SpaceXがCrew Dragon宇宙船の安全性テストをライブ配信

SpaceX(スペースX)はFalcon 9ロケットによるCrew Dragon宇宙船のテストを米国時間1月19日に実施した。これは、有人宇宙船の飛行中止(IFA)システムにおける重要なテストだ。この安全機能は、Crew DragonをFalcon 9ロケットから早期に分離し、宇宙船(今回のミッションでは宇宙飛行士は搭乗しない)を超高速に安全な位置まで推進する。

テストは当初1月18日の土曜日に予定されていたが、天候のために東部標準時10時30分(太平洋標準時で7時30分、日本時間1月19日00時30分)へと延期された。これは天候条件で可能な限り良好であることを目指したもので、スペースXの貨物宇宙船の打ち上げよりも厳しい基準だった。さらにこれは、民宇宙開発企業とその政府機関のパートナーが、実際の宇宙飛行士の搭乗を想定していることを反映している。なぜなら、宇宙飛行士の安全は最優先事項だからだ。

ミッションにおける 「飛行中のアボート」 プロセスは、ロケットとそのペイロードが上空約6万フィート(約18km)にて、打ち上げから約84秒後に自動的に起動するように設定されている。実際の有人ミッションでは、大気圏内でロケットが爆発するような問題が起きた場合にこれを利用し、搭乗している宇宙飛行士に可能な限りの脱出の機会を与える。

その目標はCrew Dragonのカプセルを分析し、データを収集するために宇宙船を迅速に回収することであり、これはIFAの過程で宇宙飛行士が体験するであろう状況に関する重要な情報となる。これは、海上の状況が発射台の状況とほぼ同じくらい重要であることを意味しており、NASAとスペースXはカプセルを回収する回収作業員の安全も確保したいと考えている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

SpaceXのCrew Dragon初有人打ち上げは2020年第2四半期か

SpaceX(スペースX)とNASAはCrew Dragonの飛行中止システムのテストに成功した後、米国時間1月19日に記者会見を開き、ミッションと次のステップについて議論した。メディアが最初に質問したのは、実際に宇宙飛行士が搭乗するミッションのスケジュールについてで、SpaceXのCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏がおおまかなスケジュールを回答した。

「最初の打ち上げに必要なハードウェアは、2月末までに準備が整うと我々は考えている」とマスク氏は発言した。「しかし、ハードウェアのすべてを徹底的にチェックし終えるまで、まだ多くの作業が残っている。また、国際宇宙ステーション(ISS)に到着するスケジュールの関係もある。ISSでは多くのミッションが予定されているため、適切なタイミングを決定する必要がある。現時点での一般的な見解では、ハードウェアの準備が整うのが第1四半期(1月〜3月)で、おそらく可能性が高いのは2月だろうが、遅くとも3月までには完了するだろう。そして、最初の有人打ち上げは第2四半期(4月〜6月)に実施される可能性が高いと思われる」。

NASAのJim Bridenstine(ジム・ブライデンスタイン)長官はNASA側からの立場に言及し、最初の打ち上げでは実際のミッションタイミングに影響する要素がいくつかあるかもしれないと指摘した。

「これは非常に公平な評価だと考えている」とブライデンスタイン氏は語る。「また、NASAの観点から私たちの側でいくつかの決定をしなければならないだろう。最初のクルーのミッション期間を短くするか、あるいは長くするか。もし長期間になるのであれば、我々の宇宙飛行士たちが実際にISSに滞在するための追加の訓練をしなければならない」。

同氏によると、これらの決定は「数週間後には」行われる予定で、最初のミッションが短期間になるのか、あるいはより多くの目的を持った長期間のものとなるのかによって、Crew Dragonに搭乗する宇宙飛行士のスケジュールと訓練の必要性に影響し、打ち上げタイミングが変わる可能性があるという。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

SpaceXがCrew Dragon宇宙船の空中脱出システムのテストに成功

SpaceX(スペースX)は米国時間1月20日、Crew Dragon宇宙船の安全システムの重要なテストを完了した。テストではFalcon 9を使ってCrew Dragonを打ち上げたが、乗組員は搭乗しなかった。その後、打ち上げは意図的に中断され、空中脱出(IFA)システムを起動させて、打ち上げプロセスの約1分半後にCrew Dragonがロケットから分離した。

意図したとおり、Dragonカプセルは8基のSuper Dracoエンジンを点火し、ロケットから素早く分離した。実際のミッションでは、ロケットが万一故障した場合に搭乗した宇宙飛行士の安全を確保することになる。Crew Dragonエンジンはわずか7.5秒で半マイル(0.8km)飛行し、この加速中は宇宙飛行士に最大4G(地上重力の4倍)を与える。

