LINEのスマートスピーカー第2弾「Clova Friends」が本日より予約開始、LINE MUSICとセットで6750円

8月の先行販売を経て、10月に正式販売を開始したLINEのスマートスピーカー「Clova WAVE」。同製品も含めスマートスピーカーといえばスタイリッシュなデザインのものが多いが、12月8日より予約販売がスタートした「Clova Friends」はちょっと違う。

LINEのスマートスピーカー第2弾となるClova Friendsの特徴は、片手で持てるコンパクトさとポップなデザインだ。LINEキャラクターのブラウンをモチーフとした「Clova Friends BROWN」、サリーをモチーフにした「Clova Friends SALLY」の2種を用意。毎日話しかけることを想定してキャラクター性を持たせている。

耳がマイクになっていることに加え、鼻やくちばしを1度押すと一時停止、長押しすると「Clova」と声をかけたことと同じ状態となるなど各パーツにちょっとした仕掛けを搭載。背面にはマイクオフや音量の調整、Bluetoothペアリング用の複数のボタンを備える。

重さは378グラムで、サイズはBROWNが72×72×170.3ミリ、SALLYが72×72×166ミリ。バッテリーも搭載し外出先でも利用可能だ。

機能面はClova WAVEと同様に音楽の再生、天気やニュースの読み上げ、LINEメッセージの送信・読み上げ機能を備えるほか、12月下旬までにLINEの無料音声通話の発信機能も搭載する。「○○さんに電話をかけて」といったように、音声のみで通話ができるようになる。着信機能についても今後対応していく予定だという。

またClova WAVEでユーザーから反響が高かった、赤外線コントローラーに対応したTVや照明の操作も今後オプションでクレードルを設置し対応していく。

Clova Friends本体の価格は8640円(税込)だが、2018年3月31日までの限定商品としてLINE MUSICを6ヶ月間利用できるチケットを付けた「Clova Friends + LINE MUSIC セット」を6750円(税込)で販売する。

12月8日の午前0時から特設サイトや楽天市場で予約販売を開始、各家電量販店でも準備予約販売を始める。届け日および店頭は12月14日からになるという。

スマホの“次”をにらみ、AIアシスタント「Clova」にかける思いをLINE舛田氏に聞く

渋谷・ヒカリエで開催中のTechCrunch Tokyo 2017。2日目となる17日午前には、LINE取締役CSMOの舛田淳氏が登壇。日本発のスマートスピーカー「Clova WAVE」とAIアシスタント「Clova」を軸にした、ポストスマホ時代のLINEの戦略について語った。聞き手はTechCrunch副編集長の岩本有平。

スマートスピーカーは世界では「Amazon Echo」が2000万台、「Goole Home」が700万台が普及。今年に入って、これらの先行製品が続々と日本上陸を発表し、秋から発売されているが、それらに先駆けていち早く、8月に先行体験版の形で発売されたのがClova WAVEだ。これまではウェブでの直販のみでの取り扱いだったが、本日から、家電量販店362店舗でも販売が開始されている。

LINEではかつて、スマートフォン時代の到来を見据え、“PCのことは忘れて”スマートフォンに賭ける方向性を打ち出してきた。LINEのユーザーは現在、月間7100万人。スマートフォンの普及も進み、日本では国民の2人に1人以上、世代によっては、もっと浸透している状況だ。ではその後の「ポストスマホ時代」はどうなっていくのか。

ポストスマホ時代に向けた進化の結果生まれたClova

「我々は、ポストスマートフォン時代は、さまざまな環境にデバイスが出てくる『IoT』と、そこから取れる膨大なデータをより良くしていくための『AI』の時代となると考えている」と舛田氏は話す。

AIと言っても幅広いが、LINEが目指すのは生活を支えるアシスタントを作っていこう、という部分だと語る舛田氏。「PCもスマホもGUIがあって、タイピングやタッチでさまざまな情報に触れるインターフェースとなっていた。これがポストスマートフォンの時代になると、ボイスユーザーインターフェース(Voice User Interface:VUI)になっていくだろう」(舛田氏)

舛田氏は「LINEとClovaでは全く別々のことをやっているように見えるかもしれないが、メッセンジャーからスマートポータル、そしてClovaへ移行するのは、我々にとっては正常な進化」と言う。「メッセンジャーで人と人の距離を縮め、スマートポータルで人とコンテンツの距離を縮めてきた。次は人とモノ、コンピューターを近づけていく。それがClovaだ」(舛田氏)

