企業向けFacebookツール、Facebook At Work、いよいよ来月正式公開

2016-09-28-fb-work-briefcase

Facebookはソーシャルメディアの中毒性をビジネスにも持ち込もうと準備中だ。同社はFacebook At Workを数週間のうちにリリースする計画だ。この企業向けビジネス・ツールはFacebook本体と同様、コミュニケーションとネットワーク上の共同作業をサポートする。料金はユーザー当たりの従量制になる。最初に報じたのはThe Informationの記事(有料制)だが、Facebookに近い情報源がTechCrunchに情報が正しいことを確認した。

Facebookは「社員がこのプロダクトを使って便利さを感じれば、その後手放せなくなるはずだ。こうしたビジネス・ツールの場合、定額制が普通だが、Facebookでは月間アクティブ・ユーザーを企業に対する課金の単位としている」とFacebook @ Workのディレクター、Julien Codorniouは述べている。 TechCrunchの得た情報によれば、Facebookはサービスのスタート時にAsanaなどのSaaSプロバイダーとの提携やサービスへの組み込みなどを発表する。[情報開示:この記事の筆者はAsanaの共同ファウンダーの一人の友人]

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つまり経営陣からアシスタントまで、さまざまなレベルの社員がこのツールを使い始めるはずなのでユーザー数を基準に料金を徴収することができればきわめて有利なビジネスとなるとFacebookでは考えている。いずれにせよ、使ってみて自分に不要だと考えればその社員分の料金は請求されない。

TechCrunchは 2014年にすでにFacebookはエンタープライズ向けツールを開発中だと報じている。またFacebook自身も2015年に最初のテストの開始を公式に発表した。その後Facebookは社員10万人のRoyal Bank Of Scotlandなどの巨大国際企業をテストにに加入させてきた

Facebook At Workの加入企業はこのサービス独自のWork Feed機能を利用できる。これは現在の業務や将来計画について同僚と情報やアイディアを交換、共有できるニュースフィードだ。全体としてFacebook At WorkはConvo (9ドル/月)、Salesforce Chatter(15ドル/月)、 Microsoft Yammer(3ドル-24ドル/月)といったビジネス・チャットに似ている。Facebookのビジネス・ツールではGroups、 Messengerとも音声と動画による通話ができる。これはSlackやSkypeを意識したものだろう。またFacebook本体のようなソーシャルネットワーク、ユーザー・プロフィール、イベント、ライブビデオ配信などがサポートされる。

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Facebook At Workの正確な料金システムはまだ明らかでない。現在400社以上が料金無料でベータ・テストに参加しているが、サービス開始後も数ヶ月は無料のまま他の同種サービスとの比較を続けることができるようだ。比較といえば、たとえばSlackは月間アクティブ・ユーザーごとに6.67ドルを課金するが、提供される機能はリアルタイムのメッセージングだ。Slackの場合、業務連絡やWikiタイプのQ&Aなどリアルタイムのチャットの下に埋もれてしまうのは困るような表示には向かない。

またFacebook At Workの最大の強みはユーザーがすでに慣れ親しんでいるサービスだという点だろう。Facebookであれば、大半のユーザーはすでにアカウントを持ち、各種のログイン情報を登録ずみで、使い方も熟知している。これは他のSaaSツールには望めない点だ。Facebookのユーザーは単にアカウントを切り替えるだけでFacebook At Workを使い始めることができる。これはライバルに比べて圧倒的に有利な点だ。ユーザーがセキュリティーを重視する場合は、既存のアカウント情報を利用せず、まったく新しいビジネス用アカウントを設定することももちろん可能だ。

Facebook At WorkのスタートはMicrosoftがメッセージ・サービスのYammer Enterprise版を来年1月に廃止するのと同時期となった〔MSはユーザーをOffice 365のチャット機能に移行させる計画〕。Yammer Enterpriseに依存していた大企業の多くは仕事の関係者を一箇所にまとめてコミュニケーションの場を提供してくれる代替サービスを探しているところだろう。Facebookとしても収入源を広告以外に求めることができるのはビジネス戦略として健全だ。このような形で売上を確保できれば本体サービスのユーザーを広告で生き埋めにせずにすむ。

唯一の問題は「無駄話で思わず時間をつぶしてしまう場所」というFacebookのイメージをこのビジネス・ツールが払拭できるかどうかだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

