指板をボタン化してワンプッシュで好きなコードを鳴らすMIギター

ギターを学ぼうと思った人の90%が、1年以内に諦めてしまうのだそうだ。そんなことを聞いていたBrian Fanは、娘のためにギターで子守唄を弾こうと考えたときに、いっそのことギターという楽器を再発明してみようと考えた。そしていろんな弦をおさえてコードを弾く代わりに、ボタンを押すことでギターが引けるようにした。これにより弾きたい曲を数分でマスターできるようになった。

ギターを再発明して産みだした楽器とはMagic Instrumentsの「MIギター」だ。「ギターヒーロー」のコントローラーのようにも見える。しかし決まった曲を「鳴らす」のではなく、実際に「演奏」することができるのだ。楽器にはスピーカーも内蔵されている。連携アプリケーションを使って、ビートルズやボブ・マーリーなどの曲の弾き方などを学ぶこともできる。

このMIギターは、Indiegogoにて299ドルからのキャンペーン中で、2017年第一四半期からの出荷開始を予定しているのだとのこと。

magic instruments

「ギターのインタフェースは100年も前に開発されたものです。弦がどのように振動するかという物理法則に基づいて生まれたものです」とFanは語る。その100年前からは、技術の進化によりさまざまな物事がより「簡単に」行えるようになってきている。そうした流れをギターにも反映させて良いのではないかと考えたのだそうだ。そしてその考えを推し進めるうちに、Y Combinatorのアクセラレータークラスにおいても注目されるに至ったらしい。

ギターヒーローのようなスイッチ方式とはことなり、指の動きやピッキングの速さなどを検知する擬似弦を搭載している。それにより、従来のギターに近いテイストを導入することができたのだ。おまけに面倒なチューニングの必要はない。リバーブやトーン調整のためのノブも装備されていて、好みの音を鳴らすことができるようにもなっている。

MIギター用の譜面を読みこなすには多少の慣れも必要だ。ただ、連携アプリケーション側で弾いた箇所をタブ譜上で表示してくれるので、どこを演奏しているのかを見失うことはない。出力は通常のギターアンプ、MIDI、ヘッドフォンに対応している。すなわちコンサートで演奏することもできれば、ひとりで練習することもできるわけだ。

よくある(昔、ジャーミネーターなんてものもあった)決まった曲しか演奏できない玩具ではない。MIギターでは演奏できる曲に制限はなく、自分の好きな曲を弾くことができる。ミューズのボーカルであるマシュー・ベラミーも、このMIギターへの出資者のひとりだが、心に浮かんだ曲を、ギターの仕組みなどに意識を奪われることもなく音にすることが可能なので、作曲に用いることもあるのだと語っている。ちなみに直近30秒に演奏したフレーズはギター側で自動的に記録しているので、たまたま弾いてみたフレーズを、うっかり永遠に失ってしまうようなこともない。

HOTRS

MIギター本体およびアプリケーションにはいろいろな機能が備わっているが、ともかく比較的手軽なギターという楽器をさらに簡単にして、初心者にも簡単に自己表現が行えるようにしているのは素晴らしいアイデアに思える。

ギターを弾けるようになるまでの努力こそが楽しいのだという人は少数派だろう。好きな曲を自在に弾くことができた方が楽しいはずだ(普通の人にとっては)。ギターにある指盤をボタンに変え、自在に演奏し、自分の弾くギターにあわせて歌を楽しむことも容易になった。

個人的には趣味でギターを弾いてきた。それでも新しい曲をマスターしようとするたびに、見たこともないコードをマスターしなければならないことには苛立ちを感じたりもしていた。しかしMIギターを使えば、難しそうに聞こえる「朝日のあたる家」などもすぐに弾けるようになるのだ。

音質的にはまだ改善の余地はあると思う。よりギターらしくすれば、より広い層から支持を集めることができると思うのだ。ただ、自分の心に浮かんだ曲を仕上げてみたいとか、あるいはキャンプ場でのヒーローを目指したいということなら、このMIギターは相当に有望なデバイスだと思う。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

Google、人々のGlassへの嫌悪感をなくすために「10の神話」を発表

あらゆるソーシャルな問題を別にすれば、Googleは素晴らしいテクノロジーの塊だ。しかし、それだけでは未来を約束するのに十分ではない。Google Glass Explorerなる新奇なPRキャンペーンも不調のようだ。そこでGoogleは、Google Glass嫌悪者たちに対して、Glassを擁護する〈類事実〉を列挙して反撃を開始した。

つい先ほど同社は、「Google Glass神話トップ10をシェアした。例えばこんなもの。

  • 神話その1: Glassは現実世界からの究極の逃避である
  • 神話その7: Glassは完璧な監視デバイスである

このひと月前、Googleは似たようなリストでGlass迷惑人間にならないためのガイドラインを発表している。

しかし、どんなに多くのGoogle Glassヘイターが今いようとも、どんなものでも初めて出てきたとき、消費者にはそれを嫌う傾向があるということを、Googleは思い出すべきだ。

「ほとんどすべての人が、ほとんどすべてのことを変えたがらない。子供の頃に学んだことをずっと守り続けたがる」とDean KamenはSXSW参加者のRon Miller に話し、Millerはこの記事でその現象を説明した。KamenはSegway等の発明者なので、このアーリーアダプターによる嫌悪現象を極めて良く理解しているに違いない。

ある意味で、Google Glass Explorerプログラムは、Google Glassと同じくらい興味深い。全く新しい製品の運命を消費者の手に預けた会社はかつてない。Googleは、興味を持ったユーザーにこの完全にベータ版のデバイスを購入するように薦め、事実上彼らのために販売している。

最近のアンチGlass立法失敗談は、この戦略が大失敗であったことを示しており、GoogleはGlassのイメージ回復のためにソーシャルキャンペーンを開始するはめになったようだ。

原文へ
 
(翻訳:Nob Takahashi / facebook