クラスがオフィス家具サブスク強化、「交換し放題サービス」で急成長するスタートアップを支援へ

月額400円から使える家具のサブスクリプションサービス「CLAS」を展開するクラスは1月27日よりオフィス家具・什器の「交換し放題サービス」を開始した。

同サービスでは、オフィスや店舗に配置する家具・什器・家電を月額500円から利用・交換できる。現時点でデザイン性の高いチェア、デスク、ソファをはじめ、実用性の高いロッカー、書ける天板を利用したディスカッションテーブル、木目調のホワイトボード、家電、プロジェクターなど50種類以上のアイテムが対象。2020年春には100種類まで拡大する予定だ

最低利用期間は3ヶ月となっていて、それ以降であれば利用期間を自由に設計可能。交換時に配送料がかかるものの、契約金額の範囲内であれば回数や期間の制限なしでアイテムを“交換し放題”である点が特徴だ。

従来のCLASと同様、通常使用の範囲であれば汚れや傷がついてしまったアイテムも無料で交換でき、メンテナンスの費用や手間もない。また家具選定やレイアウト設計に関してはコーディネーターが無料でサポートする。

クラス代表取締役の久保裕丈氏によると、個人向けにはリペアしやすいPB製品を中心に交換し放題の仕組みを作れていたが、法人向けにはできていなかったそう。法人向けPB製品のラインナップが整ってきたことでオフィス家具においても交換し放題が実現したという。

今回のオフィス家具サブスクは、急成長するスタートアップ企業や生産性の高いオフィスづくりを目指す企業のサポートをすることが目的だ。新メンバーがどんどん加入する段階のスタートアップでは、その度に家具の購入やレイアウトの変更、不要になった家具の廃棄などが必要になる。クラスでは家具や什器をサブスク型で提供し、その負担を軽減することを目指す。

また交換し放題であるため“A/Bテスト”のような感覚で何度も家具やレイアウトを変更でき、理想のオフィスづくりに強いこだわりがある企業とも相性が良さそうだ。

「オフィス向け”交換し放題プラン”は、規模の大小は問わず、スタートアップの企業様に体験いただきたいと考えています。スタートアップは、人員の増減、組織体制・カルチャーの変化、短期間でのオフィス移転など、急激な変化が起こります。少ない管理部門と資金で運営しているスタートアップでは、こういった変化に伴うオフィス什器に関する悩みは枚挙にいとまがありません」

「『人員の急激な増減に、什器の調達・廃棄が間に合わない』『購入したはいいけど、移転/レイアウト変更で1年も使わず什器を廃棄する羽目に』『買い替えや廃棄にまつわる手間や初期投資が重たい』『社員のために導入したものの、全く使われない空間がある』こういった一切のお悩みをサービスを通じて解決していきたいと考えています」(久保氏)

交換し放題サービスの事例

CLASは個人を主な対象とした月額500円からの家具レンタルサービスとして2018年8月にリリース。家具のラインナップを増やすだけでなく、家電やベビーカー、観葉植物など家具以外のアイテムにも対象を広げてきた。2019年12月には関西の一部地域への対応もスタートし、提供エリアも拡大中だ。

運営元のクラスでは昨年12月にギークスを含む複数の事業会社などから総額約2億円を調達。それ以前にもANRIやキャナルベンチャーズを始めとした投資家より複数回に渡って資金調達を実施している。

家具のサブスク・レンタルサービスは個人向け、法人向けを含めて、ここ数年で国内でもいくつか新しいサービスが出てきた。TechCrunch Japanでも過去に「airRoom」や「subsclife」、「Kaggレンタル」などを紹介している。

家具の月額レンタルサービスのCLASが関西進出、返却手数料無料キャンペーンを開始

家具や家電を月額定額、いわゆるサブスクリプションで利用できるサービスを提供するクラスは12月9日、サービスエリアを大阪府・京都府・兵庫県・奈良県の2府2県に拡大することを発表した。従来の東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県とあわせて1都2府5県で利用可能になる。対象地域拡大に伴い、2019年12月25日までの期間限定で関西の対象地域に住んでいる利用者に向けて、利用4カ月目から返却手数料が無料と2000円ぶんポイント贈呈という2つのキャンペーンを実施する。同社は、2020年末までに関西地域で会員登録数20万人を目標にする。なお、対象エリアは今後も拡大していく予定とのこと。

上記のキャンペーンに応募するには、専用ページ https://clas.style/contents/27から会員登録を済ませて家具を借りるだけでいい。会員登録すると2000円ぶんのポイントが自動的に付与され、利用開始から4カ月目が経過した家具は解約時の返却数料が無料になる。なお返却数料は通常、1年以上の利用で半額、2年以上の利用で無料となる。