Clovaの核は、会話の制御やサービスのレコメンデーションを行う頭脳となる「Clova Brain」と、インプットとアウトプットをつかさどる耳や目などとなる「Clova Interface」で構成される。その核の部分とさまざまなデバイスやハードウェアをつなぐSDKが「Clova Interface Connect」、コンテンツやサービスをつなぐSDKがClova Extension Kitだ。これらすべてを合わせて、Clovaのプラットフォームが構成されている。現在はこれらSDKは、サードパーティーには公開されていないが、自社内での開発と提携パートナーによる開発に利用されている。

舛田氏は、外部との連携による開発について「外部連携で開発されるデバイスは重要だと考えている。LINE自身でハードウェアを開発することも大切で、つなぎ込みやスペック、体験の最適化は自社でやってみないと十分なプラットフォームにはならないだろう。ただ、それだけではチャレンジングなもの、面白いものはできない。『それホントに役に立つの?』というものが生まれた方が面白いだろう」と話している。「来年あたりから順次、提携先、そしてサードパーティーにもSDKを公開していくことになるだろう」(舛田氏)

データの先読みと学習がAIアシスタントの本質

LINEが、Clovaにとって重要と考えるのは「家」「クルマ」「ウェアラブル」の3つの領域。そのうちの「家」の領域に対応する製品第1弾として提供されたのが、スマートスピーカーのClova WAVEだ。舛田氏は「今、スマートスピーカーは非常に注目されている。海外では既に何千万台普及しているが、残念ながら日本では今年ようやく始まったばかり。このギャップをどうしていくのか、ということが日本の産業、インターネットにとって課題だと思っている」と言い、「それほど待っていられないという思いもあって、我々LINEとしては自分たちで作る、という判断をして、8月の先行版販売、10月の正式発売に至った」とClova WAVE販売の経緯を語った。

販売開始からこれまでの反響について、舛田氏に聞いたところ「一般の方、リテラシーがあまり高くない方にも使っていただきたい、というこちらの狙いと合致しているようだ」とのこと。「お子さまやシニアからもいろいろな意見をいただくことが多い。もっと使いやすく分かりやすくするためのフィードバックをもらっている」(舛田氏)

Clova WAVEでは、キーとなるフレーズを毎回発声しなくても、連続でAIと会話することを実現。音楽、赤外線リモコン、ニュースなど毎日の情報提供、ラジオ、人物や百科事典の内容を回答してくれる、といった機能が備わっている。ほか、経路検索やデリバリー、ショッピング、朗読、タクシーとの連携など「スマートスピーカーで使いたいと思われるような機能を搭載しようと順次開発を進めている」(舛田氏)とのことだ。

赤外線リモコンについては「ローテクだが日本の実情に合わせて搭載した」と舛田氏は言う。「現在は韓国と日本で展開しているが、それぞれの国に最適化されたものを考えていきたい。海外の先行製品と違って、バッテリーを積んでいるのもそうだ。海外ではそれぞれの部屋にスマートスピーカーを設置する、という使い方になるだろうが、一般的な日本の家庭では『リビングで使っていたけど、寝る時間になったらベッドルームに持っていく』となる。これはこの冬発売予定の『Clova Friends』でも踏襲している」(舛田氏)

また、カーライフへの浸透も積極的に進めていると舛田氏は説明。「トヨタ自動車と提携し、先日の東京モーターショー2017ではトヨタのブースで、自動車の中にClovaを実装して、どのようなカーライフになるのかということをデモンストレーションさせてもらった」(舛田氏)

そして重要領域の3点目「ウェアラブル」については、11月10日に発表されたばかりの「MARS」が紹介された。MARSはイヤホンとして装着できるClova搭載デバイス。紹介動画では、MARSを使って日本語と英語でリアルタイム翻訳を聞きながら会話する男女が登場する。舛田氏によれば「まだコンセプトモデルで発売時期も未定だが、このような形でウェアラブル対応も進めている」とのことだ。

舛田氏は「スマートスピーカーがClovaの本質ではない」と強調する。「スマートスピーカーから始まって、さまざまなものにClovaがつながり、さまざまな環境とClovaをどう溶け合わせていくかというのが、我々の目指す方向だ」(舛田氏)

