生き残るために、デジタル一眼メーカーはスマートフォンに倣って1コマの価値を再評価すべきだ

スマートフォンがデジカメ専用機より好まれる傾向によって、駆逐されつつあるのはコンパクトカメラだけではない、という証拠は山とある ― デジタル一眼レフやレンズ交換式カメラも影響を受けている。WSJの最新記事は、2013年のデジタル一眼の出荷台数が2012年よりも9.1%減少すると伝えている。調査会社IDCによる。これは、スタンドアロンカメラを救うためには〈懐古ブーム〉だけでは足りないという証だ。

キヤノン、ニコンという2大デジタル一眼メーカーが、先月揃って年間売上予測を下方修正したとWSJは伝えている。これは市場全体が苦境に立たされていることを意味している可能性が高い。企業はこれを世界的経済状況による一時的後退と見ているが、これは過去数年間PC市場に起きたこととよく似ている ― やはり当初は経済不況が原因とされたが、スマートフォンやタブレットがコンピュータープラットフォームとして取って替ったからであると考えられる。

おそらくスマートフォンが、デジタル一眼市場下降の犯人であるに違いない。モバイル端末の画像品質が向上し、その利便性はさもなくばホビイストとしてあるいは旅行のために単体カメラを買っていたであろう人々に対して、非常に強い説得力を持っている。そして、画質と利便性だけが要因ではない。写真をプリントする人は過去と比べてはるかに少なくなり、代わりに撮った画像はAppleやGoogleが提供するデジタルアルバムサービスに預けるようになった。

デジタル一眼メーカーは、スマートフォン機能を模倣すべく、WiFi、ジオタグ、ソーシャルシェアなどの機能をカメラに塔載してきたが、まだ十分ではないと私は言いたい。一眼レフが既存ユーザーにとって魅力的である理由は、ある程度扱いにくい故にマニュアル制御や山ほどのメニュー項目に存在意義があることだ。しかし、人々が益々スマートフォンで満足している理由は、最少限のユーザー入力によって素晴らしい写真を撮ることがどんどん簡単になっているからだ。

デジタル一眼はこの点で大きな優位性を持っている。塔載されている受光素子はどのスマートフォンよりはるかに優れた画像を取り込める。必要なのはスマートフォンのスマートさだ。例えば、5回の露出の中から自動選に最良の写真を作り出すアルゴリズムで、これはGoogleのNexus 5が実現している。実際Googleは、カメラメーカーが心に受止めるべき教訓を数多く与えてくれる。Google+の自動写真編集機能は、私がLightroomやApertureでやるような微修正を幾度となく加えた。

同じように、AppleはiPhone 5sのカメラをより賢くし、ずぶの素人でもプロの気分を味わえるような裏方機能を備えている。これこそデジタル一眼メーカーが集中して取り組むべきところだ。彼らは、フィルターや顔認識、シェア等の消費者向け機能を付ければスマートフォンと対等の戦いができると信じているかもしれない。しかし真の優位性は、人を確実に驚かせる最終製品にある。過去10年間におけるガジェットの発展は、消費者を甘やかすことに終始してきた。今日、何かが10回中9回期待通りに働かない限り、殆どのユーザーは2度とそれを使わない。

かつては1コマ1コマが貴重だった。フィルムの時代には限られた枚数しかなく、うまく撮れたかどうかは暗室に行くまでわからなかった。それが事実上無限のデジタルストレージのおかげで安くなった。しかし今は再び貴重になったと私は言いたい。なぜならユーザーは一度目の挑戦ですぐに結果を欲しがるからだ。利用者の技術レベルによらず、あらゆる1コマを確実にモノにすることは、カメラメーカーが消費者に高価で面倒なハードウェアを買わせる理由を与えるためのゴールであるべきだ。たとえそれが、筋金入りホビイストにとって直感に反するものであっても。

今もまだ、時間つぶしで習熟しがいのあるダイヤル満載で気難しい獣の出番はあるが、プラス成長に戻すために、キヤノン、ニコンその他のメーカーは、日常的ユーザーが期待する機能を含んだ大きな網を打つ必要がある。

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(翻訳:Nob Takahashi)