AI商標登録サービス「Cotobox」が、AI特許審査シミュや知財契約書テンプレと連携へ

AI商標登録サービス「Cotobox」(コトボックス)を運営するcotoboxは3月4日、AI特許審査シミュレーションシステム「AI Samurai」を開発・販売するAI Samurai、知的財産専門契約書テンプレートを提供するメリットパートナーズ法律事務所との連携を発表した。この提携により、商標や特許、知財契約の情報を一括提供可能になる。

写真に向かって左から、AI Samurai代表取締役の白坂一氏、cotobox代表取締役の五味和泰氏、メリットパートナーズ法律事務所で代表弁護士・弁理士を務める知念芳文氏

経済産業省の調査によると、これまでに商標出願した中小企業は全体の0.8%程度の3万社ほどに留まっている。インターネットとテクノロジー、そして物流網の発達で、考案したアイデアやプロダクトがコピーされる確率が高まっており、知的財産の適切な保護は企業の経済活動を進めるには不可欠になってきているが、中小企業全体ではなかなか保護が進まない状況だ。中小企業にはもちろんスタートアップも含まれる。

cotoboxの商標登録サービス

こうした状況をテクノロジーで解決するための手段として今回の提携が生まれた。具体的には、CotoboxサイトがAI Samuraiと知財契約書テンプレートにシームレスに連携しており、CotoboxユーザーがAI SamuraiのAI特許審査シミュレーションシステムと知財契約書テンプレートを利用できるようになる。

cotoboxは今回の提携で、商標だけではなく、知財領域の情報へのアクセスを容易にして、知財に対する心理的なハードルを取り払い、知財経営を普及させることを目指す。

オンライン商標登録サービス「Cotobox」にスタートアップ知財支援のiPLAB Startupsが提携弁理士パートナー参画

オンライン商標登録サービス「Cotobox(コトボックス)」を提供するcotoboxは12月24日、スタートアップ向けに知財支援サービスを提供する特許業務法人iPLAB Startupsが提携弁理士パートナーとして参画することを発表。cotoboxいわく、これにより、利用者はより最適な知財ソリューションを受けられるようになる。

TechCrunch Japanでも過去に何度か紹介しているCotoboxは、企業の商標登録の負担を減らすサービス。このサービスでは、ブラウザ上で簡単に商標を調査し、出願から管理まで行うことができる。12月2日には「総合的な商標クラウドサービスの実現」に向け、AIを活用した業種別のロゴ調査機能が追加された。

ユーザーは、商標登録を希望する場合、Cotoboxの提携先の弁理士に出願依頼もできる。商標の調査をした後に依頼を出すことで、Cotobox提携の弁理士が、商標調査の結果、ならびに同サービス上でユーザーと行なったメッセージの内容をもとに、出願書類を確定させ、特許庁手続きを行う。

cotobox代表取締役CEOの五味和泰氏いわく、iPLAB Startupsが提携弁理士パートナーとして参画することにより、ユーザーはより適任な弁理士とマッチングされるようになる。また、データがCotobox上にあるため、弁理士間での引き継ぎなどもしやすくなる、と同氏は加えた。

「商標1つとっても、調査、出願業務、海外出願、権利化後のライセンス、侵害対応価値評価など多岐のフェーズがあり、専門性が異なる場合もある。その専門性を頼りに弁理士を選べる仕組みは、今までにないものだ。また、特許、意匠、著作権などの他の知財課題のソリューションも提供できるほか、Cotoboxの提携弁理士同士のコミュニティが形成されれば、1つの大規模事務所以上のナレッジも溜まる。そのようなナレッジに基づくリーズナブルな役務提供は、大きなユーザメリットとなる」(五味氏)

これまでに5000以上が利用したCotoboxでは、商標調査、出願、商標権侵害の発見などを実現している。また、グローバル展開を目指す国内外の企業に対し、20の国、地域間での商標の取扱実績があるという。

オンライン商標登録サービス「Cotobox」にAI活用の“ロゴ調査機能”が追加、最短10秒で同一または似ている画像を検索

オンライン商標登録サービス「Cotobox(コトボックス)」を提供するcotoboxは12月2日、同サービスに“AIを活用した業種別のロゴ調査機能”を追加した。

以前にもTechCrunch Japanで紹介しているCotoboxは、企業の商標登録の負担を減らすサービスだ。ブラウザ上で簡単に商標を調査し、出願から管理まで行うことができる。

