資金難の公益訴訟をクラウドファンディングするイギリスのCrowdJusticeがアメリカに進出、$2Mのシード資金を獲得

公益訴訟をクラウドファンディングするスタートアップCrowdJusticeが、米国進出に際して200万ドルのシード資金を調達した。

First Round CapitalとVenrockがそのラウンドをリードし、Bessemerおよびこれまでの投資家Kindred Capitalが参加した。同社は、JustGivingの最初の投資家Bela HatvanyとJustGivingの会長Jonathan McKayを支援者として挙げている。

元国連の弁護士Julia Salaskyが2015年にロンドンで立ち上げたCrowdJusticeの事業は、訴訟費用を得ることが困難な事案にKickstarterモデルを持ち込むことだ。より一般的には、そのねらいは、司法にアクセスして社会の変化のために法を利用することを、誰にでもできるようにすることだ。Salaskyによると、今どこよりもそれを必要としているのがアメリカだ、という。

しかもそれは言葉だけではない。CrowdJusticeのファウンダーは12月に実際にニューヨークに引っ越した、と聞いている。実質的に会社を大西洋の向こう側へ移したのだ。イギリスでの操業は、“そこそこやれていた”というのに。

話題になった利用例としては、Brexitに対する“People’s Challenge”〔仮訳: 人間からの異議申し立て〕がある。それは最高裁における勝訴で、EU離脱は議会の議決が必要、とした。また最初のアメリカの事案は、トランプの移民の入国禁止に対する異議申し立てだ。

今日(米国時間5/30)のアメリカでのシード資金調達と時を同じくして、新たな募金キャンペーンが始まった。それは、カナダのスタートアップPirate JoeのファウンダーMike Hallattに対する巨大企業Trader Joeからの訴訟〔“商標盗用”〕で、Hallatの弁護費用を捻出するためだ。

Hallattは車で米加国境を越え、Trader Joeの品物を大量に仕入れ、それに利ざやを付けてバンクーバーの自分の店で売っている。Trader Joeは、カナダに店舗がないにも関わらず、Hallattの事業をやめさせようとして何度も訴訟を試みている。

Salaskyはこう声明している: “法律を誰もが利用できるようにすることが、今ほど重要な時は過去になかった。力のある者もない者も、権利を擁護し守り、あるいは行政の責任を問うことが、できなければならない。CrowdJusticeにおける私たちの目標は、訴訟の準備と資金調達に革命をもたらし、正義へのアクセスに格差をなくし、それを民主化することである。それが、ゴリアテ(巨人)に挑むダビデ(小柄な若者)であっても、あるいは行政を糺す非営利団体であっても、私たちは人びとに法へのアクセスを与えたい”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

コミュニティの公益訴訟資金をクラウドファンディングで支えるCrowdJustice、沖縄にもあればよいかも

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イギリスの総選挙後の新政権はHuman Rights Act(人権法)を破り捨てようとしているし、司法扶助の予算はすでに削られている。逆説的に今は、コミュニティによる法的扶助を一層充実していくための、絶好の好機だ。

国連の弁護士だったJulia Salaskyがロンドンで立ち上げたCrowdJusticeは、人びとが起こしたいと願っている“公益のための”訴訟を、クラウドファンディングで支えようとする。つまり訴訟資金をKickstarter方式で集めることによって、お金のない人でも公共の正義のためのたたかいができるようにする。

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Salaskyは次のように説明する: “たとえば地域の病院の廃止決定をコミュニティが合法的に廃案にさせたいと思ったとき、そのための法廷闘争資金をCrowdJusticeで募集することができる。コミュニティの誰かが、人権問題で不当扱いを受けているときなども、有志が訴訟のために立ち上がることができる。政権が変わるたびに司法へのアクセスはますます困難で費用のかかるものになっているが、クラウド(crowd, 人びと)の力でその流れを食い止めたい”。

“この前の連立政権のときもそうだったが、今度の保守党政権でも国民に対する法的援助の予算は大幅にカットされるだろう。また、人びとの政府の決定に対抗する能力を抑えるための、法律が作られるだろう。だから、弱者だけでなく一般の人びとも、司法へのアクセスがますます困難になる。とくに、重要だけれど解決に費用を要する問題が、無視されがちになる”、と彼女は語る。

CrowdJusticeで訴訟資金を集めるのが好適、とSalaskyが考えている問題は、バードサンクチュアリの保全のようなきわめてローカルな問題や、逆に、拷問や(政府による)大量監視のような、社会の全体に関わる問題だ。
“これらの問題は、実質的な原告の数が数十万から数百万にのぼることもありえる。しかし今は、それだけのコミュニティが資金を集めて立ち上がり、公益のためにたたかっていくための方法がない。今は、重要な公益的問題でも、勇敢な個人の頑張りと限られた資金能力に頼っている。だから私たちは、司法のシステムをハックして、コミュニティが自分たちの未来のために投資できるようにしたい”。

司法システムをハックする、というと聞こえは良いが、でも、公益のためやコミュニティの利益のために訴訟資金や活動資金を集めるというアイデアは、時代を超えて当たり前のことのようにも思える。それなのに、なぜ今まで、イギリスでは誰もそれをやろうとしなかったのか?

“法律の世界にクラウドファンディングが浸透するのに、こんなに長い時間がかかったなんて、とてもおかしい。CrowdJusticeの売り込みで走り回ったとき、法律家たちは異口同音に、‘今までそれがなかったなんて信じられないね’とか、‘何百年も昔からみんなそれを考えていたんだよ’、と言う。法律の世界には、ふつうの人たちが司法にアクセスする方法に関して絶望感と諦めがあり、とくにここ数年は、政府の施策や予算の面でもますます無視される存在になっていた”、とSalaskyは述べている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa