Shopifyが密かにB2BのeコマースプラットフォームHandshakeを買収

eコマースプラットフォームのShopifyは、小売業者が同社のプラットフォームを通じて売買できるサービスやプロダクトの拡大を続けるために買収をしていた。買収対象となったのは、卸売商品を売る事業所向けのコマースプラットフォームを提供するニューヨークのスタートアップHandshakeだ。Shopifyは短い声明文の中で買収を認めた。

「いまHandshakeはShopifyの一部だ。皆にとってコマースをより良いものにすることに注力するとき、買収はビジネスの常道だと考えている」。Shopifyは買収額を明らかにしなかったが、情報筋によると1億ドル以下とのことだ。

我々はまた、Shopifyが今月初めに社員に買収を知らせたこと、そしてHandshakeのチームがDavid Moellenkamp氏率いるShopifyの大企業向けのサービスShopify Plusの一部として動いていることを知らせるヒントの電子メールも受け取った。実際、HandshakeのLinkedIn上のプロファイルではShopifyに買収されたと書かれていて、Handshakeの創業者でCEOだったGlen Coates氏はいまShopify Plusのプロダクト担当ディレクターという肩書きになっている。

Handshakeはこれまでに約2350万ドルを調達し、PitchBookによると直近のラウンド(2016年に行われた。こちらのHandshakeではないので注意)での評価額は5400万ドル弱だった。投資家にはBoldstart Ventures、Emergence Capital、SoftTech VC、Point Nineなどが含まれる。

Handshakeが明確にとらえ、そしていまShopifyがねらっている機会は、ブランドや商品を卸売で販売する小売にとってのeコマースマーケットの終わりで、おそらくこれは消費者に主眼を置いた小売の強化に伴うものだ。

これは大きなビジネスだ。最近のレポートでは、B2Bのeコマース販売は2018年にはじめて米国だけで1兆ドルを超えた。一般消費者向けの販売と併せて、Handshakeのようなプラットフォームは小売がサードパーティのマーケットプレイスに販売を明け渡すのではなく、こうした販売を直接扱うことを可能にしている。Handshakeの顧客にはBugabooやWilliams-Sonoma、Rolandなどが含まれる。この買収はShopifyにとって絶好のタイミングだ。

数週間前、TechCrunchはMailchimpとShopifyがいかに提携関係を解消したかを報じた。この提携解消後、Mailchimpは顧客のために購入ツールをさらに構築しようと密かにeコマースのスタートアップを買収した。その点で、今回のShopifyの買収は同社がいかにスコープを拡大させるかを強調するものとなっている。たとえ買収によってAlibabaやAmazonなどとの競争に身を置くことになったとしてもだ。

イメージクレジット: alengo

 

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

就活サポートのHandshakeが今年2回目のラウンドで2000万ドルを調達

screen-shot-2016-11-17-at-1-59-33-pm

私の経験からいうと、自分が通う大学が所属する州や地域をまたいで就職活動をするのは難しい。もちろん、Fortune 100のような大企業になれば、様々な地域の学生をリクルートするためのプログラムを運営していることは確かだ。しかし、もし学生がそのような大企業への就職を望まないのであれば、彼らはオンラインで見つけたリクルーターとの冷たいEメールのやり取りに何時間も費やすことになるだろう。このような状況が変わらなければ、優秀な学生も夢にまでみた希望の職業に就くのをあきらめ、自分の能力に見合わない企業に就職することになってしまう。

大学のキャリアセンターと共同でこの問題に取り組む急成長株のHandshakeは本日、シリーズBでSpark Capitalなどから2000万ドルを調達したことを発表した。それと同時に、Spark CapitalのパートナーであるMegan Quinnが同社の取締役会に参加することも発表している。

Handshakeは今年2月にもKleiner Perkins Caufield&Byers(KPCB)がリードするシリーズAで1050万ドルを調達している。その他にもTrue VenturesLightspeed Venture PartnersLowercase CapitalもシリーズAラウンドに参加している。彼らは本日発表のシリーズBにも参加している。

Handshake CEOのGarrett Lord氏は、私に同社のミッションについて説明してくれた。それは、住む場所に左右されない就職サポートを大学生に提供するというものだ。43名のチームを抱える同社のプロダクトは、これまでに170の大学で採用されており、来年には提携大学数を200校にまで伸ばすことを目指している。同社は今回調達した資金を利用してチームを強化し、拡大する同プロダクトへの需要に対応していく予定だ。

大学生たちは所属する大学から提供されたHandshakeを利用することで、採用面接の予定の管理、リクルーターとの連絡、希望の就職先やインターンシップ先を探し出すことができる。Handshakeは長年のあいだ大学で利用されてきた従来のプラットフォームに取って代わることを目指している。そのような従来のプラットフォームでは、その大学が所属する州や地域によってプラットフォームに掲載される企業が人為的に制限されていた。例えば、テック系企業に囲まれたカルフォルニアの大学に通う学生にとって、テキサスにある石油やガス関連企業の求人を見つけるのは難しい。その一方で、Handshakeのプラットフォームを利用する企業は、たった1つのプラットフォームに求人を掲載しさえすれば、別々の大学に通う学生たちに対して横断的にアプローチすることができる。

College Job Fair. (Photo by: Jeff Greenberg/UIG via Getty Images)

この写真のような就職活動はスムーズとは言えない。

大学がHandshakeのプラットフォームに見出す価値は、その大学が抱える問題によって変わってくる。例えば、エンジニアリング分野に定評があるカーネギーメロン大学は、同校に通う文系の学生にもスポットライトを当てるためにHandshakeを利用するかもしれない。さもなければ、その学生は地域の企業から無視される存在になりかねないからだ。一方で、ミシガン大学のような大規模の大学では、同じ学部に通う学生がそれぞれ持つ特徴や違いを強調するためにHandshakeを利用することなどが考えられるだろう。

Lord氏は、同社と大学のキャリアセンターはパートナーのような関係だと考えている。たとえ大学がHandshakeを採用すると決めたとしても、それが同社と大学のリレーションシップの終着駅だと考えている訳ではないと彼はいう。その後も両社は協働を続け、大学は彼らがもつ学生に関するデータや、リクルーティングのプロセスをすべてのステークホルダーのために改善するという彼らの役割に集中するようになる。

大学は大量の学生データを抱えており、彼らがそれを利用することで学生の就職活動をより良いものにするための積極的なステップを踏むことができる。それと同じことをLinkedInが実現するのは不可能だ。

キャリア系のWebサービスを利用する際、ほとんどの場合ユーザー自身がプロフィールの作成や更新をしていかなければならない。その一方で大学と友好な関係を持つHandshakeの場合、大学が持つデータがそのままプラットフォームに反映されるため、就職活動のサポートをすぐに開始することができる。大学が学生の学部や年次などのデータを提供してさえいれば、初回のログイン時にはすでにニュースフィード上におすすめの求人情報が掲載されるようになっているのだ。

リクルーターにとって、そのようなデータが持つ価値は計り知れない。特に、すでにデータが整理され、大学間でデータの構造が標準化されている状態であれば尚の事だ。もし、授業の成績順でコンピューターサイエンス学部の学生を並べることができるとすれば、リクルーターはそのようなデータに巨額の料金を支払うだろう。そのためには、授業を「データサイエンス」などの分野別、または「Python」や「R」などのプログラミング言語別に並べ替えができるシステムを開発する必要があるかもしれない。Handshakeはその実現のため、大学と協働してより効率的なシステムの構築を目指している。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter