スマートリモコンのNature RemoがDeNAなどから5億円調達、エネルギー事業への本格的参入目指す

Natureは8月1日、総額5億円の資金調達を発表した。環境エネルギー投資とディー・エヌ・エー(DeNA)を引受先とする第三者割当増資となる。なお、DeNAから出資については、DeNA創業者の南場智子氏が代表を務めるDelight Venturesに移管される予定。

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Natureが開発するスマートリモコン「Nature Remo」は、テレビやエアコン、照明などの家電とは赤外線、スマートフォンやタブレット端末とはWi-Fiを経由してつながっており、外出先などからスマートフォンを操作して家電を遠隔操作できるのが特徴だ。近年では、音声アシスタントのGoogle HomeやAmazon Alexaに対応し、各種スマートスピーカーを組み合わせることで音声での家電操作も可能になっている。同社によると発売2年弱で、Nature Remoの累積販売台数は10万台を突破したという。最近では家電量販店でスマートスピーカーとのセット販売も始まっている。

Natureでは今回の資金調達をチーム強化に当てるとのこと。スタッフの数を倍に拡大し、開発・販売・サポート体制を強化する。現在約10名のフルタイムスタッフ(パートタイムやインターンを入れると15名)を倍の20名程度にまで増やすことを目指しており、具体的な職種としては、エンジニア、マーケター、事業開発、カスタマサポートなどの人材を増強する予定だ。

そして同社は、年内発売予定の新デバイス「Nature Remo E」によってエネルギー事業への本格的参入も予定している。Nature Remo Eは、家庭の太陽光発電や蓄電、スマートメーター、ECHONET Lite(家電向けの汎用通信プロトコル)対応機器の情報を集約するハブ機能を備えるデバイス。専用のスマートフォンアプリで、買電・売電など電力状況の確認や過去の消費電力量の表示、接続機器の制御などが可能だ。

同社CEOの塩出晴海氏は「Nature Remo Eは、Natureが実現したい再生可能エネルギーの電気をP2Pで売買できるプラットフォーム構築のための試金石になります。電気のP2Pのプラットフォーム構築においては、各家庭での電力買電・売電のリアルタイムのデータ、需要と供給をマッチさせるための調整力が必要で、Nature Remo Eはそれらを実現できるキーデバイスなります」と語る。

また同社は今回の調達のタイミングで本社機能を日本に移管し、日本発での海外市場進出を目指して再出発する。この点について塩出氏は、「Natureのユーザーのほとんどは日本在住です。また、電気のP2Pの事業を進めるうえで、日本は極めて有利な環境が整っていることも理由です。1つは、スマートメーターのデータが解放されていること。もう1つは、国内メーカーの太陽光システムや蓄電池システムなどでオープンプロトコルが採用されていること」とのこと。「これらの理由により、今後大きく成長が見込まれるエネルギーの事業を既存顧客の多い日本で育てて、海外に展開して行くことがNatureのグローバル展開において最適だと判断したためです」と続ける。

太陽光発電を導入する家庭などでは、備え付けのパネルやタブレット端末で発電量や売電量を確認することは可能だが、スマートメーターや対応する家電からの情報を集約してスマートフォンで参照できる個人向けデバイスは少ない。ECHONET Litetg対応家電はまだまだ少ないが、一部メーカーの洗濯機や電子レンジ、電磁調理器などが対応している。これらの機器が一般化すれば、家庭の電力量を細かく把握したいというニーズも生まれるだろう。

なお同社は同日、Nature RemoがiOSのSiri ショートカットに対応したことも発表した。iPhoneやiPad、HomePodと連携して、Siriショート カット経由で家電を音声で動かすことが可能になる。