Crew Dragonは、安全な距離に達したらパラシュートを開いて大西洋に着水し、カプセルの回収が実施される。実際の緊急事態では、空軍のエリート救助チームが可能な限り迅速に乗員を救出するが、今回のデモはカプセルを無傷かつ安全に回収することが主な目的であるため、その回収には2時間以上かかる可能性がある。

打ち上げられたFalcon 9ロケットは過去3回のミッションで使用されたもので、かつSpaceXが有人ミッションを想定して設計した最初のFalcon 9である。そして予定どおり、Falcon 9はCrew Dragonが分離すると大量の燃料とともに爆発した。

スペースXがCrew Dragonの有人飛行の準備がほぼ整ったことを実証したのは、これが初めてではない。2015年には、地上でのパッド・アボート試験に成功し、打ち上げ前に安全にミッションを中止できることを実証した。Crew DragonのSuper Dracoも、昨年11月に地上でのスタティック・ファイア・テストに成功した。SpaceXは2019年のSuper Dracoの初期テストでも致命的なエラーに遭遇したが、その後NASAと協力して原因を特定して間違いが繰り返されないように修正した。

SpaceXは昨年Crew Dragonによる完全な無人打ち上げのデモミッションも実施し、Falcon 9によってカプセルが打ち上げられ、軌道に投入されてランデブーし、国際宇宙ステーション(ISS)とドッキングし、地球に帰還した。これは、最初の宇宙飛行士をISSへと輸送する商用サービス前のチェックとなり、今年中には実際にミッションが行われるはずだ。

同社のCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、NASAとSpaceXが主催したミッション後の記者会見で、テストは基本的に計画どおりに実施され、これは有人ミッションに向けて順調な経過だと伝えた。

「全体的に見て、完璧なミッションだった」 とマスク氏は語った。そして「予想どおりの結果で、すごく興奮してる。これは本当に素晴らしい」を続けた。そして「これまでの経過はすべてが完璧に見える」とマスク氏はつけ加えた。「しかし、我々は宇宙船を物理的に回収し、テレメトリ(遠隔モニタ)に現れていない問題を確認する必要がある」とも述べた。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

日本時間1月18日22時、SpaceXが有人飛行直前の最終テストを実施

SpaceXとNASAは、目前に控えたSpaceXの商用有人宇宙船Cew Dragonの非常に重要な打ち上げテストの準備を進めている。これは、SpaceXが国際宇宙ステーションまで実際に人間を乗せて飛行する前に、必ずパシしなければならないデモンストレーションミッション 最後の大きな山場となる。米国東部時間午前8時(日本時間の午後10時)、打ち上げウィンドウが開く。SpaceXは時間内に、宇宙船Crew Dragonと打ち上げ機(ロケット)Falcon9の、いわゆる「インフライトアボート」(飛行中止)テストを行い、実際の有人飛行時に不測の事態が発生したときに、乗員を守る安全装置の働きを実証する。

今回のミッションでは、Falcon9の先端にCrew Dragonカプセルを搭載して打ち上げる。このFalcon9には、これまで3回のミッションで打ち上げに使用し、再生したブースターステージが使用されている。しかし、今回がこのFalcon9にとって最後のフライトとなる。管制着陸は行わず、ロケットはそのまま廃棄する計画だからだ。打ち上げは、意図的に早めに切り上げられる。テストはロケットが「マックスQ(最大動圧点)」、つまり飛行中に大気圏内の動圧が最大値に達した直後である打ち上げからおよそ84秒まで行われる。

この時点でロケットは、地表からおよそ19kmの高度、フロリダのケープカナベラル空軍基地の打ち上げ台から3kmの距離にいる。ここに到達すると、SpaceXに備えられた打ち上げ時脱出システムが自動的に作動する。これは、人間が乗った宇宙船をFalcon9から切り離し、乗員の安全が保たれる十分な距離まで高速移動させるというものだ。打ち上げからおよそ5分後、Crew Dragonはパラシュートシステムを展開し、その約10分後に、海岸から3〜3.5km沖合の大西洋上に着水する。

その後、Crew Dragonカプセルは海から回収され、ケープカナベラルに戻され、SpaceXで検査が行われる。この宇宙船には乗員のダミーが乗せられており、内部に備え付けられた複数のセンサーで、テスト中のキャビンがどのような状態だったかがわかるようになっている。調査チームはそれをもとに、早期にミッションが中止される非常事態において、脱出プロセスが予定通りに進行し、搭乗した宇宙飛行士たちの安全が守られることを証明したいと考えている。