関西エリアの具体的な対象市町村は以下のとおり。

  • 大阪府:岬町、阪南市、泉南市、泉佐野市、貝塚市、南河内郡、泉南郡、泉北郡、豊能郡豊能町を除く全域
  • 京都府:京都市、亀岡市、宇治市、向日市、長岡京市、八幡市、京田辺市
  • 兵庫県:神戸市、姫路市、西宮市、尼崎市、明石市、加古川市、宝塚市
  • 奈良県:奈良市、生駒市、橿原市、大和郡山市、天理市、香芝市

月額400円からの家具・家電サブスク「CLAS」が3.7億円を調達

家具や家電のサブスクリプションサービス「CLAS(クラス)」を展開するクラスは5月29日、ANRIやキャナルベンチャーズを含む複数の投資家を引受先とした第三者割当増資等により、総額3.7億円を調達したことを明らかにした。

クラスは2018年4月の創業。同年7月にANRI、佐藤裕介氏、光本勇介氏、中川綾太郎氏からシード資金を調達していて、今回はそれに続くシリーズAラウンドとなる。

今後はサブスクリプションに最適化した家具の設計・開発・調達に向けて家具のデザイン体制を強化するほか、オリジナル家具以外の商品ラインナップの増強にも取り組む計画だ。

またユーザーの家具選びをサポートするべく、AIやVRなどのテクノロジーを活用したCRM機能の開発も進めていくという。

長期間使うほど月額料金が安くなる家具サブスク

CLASはテーブルやベッド、ソファといった様々な家具を毎月定額で利用できるサブスクリプションサービスだ。

2018年8月のサービスローンチから約9ヶ月が経過し、オリジナル家具の種類は約50種まで増加。並行して商品のジャンル自体も拡大中で、家電やベビーカーなどもラインナップに加わった。

サービス上で表示されている料金は基本的に送料や保険料も含んだもので、購入する場合と比べて初期コストを抑えられるのが特徴。1年目以降は利用期間が長くなるほど月額料金が安くなる仕組みを取り入れていて、3年目には初回の75%オフの価格で利用できる。

1年目以降は無料で返品することも可能。生活環境に合わせて気軽に家具を組み替えられるのは、サブスク型のウリと言えるだろう(交換自体はいつでもできるが、1年未満の場合は利用期間に応じて返品手数料がかかる)。

またローンチ時にも紹介した通り、CLASでは同じ家具をリペア(修理)し、数年間に渡って使用してもらうことを前提にプロダクトを設計している。家具の製造は中国の自社工場にて、リペアは都内の拠点で実施。通常使用の範囲内であれば、汚れや傷がついたアイテムでも修理費用はかからない。

「短期のレンタルというより、1年以上使ってもらえるケースをメインで考えている。ライフステージの変化に合わせて軽やかに家具を変えられる仕組みを作ることが1つのテーマ。その人たちが1番嬉しいプライシングやサービス設計を意識している」(クラス代表取締役社長の久保裕丈氏)

現在は東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県が対象エリア。1000世帯近くがすでに有料でサービスを利用しているという。

初期は家具のみだったが、大手小売店とタッグを組み家電の提供も始めている

ホテルやマンスリーマンションなど法人向け事業が好調

久保氏にローンチ時からのアップデートを尋ねると「商品面でラインナップが広がると共にオリジナル家具についても厚みが出てきたことに加え、法人向けビジネスがかなりのスピードで成長している」という答えが返ってきた。

ここ1〜2年ほどで日本でも“サブスクリプション”と言うキーワードの認知度が拡大。各業界でサブスク型のプロダクトが登場し、メディアで取り上げられる機会も増えた。その波は“住”の領域にも訪れている。

久保氏によると今年日本に上陸したOYOを始め不動産×サブスクが盛り上がってきたことで、CLASにも追い風が吹いているという。具体的にはマンスリーマンションやホテルなど法人向けの事業が想定以上に伸びているようだ。

CLASでは「OYO LIFE」などと連携を進めているほか、レジデンストーキョーとは共同で「サブスクリプション型の賃貸住宅」事業にも取り組む。

サブスク型住宅の特徴は、オフィスのフリーアドレスのようにその時のライフスタイルに合わせて最適な場所へと自由に住み替えられること。敷金・礼金や仲介手数料、保証料、家具家電の購入料、引っ越し料などのコストを抑えられるのが利点だ。

またマンスリーマンションと同じく好調なのがホテルへのサービス提供だという。ホテル側としてはサブスク家具を導入することで初期費用を大幅に削減できるほか、メンテナンス費用や発送・組み立て・設置・廃棄などの費用もカットできる。

クラスは自社製造の家具を直接提供するモデルのため、代理店の手数料も不要。ホテルが自社で仕入れる場合と比べて「2〜4割のコスト削減を見込める」(久保氏)だけでなく、調達担当者の家具選びから組み立てまでの業務負担を減らせるため、引き合いが増えているそうだ。

すでにホテルで300部屋、マンスリーマンションでも150部屋ほどにクラスの家具が導入済み。オフィスやモデルルームでの利用なども含めると、クライアントの数は約50社に上る。

「最終的にはCLASを通じてユーザーの生活を変えたい。また家具の寿命を伸ばすことで『家具を捨てない社会』の実現を目指したいという気持ちが強いので、法人向けに特化することはなく、あくまでも両輪でやっていく。(双方をやっていることで)個人が利用した家具を次に法人に展開できるなど、ビジネス上でも良い影響がある」(久保氏)

家の中のサブスク化テーマに商品ラインナップ拡充へ

冒頭でも触れた通り、今回の資金調達を踏まえてクラスでは商品の拡充やオペレーション体制の整備、サポートシステムの開発により力を入れていく計画だ。

商品に関してはサブスクに適した家具の開発・設計を強化。その上で2020年中にオリジナル家具を300種類まで拡大することを目標にする。また家電やベビーカーに続き、クッションやファブリック製品などのインテリア用品、観葉植物などの取り扱いも進めていく。

「耐久性やリペア効率、組み立て効率、ライフステージに沿ったサイズ可変性など、サブスクに適した家具は通常の家具とは少し異なるので、とにかく量産するというよりは(開発・設計には)時間をかけて取り組みたい」(久保氏)

商品以外では物流やリペアの体制強化のほか、ユーザーの家具選びをサポートするシステム(CRMツール)開発にも力を入れる。

「家具は服などに比べて購入する頻度が少ないこともあり『自分にあった家具を選ぶのが難しい』というペインを自分自身でも抱えていた。たとえばコンテンツマーケティングの強化やAIを組み込んだカスタマーサポートシステムの開発、VRを活用した家具のコーディネートを表現・確認できるシステムの開発などを進める」(久保氏)

直近ではこれらの展開が中心になりつつも、中長期的には「家の中にあるものをどこまでサブスクにできるか、持たない生活という選択肢をどこまで広げられるか」をテーマに事業を広げていく構想。その際にはモノだけでなく、コト消費も対象に考えているという。

「Amazonが本からスタートして今では様々な商品を扱うマーケットプレイスになっているように、自分たちもサブスクにフィットしているモノを考えた結果、最初に扱ったのが家具だった。暮らし方が軽やかになるものであればどんな物でも対象になりうると思っているので、最終的には『何かを持たずに保有したいならCLAS』というポジションを目指していきたい」(久保氏)

インテリアコーディネートの「KAREN」でレンタル家具を活用した低コスト提案が可能に

3Dインテリアコーディネートサービス「KAREN」を運営しているASHBERY(アシュベリー)は3月6日、クラスが運営するレンタル家具サービス「CLAS」で取り扱い中の家具を使ったコーディネート提案が可能になったことを発表した。

「KAREN」は、ひと部屋あたり7980円でプロによるインテリアコーディネート提案を受けられるサービス。「CLAS」(クラス)は、家具やインテリア、家電を月額400円で利用や交換ができるレンタル家具のサブスクリプションサービスだ。

今回の連携により、レンタル家具をコーディネイトに加えられるので、初期コストを抑えつつ理想の部屋づくりが可能になる。

CLASのレンタル家具を取り入れたコーディネート提案を受けるには、「KAREN」に申し込む際にクーポンコード「CLAS265ew」を入力。さらに、レンタル家具を含んだコーディネートを希望する旨をコーディネートの情報入力フォームから伝える必要がある。クーポンコードを入力して申し込むとコーディネート料が1000円オフになる。なお、レンタル家具のみを使ったコーディネート提案は受け付けていないとのこと。

月額500円からの家具レンタル「CLAS」リリース、家具を“持たずに利用する”選択肢広げる

買うのではなく、必要な時だけお金を払って利用する権利を得る。近年サブスクリプションやシェアリングエコノミーといった概念がさまざまな分野に広がり、モノやサービスに対する人々の価値観や行動を変えつつある。

その中で今回着目したいのは、比較的まだ“買うもの”というイメージが強い「家具」だ。つい先日もオフィス家具の月額レンタルサービス「Kaggレンタル」を紹介したばかりだけど、この記事で取り上げたいのは個人を主な対象とした月額500円からの家具レンタルサービス「CLAS」。

運営元のクラスでは8月29日より東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県(離島など一部地域は対象外)にて同サービスをスタートした。

