナーシップに大いに感謝しています」。

CETPのアドバイザリーチームの責任者であるMichael Wand(マイケル・ワンド)氏は「Carlyleは、急速に成長している革新的で破壊的なメディアテクノロジー企業に投資してきた実績を持っています。今回急速に成長している市場の最前線にいるLiveUと提携できることを本当にうれしく思っています」と述べている。「LiveUチームとのパートナーシップにより、新しい分野への進出、ターゲットを絞ったM&A、特にライブコンテンツの需要が急増しているライブスポーツに対する主要メディア放送局との関係強化などを通して、彼らの成長をサポートしていきます。高品質のリアルタイムビデオコンテンツへの移行が進んでいること、他の伝送技術と比較した場合のボンディングセルラー技術(複数の電話回線を束ねて伝送速度を上げる技術)のコスト面での優位性、セミプロやノンプロのスポーツなどのこれまで日の当たらなかった分野にライブ放送を導入する機会などは、LiveUに大きな成長の可能性を提供できると考えています」。

関連記事:PE大手Carlyleがライブ放送・ストリーミング技術のLiveUを438億円超で買収すると関係筋

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タグ:CarlyleLiveU買収ライブストリーミング動画配信イスラエル

画像クレジット:LiveU

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:sako)

PE大手Carlyleがライブ放送・ストリーミング技術のLiveUを438億円超で買収すると関係筋

コンテンツに関してはストリーミングが何より肝心になってきている中、世界中のどこからでもライブ配信できる技術を開発している企業の1つが買収されることになった。LiveU(ライブユー)は、ライブ中継やブロードキャスト映像をキャプチャして配信するための衛星 / セルラーハードウェアおよびソフトウェアを提供しており、3000以上の大手メディア企業に採用されているが、プライベートエクイティ投資会社であるCarlyle(カーライル)に4億ドル(約438億円)以上で買収されることになったと、複数の関係筋がTechCrunchに語った。

LiveUはイスラエルに拠点を置いており、取引は地元メディアによって進んでいると報じられていた。TechCrunchの情報筋によると、この買収はクロージングの最終段階に入っており、早ければ米国時間7月19日か20日にも発表される可能性があるとのこと。LiveUの広報担当者はこの記事へのコメントを控えており、Carlyleの広報担当者からはコメントを得られなかった。

注目すべき点は、ここ2年の間にLiveUが買収されるのは2度目だということだ。同社は以前、Francisco Partnersという別のPE企業に2億ドル(約219億円)で買収されている。

25カ月で2倍以上になった評価額の急上昇は、動画コンテンツへの関心が大きく高まっていることが一因だ。

少し前までは、テレビの限られたチャンネルでしかライブビデオを観ることはできなかった。それが今では、ライブやそれに近いもの、あるいはオンデマンドの動画が、あらゆる場所で観られる。オンデマンドやライブストリーミングの映像は、アプリ(放送専用のもの、またはYouTubeやFacebookなど他のコンテンツと一緒に提供されるもの)やウェブサイトで観ることができ、テレビだけでなく、スマホやタブレット、PCでも観ることが可能だ。今日では、人々に情報を提供したり楽しませたりするための主要なメディアとなっており、IPトラフィック全体の80%以上を占めている。

そのため、映像を撮影して配信するプロセスを、より簡単に、より安く、より高い品質で実現する技術を開発している企業が注目されるのは当然のことだ。(LiveUは、テニス選手権からDerek Chauvin〔デレク・ショーヴィン〕被告の裁判まで、多くの注目を集める報道に使用されている)。

もう1つの理由は、LiveUが買収によって規模を拡大したことにあるようだ。2021年初め、LiveUは英国市場のチャネルパートナーであるGarland Partnersを非公開で買収し、同地域の顧客に近づくことに成功した。ある情報筋によると、この統合により、LiveUが買収されるための道筋ができ、その評価も上がったとのことだ。

Carlyleと同時期に他の買い手がいたかどうかは定かでないが、Carlyleは2020年、かなり積極的に買収やグロースステージ投資を行っている。2020年は、新型コロナウイルスのパンデミックとそれにともなう消費者や企業の行動の変化を受けて、資金の動きが激しい年だった。

同社の欧州(特に英国)における他の買収事例としては、英国のハイブリッドワークスタートアップである1eを2億7000万ドル(約295億円)で買収した他、ゲーム会社のJagexを約5億3000万ドル(約580億円)で買収した。また、韓国のMaaSスタートアップであるKakao Mobilityへの2億ドル(約219億円)の出資も行っている。今回のLiveUは、イスラエルでの最初の案件になると思われる。

イスラエルは、こうした活動の大きな恩恵を受けている。テルアビブを拠点とするベテラン投資銀行家でスタートアップアドバイザーでもあるAvihai Michaeli(アビハイ・ミカエリ)氏は、2021年の最初の6カ月間に同国内のスタートアップがまとめて110億ドル(約1兆2039億円)を調達したと見積もっており、それは7月19日の時点ですでに120億ドル(約1兆3133億円)にまで拡大している。PE企業は常連客であり、イスラエルでのエグジットに関しては「内部から改善して、さらに高い価値で売却する」というのが常套手段だという。他の例としては、Francisco Partnersが2021年2月にMyHeritageを約6億ドル(約657億円)で買収している。

さらなる情報が得られれば、この記事を更新する。

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タグ:CarlyleLiveU買収ライブストリーミング動画配信イスラエル

画像クレジット:LiveU

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Aya Nakazato)