人工知能やマシンインテリジェンスがもたらす未来の世界像は、人によっては遊園地の鏡の世界以上に奇妙奇天烈だ。それも、ときには極めて本質的な意味で。米国時間6月12日に行われたCreative Destruction Labの今年で二度目のSuper Sessionイベントで、ベンチャーキャピタリストのVinod Khosla氏はこう述べた。「今から10年後には、誰も音楽を聴かなくなってるね。本気でそう思うよ」。
彼によれば、そのころにはわれわれは、それぞれの個人のために自動的にデザインされ、各人の脳や音の好みやニーズに合わせて作られたカスタムソングのようなものを聴いている。
Khoslaの説では、AIが作る音楽はすでに大きく進歩している。とくに最近の2年間での進歩が大きい。ジャーナリストのStuart Dredge氏が最近、Mediumにそう書いている。
Dredge氏が指摘するのは、最近顕著なトレンドのひとつがSpotifyやYouTubeのチャネルに見られるような、ムードやアクティビティに合わせたプレイリストであることだ。今とても多いそういうものの上では、アーティストやアルバム、曲などの名前はどうでもよくて、まったく表示されないこともある。また言うまでもなく、Spotifyなどのビジネスにとってはライセンス費用の要らないマシンメイドの音楽のほうがありがたい。顧客に音楽を提供するサービスから得られる利益が、ほとんどまるまる自分たち企業のものになる。
しかしAIが作った曲がヒットチャートのトップになったり、AIが一般的なムードミュージックを作れるという話と、各個人専用のカスタムメイドのサウンドトラックという話を同じレベルには置けない。みんなの音楽だった音楽をリプレースする聴取体験が個人ごとにユニークな音になるという今回の話は、音楽の共有的共同体的側面はどうなるのだという疑問を無視している。答えは10年後にわかるだろう。
画像クレジット: Simon Hayhurst/Flickr, CC BY-ND 2.0のライセンスによる
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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa)