ミューロンの新アプリ「CALNA」は、コンビニ・外食ダイエットを人工知能でサポートする

ダイエットと言えば専任のトレーナーがついて、毎日の運動量から食事までを管理するというものから、コンビニでおでんを食べるなんてものまでさまざま。だが肝心なのはそれを継続すること。毎日しっかり献立を立てて健康的な食事をとるというのはそんなに簡単なわけではない。meuron(ミューロン)が10月4日にリリースした「CALNA(カルナ)」は、そんなダイエットの課題を人工知能で解決してくれるという。

ユーザーは自身の身長や体重を入力したのち、ダイエットプログラムを選択(現状は体重の2%原料を目指す無料プログラムのみ提供)。さらにアンケートによる診断を行うと、人工知能がユーザーに最適なメニューを毎食提案してくれる。提案されたメニューを食べられない場合は、どれ位のカロリーを摂取するのであればいいかといった情報も表示される。

現在、大手コンビニ(ローソン、ナチュラルローソン、ファミリーマート、セブンイレブン、サークルKサンクス)の商品、飲食チェーン店(大戸屋、ロイヤルホスト、スープストック、エクセルシオール)のメニューをデータベース化。その中から最適なものを組み合わせて700万通りの献立を提供する。

また、提案されるメニューを食べていくことでどれだけダイエット効果があるかという体重予測のデータも提供。さらに人工知能とのチャットを通じて、ダイエットプランの相談や改善などもできるとしている。なおこの体重予測データは、ミューロンがすでに提供中のオンライントレーナーサービスで実際に得たモノをベースにしており、精度も高いという。

ミューロンは2014年10月の設立。代表取締役の金澤俊昌氏は、ヘッドハンターを経てBEENOSに入社。同社でおもに人材面から起業家の支援をしてきたが、その中でCALNAの原型となるプロダクトを開発。BEENOSをスピンアウトしてミューロンを立ち上げるに至った。ミューロンはこれまでにANRI、ベンチャーユナイテッド、BEANOS、BEENEXTおよびエンジェル投資家2人から、合計約1億1800万円の資金を調達している。

「ヘッドハンターをやっていた頃から、『誰がやっても成果を出す』という仕組み作りに興味があった。ハイパフォーマーがやっていることをいかにオペレーションに落とすか。そんなことを考えている中で、ダイエット支援のサービスが盛り上がってきた。だがこれらのサービスはトレーナーに体の管理をしてもらえるのはいいが、月額5万円、10万円とかかる。これをアルゴリズム化して提供できないか考えた」(金澤氏)

「またダイエット始めると、サラダチキンやキャベツといったものだけ食べてしまいがち。ダイエット中でももっと色んなを食べられるのに、それを工夫していくこと自体に負担がかかる。商品データを持ち、システム側でロジックを組んであげれば、自分だけでは発想しないような組み合わせのメニューもできる」(金澤氏)

ミューロンでは今後は有料プログラムをはじめとしたサブスクリプション型の課金サービスや、サプリやレシピの提供などでのマネタイズを検討している。

ミューロンのメンバーら。後列中央が代表取締役の金澤俊昌氏

meuronのメンバーら。後列中央が代表取締役の金澤俊昌氏

オンラインダイエットプログラムを展開するFiNC、数億円の資金調達を実施

左から元ミクシィ代表取締役の朝倉祐介氏、FiNC取締役副社長 CFOの乗松文夫氏氏、FiNC代表取締役CEOの溝口勇児氏、元オプト代表取締役CEOの海老根智仁氏

オンラインを中心にしたダイエットプログラム「FiNCオンラインダイエット家庭教師」を提供するFiNCが9月12日、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、グリーベンチャーズ、リンクアンドモチベーション、MIDベンチャーキャピタル、元ミクシィ代表取締役の朝倉祐介氏、元オプト代表取締役CEOの海老根智仁氏を割当先とした第三者割当増資を実施したことを明らかにした。あわせてみずほ銀行などからの融資も実施している。調達額およびバリュエーションは非公開だが、数億円になるという。またこれにあわせて朝倉氏と海老根氏が同社の戦略顧問に就任する。

FiNCのサービスやビジネスモデルについては、以前に紹介したとおりだが、遺伝子検査や血液検査、アンケートに基づいて、管理栄養士によるダイエット指導が受けられるというもの。

ユーザーがサイト上に毎日の食事と体重を写真と共にアップロードすると、60日間のプログラム期間中、栄養士からの評価や指導が受けられる。もちろんスマートフォンでの利用が可能。このほか、東京・永田町と銀座にある同社のスポーツジムや、提携するジムの利用などが可能になる。また、遺伝子検査の結果に応じて独自に組み合わせたサプリメントも提供している。このサプリメントは、プログラム終了後も約50%のユーザーが継続購入しているそうだ。

前回の記事で僕もこのプログラムを利用させてもらっていると紹介したが、その後厳しい指導のおかげで7.5kgのダイエットに成功している(とりあえず終了して2週間ほどでのリバウンドも無いようだ)。

元みずほ銀行常務も参画

話を調達の内容に戻そう。今回の調達では、人材採用による体制強化、本社移転(すでに8月に実施済み)、プロモーションの実施を行うという。

人材採用に関しては、元みずほ銀行常務の乗松文夫氏が取締役副社長 CFOとして同社に参画したことが8月に発表されている。今回の資金調達に関しても、特に融資の面で尽力したという。金額こそ非公開だが融資額も小さくない金額だそうで、シリーズAでの億単位での調達において、あまり株式を希薄化することなく調達に成功しているという。

また、栄養士やトレーナーといった専門職のネットワーク構築を進める。前回の記事でも紹介したとおりだが、クラウドソーシングの仕組みを利用したり、提携スポーツジムを増やすなどして、1000人規模まで拡大する見込みだそうだ。

実は現在プログラム自体は「宣伝もしていないし大きな数字ではないが、満員御礼な状況」(FiNC取締役COOの岡野求氏)だそうで、専門職の人材不足がボトルネックになっているそう。今後は人材や会社の基盤を年内にも確立し、年明けに向けて、プロモーションを強化していくそうだ。「意識的に営業を抑えているが、法人も含めて正直売り込んでいける先はあると思っている。ここ数カ月は内部の業務フロー確立を進める」(乗松氏)

またFiNCでは、料理関係の新事業なども予定。そのほか、時期こそ明らかにされなかったが、海外進出も検討しているという。

ところでこのFiNC、プログラム自体は60日で終了するのだが、ユーザーのLTV(ライフタイムバリュー:継続的な取引でユーザーが企業にもたらす価値)を上げる施策などは考えているのだろうか? 岡野氏は「ビジネスモデルは一時的なプログラムではない。極論だが、最終的にはダイエットだけは無料でもよいと思っている。属性に基づいた宅配やキュレーション、広告などいくらでも検討できる」と将来について語ってくれた。