企業向けFacebook at Wok、世界への拡大を控えてTelenorの社員3万6000人をユーザーに加える

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Facebookのエンタープライズ版、Facebook at Workのユーザー企業はセキュリティーを強化した独自の社内ソーシャル・ネットワークを構築することができる。まだ非公開ベータ版の実験中だが、待機リストに載っている利用申し込み企業は6万社にも上るという。カスタム・アプリ開発のプラットフォーム機能を追加したうえで今年末までに世界に公開される予定だ。

昨日(米国時間3/2)、Facebookは最新の大口顧客を発表した。世界13ヵ国で活動しカバーし、ユーザー数2億300万というノルウェーを本拠とするキャリヤ、Telenorの3万6000人の全社員が3月2日からFacebook at Workを利用し始める。

TelenorグループのCEO、Sigve Brekkeはわれわれの取材に対し、「Telenarはこのプロダクト最初期からのパートナーであり、Facebookと密接な協力の一環として大規模なテストに参加してきた。われわれは〔At Workの導入で〕社員が働く環境をまったく新しくしたいと考えている」と語った。一新されるのは、社員に対して送るCEOのメッセージの発表の仕方ばかりではないく、これまで各部門ごとに閉じられていたコミュニケーションを全社的に風通しよくすることも含まれる。

またBrekkeは「多くの社員がすでにメンバーとして日常利用しており、十分に慣れ親しんでいるという点からもFacebookはわれわれにとってもっとも自然な選択だった」と語った。Telenorの社員はデスクトップでも(また通信キャリヤという業務を考えればその方がいっそうありそうだが)モバイル・デバイスからも自由にFacebook at Workにアクセスできる。

Telenorはバングラデシュ、インド、パキスタン、ミャンマーなどの途上国のキャリヤも所有している他、 Telenorが大株主である総合通信グループのVimplecomを通じて他の14ヵ国でも活動している。先週MWCで発表されたInfraの開発に重要な役割を果たすなどFaceookとは長年にわって提携してきた。

Facebook at Workはこれまでも定期的に新規ユーザーの加入を報じてきたが、いくつかの理由でTelenorの参加の意義は非常に大きい。

Telenorはまず第一に世界的な有力キャリヤであり、Facebook at Workの国際展開の責任者、Julien Codorniouによれば、これまでAt Workに参加した中で最大の企業だ。実はスコットランドの銀行、社員10万人を有するRoyal Bank of ScotlandもAt Workに加入を発表しているが、全社員向けに運用が開始されるのは年末になる。同銀行は現在3万人の社員について独自の社内ネットワークへの参加のための作業を行っている。

企業向けAt Workの規模拡大がビジネスの将来にとって重要なのはもちろんだが、キャリヤをメンバーに加えることの利点の一つは〔キャリヤ側で十分なテクノロジーを持っているため〕Facebook自身がエンジニアを増員しなくてすむことだ。Codorniouによれば、At Workビジネスの拡大にあたってエンジニアの数がFacebook側で最大のボトルネックとなっているという。この点に関連してFacebookは先月Boxで長年副社長を務めたMonica Adractasを北米セールス部門のトップに引きぬいている。【略】

Quip、Box等と協力して新プラットフォームを開発

Codorniouによれば、At Workは年末までベータ版から実用版にグレードアップされ、その後多数の新機能が追加される予定だという。At
Workは現在無料だが、将来は企業に利用料金を課する機能も追加されるらしい。有料化を正当化するためにも新機能のリリースは重要だろう。

Facebook at Workは本体の機能をできるかぎり忠実に企業内利用に適合させようとしている。重要な例が今年リリースされたWork Chatアプリで、これはMessengerのAt Work版といってよい。また「いいね!」ボタンの内容の拡大も先週の世界への公開と同時にAt Workでサポートされた。

Codorniouによれば、将来、企業は追加料金を支払うことによって他の社内システムとAt Workの統合運用が可能になるという。この場合、料金の計算は利用人員、利用月単位となるという。

またFacebookはQuip(クラウド・ベースのワープロ。Facebookの元CTOが創立。世界のFBネットワークを利用)や、Dropbox、Box,とも協力が進んでいる。またFacebookはMicrosoftのOffice 365もなんらかの形で取り入れたいと考えているということだ。Codorniouが示唆したようなMicrosoftとの提携が実現すればFacebookにきわめて大きなインパクトをもたらすことになりそうだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+