商標の検索自体は特許情報プラットフォームを使えば行えるが、Cotoboxでは商標とともに業種を入力することで、既に登録済み、または登録の出願中の商標が存在しているか、簡単に無料でチェックすることが可能だ。3月のフルリニューアルにより、具体的に「どの商標と似ているのか」を把握すること、そして商標の検索条件及び結果を保存することができるようになった。

ユーザーが商標登録を希望する場合には、低価格でCotoboxの提携先の弁理士に出願依頼もできる。商標の調査をした後、1クリックで商標登録の依頼に進むと、Cotobox提携の弁理士が、商標調査の結果と、同サービス上でユーザーと行なったメッセージの内容をもとに、出願書類を確定させ、特許庁手続きを行う。商標出願の手数料は6000円からとリーズナブルな値段設定になっている。

そしてCotoboxは本日、「AIを活用した総合的な商標クラウドサービスの実現」に向けて、従来の文字商標調査に加えて、業種別ロゴ調査機能を提供開始した。

Cotoboxいわく、「自社のロゴと似ている商標が、他社によって既に登録又は出願済みになっていることが良くある」。知らずに特許庁へ出願手続きをすると、登録できないだけではなく、他社から商標権の侵害であるとの指摘を受けるリスクもあるという。

前述のような課題を解決するためのロゴ調査機能では、ロゴのJPEGファイルをアップロードし、業種を選択することで、同一、または類似したロゴ商標を表示する。AIの活用により、過去に出願された約92万件のロゴ商標の中から、同一業種の、同一または似ている画像を、最短10秒で見つけ出す。「同じまたは類似の商標なし」、「同じまたは類似と思われる商標あり」、「同じまたは類似の商標あり」といった判定もあり、ロゴの詳細な商標情報を閲覧することも可能だ。

 

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cotobox代表取締役CEOの五味和泰氏は、特許庁の特許情報プラットフォームには、図形をドラッグ&ドロップして検索する機能はなく、「どこで検索するのか、というのが課題としてあった」と話す。そして、弁理士は、Cotoboxのロゴ調査機能がなければ、申し込んだユーザーのロゴに関して、1から全て調査しなければならない。その場合、手間が発生するため、コストも嵩んでしまう。一方、Cotoboxではユーザーが検索機能を自分で使うため、弁理士の手間が削減され、リーズナブルな料金に設定できている。

2017年11月にサービス提供を開始したCotoboxでは、商標調査回数は70万回を超えたという。料金の高さを解決し、弁理士へアクセスしやすくしている。五味氏は「商標登録を後回しにしているケースは結構ある」と話した上で、「商標が取れなかった、もしくは誰かの商標を侵害していた、となると、少なくとも、そのサービス名は1回やめなければならない、もしくは名前を変えなければならなかったり、弁護士を雇って交渉をしなければならない」と加え、商標登録の重要性を説いた。

“商標登録”をもっと身近に、簡単に――弁理士が立ち上げたオンライン商標登録サービス「Cotobox」

重要なのはわかっているけど、ついつい後回しになりがち――初期のスタートアップにとって「商標登録」とはそんな存在なのかもしれない。

商標登録のためには事前の調査や書類作成が必要になり、実務の知識がない人にとってはハードルが高い。その一方で専門家に依頼するとなるとそれなりの費用がかかる。法律で義務づけられているわけでもないので、自然と優先度が低くなってしまっても不思議ではない。

ただ後々サービスを本格的に展開するにあたって、事前に商標登録をしていないことが余計な問題を招く可能性もある。サービスのネーミングやロゴはブランドの代名詞ともいえるものだから、事前に登録しておくにこしたことはないだろう。

Cotoboxが11月20日にベータ版の提供を開始した「Cotobox」は、まさにスタートアップの商標登録の負担を減らし自社ブランドの保護・育成をサポートするサービスだ。

商標の事前調査から書類作成、提出までをスムーズに

Cotoboxが取り組んでいるのは、ITを活用して商標の登録や管理をスムーズにすること。同サービスでは出願前の事前調査から書類作成までがオンライン上にて完結。作成した書類はそのまま弁理士が代理で特許庁に提出してくれるため、高度な専門知識がなくてもスピーディーに商標登録出願ができる。

無料の「商標サーチ」機能を使えば、気になるキーワードでどの区分なら商標が取れそうか検索できる

通常自力で商標登録出願を行う場合、まず時間を要するのが事前調査だ。自分が登録したい商標と同じものや紛らわしいものがすでに登録されていないか、そもそも登録することができる商標かどうかを調査する必要がある。

仮に上記の条件をクリアしていると判断した場合でもそこで終わりではない。商標を使用する商品またはサービス(商標法では役務という)を指定するとともに、「区分」を指定しなければいけない。区分とは商品・役務の権利範囲を決めるカテゴリーのようなもので、第1類から第45類までに分かれている。

商標の検索自体は特許情報プラットフォームを活用すればオンライン上でも無料でできるが、相応の時間がかかる上に区分とその内容を適切に選択するのは専門知識がなければ難しい。一方CotoboxではAIを活用することで、ユーザーが最適な区分とその内容を判断するサポートをしている。

専門知識がなくても4ステップで出願書類が完成

Cotoboxの場合、以下の4ステップで出願書類が完成する。

  1. 商標とタイプの選択
  2. 区分の選択
  3. 出願人情報の入力
  4. 入力情報の確認と支払い

上述したようにポイントとなるのが2つめの「区分の選択」だ。まず登録する商標とタイプを選択し、商品とサービスのどちらに使用するか(双方も可能)を決め、関連するキーワードを入れてみると……適切だと判断された区分およびその内容が、自動でいくつか表示される。

ユーザーはこのレコメンドされた内容を参考にしながらチェックボックスにチェックを入れることで、出願したい区分と小項目を決定できる。区分ごとに申請サービス料と特許庁費用がかかるため、チェックを入れた区分の数に応じて出願費用が自動で算出される仕組みだ。

あとは出願人の情報を登録して内容を確定すれば書類は完成。担当弁理士のチェックがすんだ後に最終確認を済ませれば、特許庁への出願となる。

「弁理士に依頼する場合、そもそも知り合いに弁理士がいないケースも多くファーストコンタクトを取るまでに時間がかかる。その後も細かいコミュニケーションを重ねていると出願までに1ヶ月ほど要することに加え、(印紙代を除いて)安くても10万円前後の費用が発生するためハードルが高かった」(Cotobox代表取締役CEOの五味和泰氏)

Cotoboxの場合は利用料金が一律でエコノミープランは出願時に5000円、登録時に1万5000円。提携弁護士のフルサポートを受けられるプレミアムプランは出願時に3万5000円、登録時に1万5000円となっている。この料金は区分を1つ指定した場合の価格で、別途印紙代が必要となる。

書類作成までの時間も削減され、クローズドでテストをした際には3分で出願準備が完了したユーザーもいたそうだ。

「大手企業だと知財部のような専門チームを設けている場合もあるが、リソースが限られる中小企業やスタートアップがそこまでやるのは難しい。結果的に後回しになって、後々相談を受けると商標が取れないということもよくある。自社のブランドになりうるネーミングやロゴを早く守ることは重要なので、(中小企業やスタートアップが商標登録をするまでの)ハードルを下げてもっと身近なものにしたい」(五味氏)

特許事務所に約10年勤務した後、アメリカ留学を経て起業

五味氏は特許事務所に約10年勤務した経験のある現役の弁理士だ。数年前に国際的な弁理士になる目的でアメリカのロースクールへ留学した際に、現地のスタートアップイベントなどにも参加。「自分が携わっている業務もペーパーワークが多く、効率が悪い。ITを使えば何かできるかもと考えた」(五味氏)ことがきっかけで、国内に戻った後2016年2月にCotoboxを創業した。

今後も当面は「商標」の領域でサービスを拡大していく予定。現地の弁理士と連携した海外商標への対応や、大企業向けに商標管理の機能などを拡張したサブスクリプションモデルの提供も検討していくという。