このインフライトアボートシステムの他にも、SpaceXとNASAは、今回のテストで有人飛行に備えたいくつもの試験を行う。2020年後半に打ち上げを予定している初の有人ミッションに登場するBob Behnken(ボブ・ベンケン)宇宙飛行士とDoug Hurley(ダグ・ハーリー)宇宙飛行士が、実際のミッションを疑似体験するための予行演習も行われる。2人は宇宙服を着て、発射塔のCrew DragonとFalcon9に乗り込むための通路を歩くことになっていると、NASAのJim Bridenstine(ジム・ブライデンスタイン)長官はTwitterに投稿していた。

ジム・ブライデンスタイン「準備完了! 明日のSpaceXのインフライトアボートテストでCrew Dragonに乗ることはないが、宇宙飛行士のボブ・ベンケンとダグ・ハーリーは商用クルーミッションのリハーサルを行う。アメリカの国土からアメリカ人宇宙飛行士が飛び立つ日は近い!」

上記のとおり、今回のテストではロケットの回収は一切行わない。SpaceX有人ミッション管理ディレクターBenji Reed(ベンジ・リード)氏は、1月17日の記者会見で、Falcon9の第2段で、ある種の「点火」事象の発生を予期していると話していた。地上から見えるほど大きくなる可能性があるという。SpaceXのスタッフは、できる限り多くの破片を回収できるよう待機する。破片を研究に役立てるつもりだが、テストによる環境への悪影響を最小限にする狙いもある。

当初、このテストは、6カ月ほど前に実施される計画だったのだが、使用するはずのSpaceXのCrew Dragonカプセルがエンジンテストの際に予期せぬ事故で失われてしまった。SpaceXとNASAはその爆発事故を調査し、原因を解明し、同じ問題が二度と発生しないという自信を持つに至った。本日のテストで使われるCrew Dragonは、実際の有人飛行で使う予定だったもの。宇宙飛行士を乗せるための新しいカプセルは、現在、建造中だ。

SpaceXの打ち上げウィンドウは、米国東部時間1月18日の午前8時に開く。4時間開いている予定だが、リード氏によれば、必要に応じて延長できるという。NASAの商用有人プログラム・マネージャーのKathy Leuders(キャシー・ルーダー)氏は、打ち上げの条件だけでなく、回収の条件も非常に重要であり、どちらもこのテストの目的にとって最適でなければならないため、その両方の要因から正確な打ち上げ時間を決めることになると1月17日に話していた。特定の軌道に載せることが目的ではないため、時間ぴったりに打ち上げる必要はない。飛ばすか、止めるかの判断は、比較的柔軟に行える。もしもの場合のために、SpaceXでは1月19日と1月20日を予備日に設定している。

我々は、1月18日の朝(日本時間では1月18日、土曜日の夜)に始まるテストの様子をライブストリームとライブ取材でお伝えする。ストリーミングは打ち上げウィンドウが開く15分前(日本時間午後9時45分)から開始する予定なので、ぜひご覧いただきたい。

米国版TechCrunchのサイトでご覧ください)

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(翻訳:金井哲夫)

SpaceXがCrew Dragon宇宙船の脱出装置の空中テストを1月18日に実施

SpaceX(スペースX)とNASAは、Crew Dragon宇宙船にとって重要な飛行中の脱出装置テストのための、公式なスケジュールを決定した。飛行中の脱出装置のテストは、NASAの宇宙飛行士がCrew Dragonに搭乗して飛び立つ前の必須の条件だ。NASAとSpaceXは現在、米国時間1月18日(日本時間1月19日)の土曜日にこのテストを実施する予定となっている。

飛行中の脱出装置のテストはその名のとおり、ミッションにトラブルが発生したことを想定して、実際にCrew Dragonが飛行している最中にそれを中断するものだ。宇宙船のカプセルをロケットから高速で分離することで搭乗している宇宙飛行士の安全を確保する。

これは、SpaceXとNASAの商業乗員輸送プログラムの最終目標に向けた長い道のりの中で、最も重要なステップのうちの1つだ。これにより、米国は独自に宇宙飛行士を打ち上げる能力の再確立を目指す。SpaceXはすでに、Crew Dragonが大気圏に突入した後に安全に降下するための新型パラシュートシステムの一連のテストに成功しており、今回の重要な脱出装置のテストが成功すれば、2020年後半には乗員を乗せたCrew Dragonを初めて打ち上げる予定だ。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