家具は自社生産、修理して複数回シェアを前提に安く提供

上述したようにCLASはチェアやベッド、ソファ、テーブルなどの家具が月額500円から利用できるサービスだ。レンタル料金には配送料や保険料が全て含まれているので追加費用は不要。家具の交換や返却も自由にできる(ただし最低利用期間が半年となっていて、半年以内での交換や返品には送料などの負担がかかる)。

繊細な人だと「レンタルだと汚れやキズを気にしてしまう」とプレッシャーを感じてしまうかもしれないけれど、通常の使用内の汚損や破損ならば修理費用は発生しない。またユーザーの過失により家具を全損 / 半損した場合も、返品送料実費は負担しなければならないが、修繕費は取らない方針なのだそうだ。

レンタル料金がかなり安く設定されている上に配送料や保険料も含まれていて、かつ通常範囲の汚れや破損は追加必要も不要と聞くと、正直これでビジネスとして成立するのかが気になる。

その点についてクラス代表取締役社長の久保裕丈氏に話を聞いたところ、CLASでは修理(リペア)して複数人に同じ家具をシェアすることを想定しているそう。耐用年数も長めに考えているため、月額の料金もその分だけ安く抑えることができるという。

「既存のサービスはレンタルではなくローンに近い印象を持っている。つまり買い切る前提で元の金額を複数回に分けて払うようなもの。2年で定価に達するくらいの金額感で、実際購入に切り替えられるサービスもある。一方でCLASはリペアをして次に回すのを前提に考えていて、耐用年数も5年など長めに想定している。その期間にぐるぐる回って最終的に利益が生み出せればいい」(久保氏)

CLASの家具は中国の工場にて自社生産したもの。現地のネットワークなども駆使して極力原価率を抑えるような仕組みを構築している。またテーブルやチェアは木材を使用することで、表面をヤスリなどで削れば新品に近い形まで綺麗になり、再度別のユーザーにシェアしやすいのだという。

これが実現できるのは、クラス取締役COOの白河衛氏がもともとインテリア家具の輸入や販売事業を手がける会社を10年以上やっていることも大きい。

「短期間で元の値段を回収しようとすると、どうしてもユーザーが手軽に使いづらい価格になる。それを変えるためには回収期間を長くできるようなリペアの設計も含め工夫が必要。原価率や配送効率、在庫効率などは当初からかなり綿密に設計している。チームにネットリテラシーと家具リテラシーが高いメンバーがそれぞれいるのも強みだ」(久保氏)

家具を持たずに利用する選択肢を作る

久保氏はいわゆる連続起業家だ。外資系コンサルティングファームのATカーニーに勤めた後、2012年に女性向けファッションコマースサービスを運営するミューズコーを創業。2015年には同社を約17.6億円でミクシィへ売却している。

クラス代表取締役社長の久保裕丈氏

CLASは元値分を一度回収できさえすればその先はひたすら利益を生むエンジンとなるが、とにかくイニシャルコストがかかる事業だ。7月にはANRI、佐藤裕介氏、光本勇介氏、中川綾太郎氏から資金調達を実施(金額は非公開)。久保氏は「結構な回数の増資が必要だと覚悟している」そうで、「起業1周目だったら絶対やりたくないような商売」とも話す。

なぜ新たなチャレンジの場にこのようなビジネスを選んだのか。その理由は久保氏自身が引越しをする度に間取りの問題などでインテリアを買い直す経験をし、その手間や費用を削減できないかと考えていたから。そして現在のマーケットや同業のプレイヤーの状況などを踏まえ、このビジネスに可能性を感じたからだ。

「家は賃貸でも気にしない人が多いのだから、同じように家具も持たずに利用するという選択肢があってもいいはず。まだ直接的に競合となるようなプレイヤーは日本でいないと思っているが、『家具は買うのが当たり前』という考え方を変えていく、新しい文化を作っていくのが大きなチャレンジになる」(久保氏)

事前にアンケートで好きな家具のブランドを聞いてみたところ、約6割が無回答だったそう。「洋服などに比べると、家具に関してはブランドに対して強いこだわりある人は少ないのではないか」というのが久保氏の見解で、だからこそ自社ブランドでもしっかりとした物を作れればチャンスはあるという。

CLASは5月にティザーサイトを公開し事前登録を受け付けていたが、これまでに5000件近くの登録があった。メインのユーザー層は20〜30代で人生で2度目の引越しをしようとしている層だが、個人だけでなくコワーキングスペースの運営会社やホームステージング事業者など法人からの引き合いも強い。

今後は自社ブランドに加えて家具好きのユーザー向けに既存ブランドの家具をラインナップに加えることも計画しているそう。また家具に限らず「暮らしを軽やかにするもの」を同じようにレンタルで展開することを考えていて、たとえば家電のレンタルなどは今年度中の提供も検討しているという。