ボストン・ダイナミクスの倉庫ロボットがDHLから約17.2億円の業務を受注

2021年3月、Boston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)は同社2番目の商用ロボット「Stretch(ストレッチ)」を発表した。箱を動かす見事なHandleコンセプトを元に作られたこのシステムは、同社の先進ロボティクス技術を倉庫・物流の舞台へと推し進めるために作られた。現在、ロボティクスで最も注目されている分野だ。

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米国時間1月26日、Hyundai(現代、ヒョンデ)傘下のBoston Dyanamicsは、同社初の法人顧客となる大物企業との提携を発表した。物流の巨人DHL(ディー・エイチ・エル)は、Boston Dynamicsのロボットを北米の事業所に配置する、1500万ドル(約17億2000万円)の複数年契約(両社にいわせると「投資」)を完了した。購入されるロボットの台数は明らかにされていないが、Boston Dynamicsは、今後3年間にわたり、DHL物流センターにロボット「集団」を納入するという。

Stretchは、トラックから積荷を降ろす作業から始める。発表時に製作者たちが主要な部分として強調していた機能だ。その後、他の作業も加えていき荷物処理システムの自動化を推進していく予定だ。

CEOのRobert Plater(ロパート・プレーター)氏は次のように語った。「StretchはBoston Dynamicsの最新型ロボットで、倉庫内の課題解決に特化して作られています。DHL Supply Chain(DHLサプライ・チェーン)とともに当社のロボット集団を展開し、倉庫作業の自動化を進め、そこで働く人たちの安全性を高める取り組みができることを大変うれしく思っています。私たちはStretchがDHLの事業活動に意味のある影響を与えると信じており、大規模なロボット集団が仕事をするところを見るのを楽しみにしています。

この提携は、Boston Dynamicsが現在推進している四足歩行ロボットSpot(スポット)を超えるビジネス目標の土台を築く鍵となる。荷物処理は労働集約的で極めて反復の多い重労働であり、長時間の緊張を強いられ障害点も多い。これは、商業化推進を目論むHyundai傘下の同社にとって大きな試金石だ。

一方、DHLにとっては、肉体労働力確保が困難な時期に、物流作業の一部を自動化できる好機だ。これは、配送事業を侵食しつつあるAmazon(アマゾン)らと競合する中、同社が完全オートメーション化を進めるチャンスでもある。

画像クレジット:Boston Dymamics

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(文:Brian Heater、翻訳:Nob Takahashi / facebook

DHLが2022年までにLocus Roboticsのユニットを2000台配備する計画を発表

米国時間6月2日、DHLはマサチューセッツを拠点とするLocus Roboticsとの間ですでに進行しているパートナーシップを今後拡大すると発表した。2020年にDHLはLocusのロボットを1000台配備する計画を発表していた。この台数が2022年までに2000台と、2倍の計画になった。これによりDHLはLocusにとって他社に大差をつけて最大の顧客となる。

両社は2021年から共同でロボティクスの試験運用をしているが、コロナ禍でオートメーションに対する関心は大幅に高まった。その理由はたくさんあるが、中でもロボットは休業中も稼働し、世界的に感染が拡大していても感染を媒介する恐れが低いことが挙げられる。

DHLのグローバルサプライチェーンCOO / CIOであるMarkus Voss(マルクス・フォス)氏は、以下のように数字を示している。

これまでに500台以上のピッキング支援ロボットが米国、ヨーロッパ、英国のDHLの倉庫ですでに実際に使用されています。2021年末までにさらに500台のロボットを20カ所以上の拠点に追加する予定です。最新の倉庫業務において、共同開発しているピッキング技術の有効性と信頼性は明らかに実証されました。2022年にさらに配備する予定のロボットについても、導入拠点は具体的な実装ロードマップですでに決まっています。DHLの倉庫におけるピッキング支援ロボットの全般的な可能性はさらに大きく、我々はLocus Roboticsとともに設定した目標を達成できると確信しています。

LocusはDHLの複数のロボティクスパートナーの1社だ。DHLは2018年後半にこの分野に3億ドル(約329億円)を投資する計画を発表し、2020年時点では全米の倉庫に20万台以上のロボットを配備したと述べた。これはライバルであるAmazonのロボティクスの取り組みに匹敵する数字だ。

Locusはこの計画に加え、現金の調達でも問題はなかったようだ。2021年2月に同社は10億ドル(約1097億円)のバリュエーションで1億5000万ドル(約164億5000万円)のシリーズEを発表した。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:DHLLocus Robotics物流倉庫資金調達

画像クレジット:Locus Robotics

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(文:Brian Heater、翻訳:Kaori Koyama)