SpaceXが有人宇宙船Crew Dragon打ち上げシステムの噴射テストを完了

SpaceXは、有人宇宙船カプセルCrew Dragonの打ち上げ脱出システムのスタティックファイアリングテスト(射点に固定したロケットを噴射する)を行ったと発表した。これは、同社にとって必須のテストであり、去る4月のテストでは爆発を起こして宇宙船が破壊されたことから特に注目を集めていた。調査の結果SpaceXとNASAは、試験失敗の原因を突き止め修正し、今日のエンジン噴射につながった。

今日のテストは前回よりずっとスムーズに進行したようで、計画された時間一杯テストは続き、現在同社の技術者とNASAチームはテストの結果と得られたデータを検討しているとSpaceXは語った。成功と認められるために必要な基準をテスト結果が満たしていれば、有人飛行システムの機内テストに移ることができる。Crew DragonがNASAの宇宙飛行士を乗せて飛び立つために必要な次のステップだ。

緊急脱出テストは、実際の有人ミッションの緊急時にSuperDracoの脱出システムがどのような振る舞うかを調べる重要なステップで、実際には誰も乗っていない。NASAは商業パートナーに対して、安全確保のため緊急時に有人カプセルを宇宙船から安全な距離まですばやく移動できることを示すよう要求している。イーロン・マスク氏は、予定通り進めば早ければ12月中旬に緊急脱出テストを行いたいと語った。

重要なテストがすべて計画通り進めば、来年の前半には最初の有人飛行ミッションを遂行できるとNASAとSpaceXは楽観視している。同じく商業有人飛行を請け負っているボーイングも同社のStarliner有人カプセルプログラムを同じようなスケジュールで進めている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SpaceXが有人宇宙船「クルードラゴン」のパラシュート試験に13回連続成功

SpaceXは、13回に渡るパラシュート試験に成功した。同社の宇宙船であるCrew Dragon(クルー・ドラゴン)で利用予定の第3世代パラシュートシステムだ。直近のテストでSpaceXは、短く編集ビデオをTwitterで公開し、パラシュートの一つを意図的に作動させないシステムの実験を見せ、仮に部分的に不具合が起きた場合にも飛行士がが安全に着地できることを示した。

NASAの宇宙飛行士を乗せたCrew Dragonを打ち上げる計画のSpaceXにとってこれは大きな一歩だ。先月NASAのJim Bridenstine(ジム・ブライデンスタイン)長官はカリフォルニア州ホーソンのSpaceX本社を訪れ、SpaceXのElon Musk(イーロン・マスク)CEOとこの商用クルー計画の進捗状況について話あった。その時Musk氏は、改善したMark 3パラシュートシステムのテストを最低10回成功させてから飛行士を乗せると話していた。

「宇宙飛行士を飛ばす前に、最低でも10回連続でテストに成功させるつもりだ」と当時Musk氏は話した。「パラシュートの動作が安定していることを10回のテストで確実にするためだ」

当時Musk氏は、年内に少なくとも10回テストする予定であることも言っていたので、13回という数字は十分計画を満たしており、これはMusk氏が概して楽観的な目標日程を設定するSpaceXにとって、予定より早い進捗という珍しい事態だと言える。

Crew Dragonに使われているこの第3世代のパラシュートは、ナイロンの代わりにザイロンを使用している。SRI(スタンフォード研究所)で開発されたポリマー材料で、パラシュートで使用する糸の強度をナイロンの約3倍にできる。SpaceXは縫製パターンも変更し、新しいパラシュートの負荷バランスを最適化している。

SpaceXの次のステップは打ち上げテストで早ければ今週水曜日にも行われる。地上で行われCrew Dragonの脱出用エンジンをテストする。その後は空中での脱出用エンジンテストを年内に実施することを期待しており、非常時に離陸後のFalcon 9ロケットからCrew Dragonが脱出するところを見せる。

NASAとSpaceXは両者とも、今後のテストが順調に行われれば来年早くに有人飛行が実施できると楽観的な見方をしている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SpaceXがクルードラゴンのパラシュート試験のビデオを公開

SpaceXは同社の宇宙船Crew Dragonの回収用パラシュートシステムの試験風景を詳細に紹介している。最新のビデオには貨物機や高高度バルーンから落下する映像などのテスト風景が収められている。Crew Dragonカプセルのテストバージョンが砂漠のテスト地域に向かって落ちていくところや、宇宙飛行士を送り出すミッションを終えた後、緩やかに着地するための複数パラシュートアレイを展開する様子などが見られる。

イーロン・マスク氏の民間航空会社は、このCrew Dragonパラシュートシステムを以前からテストしているが、4月にデモ用Crew Dragonカプセルの代わりに金属製のそりを使って行われた「高度な開発テスト」がNASAの期待に答えられず失敗に終わったこと以外、ほとんど情報がなかった。ともあれ、最終的な完成システムに向けて提供されたデータによれば今回のテストは両者にとって「成功」だったようだ。

