Future Familyが9.8億円を調達、クリニックのネットワークを拡大して不妊治療をもっと利用しやすくする

Future Family(フューチャー・ファミリー)についてはここ数年の間に何度か書いてきた。不妊治療の利用を支援する会社だ。不妊治療クリッニックと事前に交渉して金額のサプライズがないようにするとともに、高額になりがちな前払い費用を月払いプランに置き換える。さらに専門の妊活コーチをつけて患者をガイドする。

米国時間5月24日、同社は提携クリニックのネットワークを拡大するべく、900万ドルの調達ラウンドを完了したことを発表した。

同社は2018年にシリーズAで1000万ドル調達済みで、今回のラウンドはその延長としてシリーズA-1と呼び、全くの新規ラウンドではないと位置づけている。

以前私が書いたように、Future FamilyはファウンダーであるClaire Tomkins(クレア・トムキンス)氏自身の体験から着想を得ている。

Future Familyは、不妊治療の複雑さと費用にまつわるクレア・トムキンス自身の体験から生まれた。1人目の子供を生むための治療に数十万ドル(費用の多くは治療が始まった後驚きとともに明かされた)を費やした後、トムキンス氏はもっと良い方法を作ろうと考えた。Future Familyはクリニックと提携して、すべての費用を事前に確定させて前払いすることで、後になって費用で驚かされことがないようにする。

画像クレジット:Claire Tomkins, Future Family

2020年、トムキンス氏はほかの誰もが経験したように、全く新しいチャレンジに直面した。パンデミックが始まってまもなく、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)を巡って無数の懸念が噴出する中、多くの不妊治療クリニックが扉を閉めた。そして、クリニックが再開したあとも、9ヶ月の間に何が起きるかという不安から、多くの患者は当然のように治療を控えた。

「間違いなく苦しい一年でした」と彼女は言う。「しかし、私たちは良い位置にいるはずだと考えました」

関連記事:
Demand for fertility services persists despite COVID-19 shutdowns

2021年はすでに違った物語になろうとしている、とトムキンス氏は言う。「人々は決めかねていました」と彼女は言った。「現在、治療を始めようとする人たちは、12ヶ月かそれ以上待たなくてはなりません。非常に混み合っています」。同社のデータによると、2021年後半は、「記録的な実績」が生まれるだろうとトムキンス氏は期待している。

急な需要増に答えるために、会社はさらに多くのクリニックをネットワークに加えている。ミネアポリス、ヒューストン、デンバー、サンフランシスコを始めとする多くの主要都市に拠点をもつ不妊治療グループ、CCRMがその1つだ。

関連記事:
不妊治療関連サービスの市場はいまや30億ドル規模に拡大

カテゴリー:
タグ:

画像クレジット:Future Family

[原文へ]

(文:Greg Kumparak、翻訳:Nob Takahashi / facebook

不妊治療関連サービスの市場はいまや30億ドル規模に拡大

2016年の統計で出産した人の年齢をみると、30歳代の人が初めて20歳代の人を上回ったのだそうだ。高齢出産のリスクについてはさまざまな調査が行われているが、出産の高齢化に伴う「問題」はそれだけではない。CDCの統計によると、アメリカでは8組のうちの1組のカップル(年齢問わず)が、何らかの原因による不妊に悩んでいるのだとのことだ。ますます多くの人が体外受精などの不妊治療を行うようになっているのだとのこと。

医療の進歩により、不妊に対処する可能性は増えてきているわけだが、しかしこうした治療は非常に高額になることが多い。アメリカにおける体外受精には1万2000ドルないし2万ドル程度の金額が必要だとのこと。無事妊娠できた場合にも、胎児の遺伝子検査などでさらに数千ドルの費用が必要となる。これでは平均的な収入レベルで手を出せるものではない。

それをなんとかしようとするのが、ベイエリアに拠点をおくスタートアップのFuture Familyだ。妊娠可能か否か、どの程度の時間が残されているのかを自宅で検査できる妊娠可能年齢テストなど、比較的安価な不妊検査/治療手段を提供している。

設立したのはSolar Cityを運営していたClaire TomkinsとEve Blossomだ。Claire Tomkinsは自身でも6度の体外受精を行なって、出産にいたるまでに10万ドルを費やしたのだそうだ。この自身の経験から、より多くの女性ないしカップルが利用できる不妊治療手段を提供したいと考えるようになったわけだ。

「治療費はあまりに高額で、大いに悩むことになりました」とTomkinsは述べる。「これまで医者にかかるようなこともなかったのですが、不妊治療を経験することで、経済的な負担を心から感じることになりました」。

他の女性も困っているのではないかと、自身と同様の治療をうけた人たちにインタビューするなどして、Future Familyの起業を決意したのだとのこと。

不妊治療を資金面からサポートしようとする仕組みは他にもある。医院でも、保険に応じた資金サポートを行なっているところが大半だ。中には不妊治療をまかなえる保険もあるので、治療を受ける際にはきちんとチェックしておくことが必要だ。Google検索でも、さまざまな費用オプションを見つけることができる。しかしFuture Familyでは休みなしの24時間体制で相談窓口を設けている。また体外受精や卵子凍結費用については頭金なしのローンなども提供している。さまざまな治療オプションについて検討して、可能な限り費用をおさえようとする提案も行なってくれる。ちなみにFuture Familyの提供する妊娠可能年齢検査は、一般的な金額の半分である300ドルで提供している。

卵子の凍結保存は、月額75ドルからの金額となっている。この金額には、1年間にかかる検査、治療、および保存のための費用がすべて含まれるのだそうだ。体外受精費用も、必要な額をすべて含んで月額換算125ドル程度から可能となっているようだ。

不妊治療関連を手がけるサービスは、最近になって数多く登場してきている。しかし市場規模も30億ドル近くにまで成長してきており、ビジネス的な可能性は大きいといえそうだ。

原文へ

(翻訳:Maeda, H