「クラウド型のAIがあることで、先読みをしながら、さまざまなことをサポートしていくことができる」と舛田氏は言う。例えば、クルマで移動中のデータをもとに、帰宅すると暖房がついている、あるいは、朝少し遅く起きたというデータをもとに、通勤中や出社時に何か提案する、といったシーンを舛田氏が説明。「さまざまなポイントから取れるデータをベースにした学習と先読みがAIアシスタントの本質。我々はまだまだそこまでのレベルには達していないが、段階的にそこに向かって進んでいる」(舛田氏)

LINEのスマートスピーカー「Clova WAVE」は本日正式発売、LINE MUSICとセットで1万2800円

LINE取締役CSMOの舛田淳氏

午前にはGoogleがスマートスピーカー「Google Home」の日本での発売を明日10月6日だと発表したが、LINEのスマートスピーカー「Clova WAVE(以前の名称は「WAVE」)」は本日10月5日の15時より正式発売を開始した。

Clova WAVEの価格は当初発表より1000円値下げした1万4000円。ただし3月末まではキャンペーンとして、音楽ストリーミングサービス「LINE MUSIC」(月額980円)の12カ月利用権をセットして、1万2800円(いずれも税込み)で販売する。Clova WAVEの販売サイトのほか、Amazon.co.jpや楽天市場で販売。月末には家電量販店などでも販売する予定だ。

「Clova WAVE」

Clova WAVEは6月にLINEのプライベートカンファレンスで発表されたスマートスピーカーだ。自社グループで独自開発した音声AI「Clova」を採用している。

8月23日より一部機能に限定した先行体験版を提供開始しており、LINE MUSICの4000万曲以上の楽曲を再生(雰囲気やアーティスト名、アルバム名などで再生可能)できるほか、天気予報や「LINEニュース」と連携した最新ニュースの読み上げ、テレビやライトのIRリモコンの操作(今後はエアコンのIRリモコンにも対応予定)などが可能だ。

正式発売にあたり、新たにコミュニケーションアプリ「LINE」との連動機能を強化。新着メッセージの通知や読み上げにも対応したほか、Clovaのアプリ上で「LINE家族アカウント」と呼ぶLINEアカウントを通じて、家族間でのメッセージのやり取りが可能になった。

また、先行体験版でもニーズの多かったというClovaとの連続会話(あいさつからスタートし、調子を聞き、天気を聞く、といったやり取り)も可能になった。今後は声での話者認識や音声での多言語翻訳、カレンダー管理やメモ帳機能、ショッピングやデリバリー、タクシー配車といった機能も提供していく予定。また外部パートナーとの連携も進める。radiko提供のラジオ再生、ヴァル研究所提供の経路検索、レスキューナウ提供の鉄道運行情報、アイフリーク モバイル提供の童話朗読なども準備中だ。

追加される機能の一部

日本の住環境やユーザーを捉える

同日開催された発表会でLINE取締役CSMOの舛田淳氏は、あらゆるデバイスがインターネットに接続し、最適化されていく“ポストスマートフォン”の時代の到来について語った。スマートフォン全盛の現在は、タッチやタイピングといった入力インターフェースが一般的だが、それが音声に変化していくと説明する。「長らく続いたGUIの時代からVUI(Voice User Interface)の時代に変化しようとしている」(舛田氏)

Google Homeの日本発売が決定し、Amazonもスマートスピーカー「Amazon Echo」を年内に発売すると発表しており、各社が日本の市場続々進出して居る状況だ。発表会で記者から競合優位性について尋ねられた舛田氏は、「(アプリの)LINEを作ってから、ずっとチャレンジャー。できることをやってきた。日本の住環境、ユーザーの状況を最も最適に捉えていきたい」と答える。例えば他社がスマート家電などとの連携をうたう中で、普及率を考慮しIRリモコンから連携を進めていることもその1つの施策だし、家族アカウントを通じたLINEでのコミュニケーションも同様だ。

また、日本にフォーカスした施策だけでなく、音声認識に関しても大幅なアップデートを準備しているという。ただし詳細なロードマップについてはスケジュールが変更になる可能性もあるとして公表していない。「詳細はずれることもあるので公開していないが、いろんなチャネルで事前の案内をしている」(舛田氏)