SpaceXは、今日公開されたビデオで信頼性試験や認定試験など7種類のテストを紹介している。同社はまだこのパラシュートシステムが認定を受けたとは発表していないが、ライバルのボーイングは6月にStarliner有人宇宙船の認定を受けている。

パラシュートシステム以外でもSpaceXは、NASA職員を乗せた有人飛行の認定を受けるためにさまざまな試験を実施している。また最近同社は、4月にCrew Dragonがエンジン試験を中断した失敗理由の調査の進捗や、有人試験飛行に向けた改善点についても詳しく報告した。

SpaceXはCrew Dragon初の有人試験ミッションの目標を2019年中としており、以前は7月末の実施を目標にしていた。現時点でSpaceXの宇宙船が今年中に宇宙飛行士を乗せて飛ぶところを見られる可能性は極めて低い。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SpaceXが歴史的な民間有人宇宙船のテスト運用に初成功

SpaceXのCrew Dragon宇宙船が大西洋に無事着水し、民間企業による国際宇宙ステーション(ISS)との有人宇宙船のテスト運用に初めて成功した。これはSpaceXが年内に予定してるミッションのうちの一つで、Boeingもそれに続き宇宙船のデモ打ち上げ、そして有人でのテスト打ち上げを実施する。

Demo-1と名付けられたミッションでは、SpaceXはISSとの貨物輸送に定期的に用いられてきたDragon宇宙船の発展形となるCrew Dragonが、宇宙飛行士の輸送の準備ができていることを示した。

3月2日(米国東部時間)、地球を18周したCrew Dragonは最終的にISSへと接近し、新たなドッキング・アダプターへと自律的にドッキングした。400ポンド(約180kg)の物資がISSへと持ち込まれたが、Ripleyと名付けられたクラッシュテスト用のダミー人形は船内に取り残された。

(なお、Crew Dragonを打ち上げたFalcon 9の第1段もドローン船への自動着陸に成功している)

Crew Dragonのドッキングから5日後、宇宙船はISSから分離し、大気圏への再突入を開始。スケジュールどおり、3月8日の8時45分に地球に帰還した。

これはNASAのCommercial Crew Program(商業有人計画)における大きな進展であり、またSpaceXにとっても計画の成功だけでなく、Boeingに先んじたという意味で価値がある。ただしこれはどちらがシェアを獲得するかという話ではなく、2社の健全な競争により、有人宇宙開発がより一般的になることを意味している。

今後、SpaceXとNASAによるミッションの詳細な報告や、宇宙船とダミー人形の検査結果が伝えられることだろう。

(文/塚本直樹 Twitter

SpaceXのCrew Dragonカプセル回収の様子はこうなる

宇宙から高速で帰ってくるときは、いくつかの理由により、陸地より水の上に降りる方が安全だ。SpaceXのCrew Dragonカプセルももちろんそうする。そして、地球に帰還して回収船GO Searcherに載せられる様子はこんな感じになる。ただし、実際には英雄たちを歓迎する場面があるはずだ。

GO Searcherを見るのはこれが初めてではない。昨年海上でヘリコプターの着船テストを行ったときにも少しだけ公開された。

ご覧のとおりGO Searcherは、落下した飛行物体を捕獲するためだけの巨大なミットではない。大きくて重いカプセルを海上から回収するだけではなく、乗組員を収容しなくてはならない(医療行為が必要な場合もある)。つまりこれは作業用の船というよりも動く海上基地のようなものだ。

これはフロリダ州ポートカナベラル(もちろんあの有名なケープカナベラルの近く)のドックに船が帰還するところ。おそらく海上で何らかの訓練を行った帰りだろう。

船上にはCrew Dragonカプセル(実際の製品版ではなく実寸大のモックアップかプロトタイプと思われる)が載っているようなので、おそらく海面から拾い上げてソフトに着船させる訓練を行っていたのだろう。

訓練から戻ってくる様子はおそらくこんな感じだろうが、距離やミッションによっては、宇宙飛行士や宇宙旅行者たちをヘリコプターに乗せて急いで帰す可能性もある。けが人がいる場合はもちろん、場所や天候によっては遅い船ではなく空路を使う方が望ましい場合もあるだろう。

いずれにせよ、これからはこの種の船を頻繁に見かけるようになるだろう。SpaceXには、今回の作業の詳細、および同社が予定しているCrew Dragonのテスト飛行との関連について質問している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook