Googleのリアルタイムビッグデータ分析サービスBigQueryが大幅値下げと能力アップ

非常に大きなデータ集合を高速に分析するためのGoogleのクラウドツールBigQueryが今日(米国時間3/25)、最大85%という大幅値下げをした。そしてそれと同時に、Amazon Kinesisなどの競合サービスと互角に戦うための重要な新機能も加えた。もうすぐデベロッパたちは、最大で毎秒10万行までのリアルタイムデータをBigQueryに送り、リアルタイムで分析してもらえるようになる。

これで、リアルタイム分析に依存する多種多様なサービスにとって、BigQueryが使うツールの候補になる。今日行われるCloud PlatformのイベントでGoogleは、電力会社がこのツールを使うと、地域の電力利用状況をリアルタイムで刻々分析しながら、数分後の停電の可能性を検知できる、という例を見せる。あるいは電力会社はBigQueryを使って数マイル範囲内のメーターの今の状態を知り、過去5分間に電気の利用がなかったところを判別できる。

そのほか、マーケティングや金融業などでも、データやログ、さまざまな計測値などをリアルタイムで分析できる。

ビッグデータ分析の世界でGoogleのサービスは、比較的安い。オンデマンドのクェリは1テラバイトあたり5ドル、毎秒5GBの予約クェリは月額料金が“わずか”2万ドルだ。これらの額は、ほかのサービスプロバイダよりも75%安い、とGoogleは主張している。

BigQueryのこれまでのリアルタイムストリーミング機能はあまり強力ではなくて、 その最大消化能力は1テーブルあたり毎秒1000行だった。それで十分なアプリケーションもあるが、それはAmazon Kinesisの足元にも及ばない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Google App EngineのユーザにIaaS的な自由度を与える新フレームワークManaged Virtual Machines

Googleは今日(米国時間3/25)、同社のCloud Platform上の新サービスとしてManaged Virtual Machines(管理つきの仮想マシン)をローンチする。それは、デベロッパが自分のアプリケーションをクラウドでホストする際に選ぶオプションのメニューに、柔軟性を持たせるためだ。これまでのオプションは、Compute EngineのようなIaaSを使うか、あるいはApp EngineのようなPaaSを使うかという選択肢がメインだったが、Virtual Managed Machinesは、同社によると、両者の良いとこ取りを提供する。

Webアプリケーションやモバイルアプリのためのバックエンドの置き方動かし方として、Google Compute EngineやAmazonのEC2のようなサービス(IaaS)を使ってクラウド上のサーバを完全に自由に管理するか、あるいはParseやGoogle App Engineのようないわゆるホスティングサービス(PaaS)におまかせするか、という選択肢がある。PaaSを選ぶとサーバの管理は楽になるが、勝手にサービスの大幅な構成変更をする(データベースを変えるなど)などの柔軟性はない。

Google Cloud Platformのプロダクト担当Greg DeMichillieが先週語ったところによると、上記二つのどっちにすべきか、という見込み客からの質問が多い。GoogleはCompute EngineとApp Engineで両方を提供しているが、“App EngineのユーザがApp Engineではできないことが必要になって途方に暮れる、ということも多い”、という。

Managed Virtual Machinesなら、二つのうちどっちかを選ぶ、という必要はない。DeMichillieが比喩的に言う“ラインの外側に色を塗りたくなったら”、App Engineを使ってる状態でサービスの一部をManaged Virtual Machine(s)の上で動かせばよい。ユーザは、MVMの上なら何でもインストールでき、アプリケーションのスケーリングなどは引き続いてApp Engineが面倒見る。サービスの展開をCompute Engineで開始したユーザも、サービスの一部をいつでもApp Engineに移行でき、そのためにはYAMLファイルをちょっと書き換えるだけでよい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Google、クラウド・プラットフォームで全面攻勢―大幅値下げ、新サービスをローンチ

今日(米国時間3/25)、Googleはサンフランシスコで開催したCloud Platform Liveイベントクラウドプラットフォームに関して多数の重要な発表を行った。Amazon Web Service(AWS)が依然としてデファクト・スタンダードとなっているこの分野で、Googleが競争力を大きく高めるべく攻勢に出たという印象だ。

しかし「攻勢に出た」というだけでは言い足りないかもしれない。Googleはクラウド系のほぼすべてのサービスで劇的な料金引き下げを発表した。

たとえば、クラウドコンピューティングのCompute Engineの料金はすべてのサイズ、リージョン、クラスにわたって32%値下げされた。クラウド・ストレージは68%引き下げられ、オンデマンドのGoogle BigQueryに至っては85%の値下げとなっている。

Googleはクラウド・サービスの料金はムーアの法則でハードウェアの価格が低下するのに歩調を合わせて来なかったと指摘した。しかし今後Googleはムーアの法則に合わせて料金を引き下げていくという。実はこれまでGoogleのクラウド・サービスの料金は他のベンダーと比較してそれほど安くなかった。しかし今後は料金の引き下げ競争でもトップを走る構えだ。

Googleはまた料金体系を単純化した。Amazonの料金体系は複雑なことで悪名高い。Googleはその反対を目指すという。たとえばAmazonの場合、割引を受けるためには前払いでインスタンスを予約する必要があるが、今回Googleは長期利用割引というシステムを導入した。これはユーザーが1ヶ月の25%以上の期間にわたってクラウド・サービスを利用すると自動的に割引が適用になるというものだ。

さらにGoogleはバグのトレーシング機能やクラウド・コンソールから直接アプリケーションを修正できるオンライン・コード・エディタなどデベロッパーの生産性を向上させる新たなツールを多数発表した。

Managed Virtual MachinesのローンチによってGoogleはクラウド上での開発に一層の柔軟性を与える。GoolgeのApp Engineはスケール性は高いが、機能に制限があり、Compute Engineには事実上、機能の制限がないが、管理運用にスキルが必要だった。これに対してデベロッパーは新たなバーチャルマシンを利用することで双方の「いいとこどり」ができるという。

GoogleはまたAmazonのRoute 53のライバルとなるクラウドDNSを発表した。Googleによれば、Google Cloud DNSはサービスとしての権威DNSサーバを提供するものだという。Googleクラウド・サービスのユーザーはネットワーク・インフラを運営するためにすでに利用しているコンソールからDNSも管理できるようになるということだ。

またCompute EngineではWindows Server 2008 R2の限定プレビューも開始され、Red Hat Enterprise LinuxSUSE Linux Enterprise Serverがラインナップに加わった。

エンタープライズや多量のデータ処理を必要とするスタートアップのためのBigQueryも今日から料金が85%引き下げられる。このプラットフォームは毎秒最高10万行のデータを処理でき、その分析結果はほぼリアルタイムで利用できる。Amazonがすでにリアルタイムでのビッグデータ処理サービスに力を入れており、しかも大量データ処理はGoogleが得意中の得意とする分野であるにもかかわらず、Googleは今までこの種のサービスにあまり力を入れていなかった。

クラウド・サービスに対してGoogleがどこまで本気なのかという一抹の疑念があったとすれば、それは今日のイベントで完全に払拭されたといってよいだろう。Googleは多少出遅れたとはいえ、既存のビジネスモデルに固執しているわけではないことが示された。一度動き出せばGoogleは圧倒的な技術力と巨大なリソースにものを言わせて小規模なベンダーがとうてい太刀打ちできないようなサービスを提供する。今回のGoogleの動きのもっとも大きな影響は、AmazonやRackspaceを始めとする既存のプレイヤーにさらなるイノベーションを迫ることになった点だろう。

Googleが今日のイベントを3月26日にやはりサンフランシスコで開催されるAmazonのAWSサミット・カンファレンスの直前に設定したのはもちろん偶然ではない。 当然Amazonも大きなサプライズを用意していることだろうが、Googleのたくみな動きはAmazonを後手に回らせた印象を与えること成功した。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+