Y Combinator 2019年冬クラス、Demo Day2日目のスタートアップ88社(7)

米国時間3月19日は、Y Combinatorが開催した、2019年冬クラスの2日間のDemo Day後半だった。1日目は85以上のスタートアップがステージに上がりピッチを行った。2日目も同様に多数のピッチが行われた。

以下に、当日に発表した全社と、そのプレゼンテーションに対する私たちのメモを紹介する。

Y Combinator 2019年冬クラス、Demo Day 2日目のスタートアップ
・Part 1:パイオニアステージ(1)
・Part 2:パイオニアステージ(2)
・Part 3:パイオニアステージ(3)
・Part 4:パイオニアステージ(4)
・Part 5:ミッションステージ(1)
・Part 6:ミッションステージ(2)
・Part 7:ミッションステージ(3)※この記事
・Part 8:ミッションステージ(4)

ミッションステージ

Gordian Software
旅行予約会社が座席選択を行ったり、バッグを販売するためのAPI。現在、Gordianは収益性が高く月に6万5000ドルを稼いでいる。オンライン旅行会社に対して、座席選択、旅行カバン、その他の補助的な商品を販売するために役立つツールを販売している。lastminute.comを含む3つの主要なサイトでパイロットプロジェクトを実施中である。

Shiok Meats
科学者のチームによって創業された、細胞ベースのきれいなエビ肉プロバイダー。市場に出ている他のエビと比較して、Shiokは彼らの細胞ベースのエビ肉は、よりサスティナブルで通常のエビと同じ味がすると言っている。このエビの肉は、ビールを醸造するのと同様にバイオリアクター内で育てられる。スタートアップはアジア太平洋地域のエビ市場をターゲットにしているが、同社はそこに250億ドルの価値があると述べている。

Hatch
Hatchはフランチャイズビジネスとその顧客の間のやり取りが続くようにしながら、それによって売上を伸ばして行くことを目指している。チームは、ショートメール、電子メール、そして自動音声を使って顧客の売上を伸ばすことに集中している。そうした顧客には、Jeep、Ashley Homestore、Rent-A-Centerなどが含まれている。同社は収益性が高く、月額11万9000ドルを稼いでいる。

Bot Orange
WeChat上に構築され、販売、マーケティングなどを統合した顧客コミュニケーションシステム。WeChatは現在、顧客を管理するためのツールを企業に提供していない。Bot Orangeはアプリ内で顧客管理ツールとなり、他のサードパーティ製ツールを使うことなく、ビジネスがさまざまなチャンネルを管理できるようにする。

Postscript
Postscriptは、オンラインコマースブランドと協力して、SMSを介してスマートフォンで顧客に連絡をとる。スタートアップはSMSを使ったMailchimp(電子メールを使った広告プラットフォーム)になりたいと考えているが、モバイルに堪能なミレニアル世代の消費者と徐々に消費者直販とサブスクリプションモデルに注力しつつある企業の間の会話を自動化する。TechCrunchにおけるPostscriptの記事はこちら。

Tailor-ED
スタンフォード大学の卒業生2人が立ち上げたこのスタートアップは、生徒たちのグループに短いクイズを送って、その生徒に最適なレッスンプランを見つけ、教師が個別のレッスンプランを作成するのを支援する。過去4週間で、2500人の学生がTailor-EDからレッスンを受け取った。フリーミアムモデルの下で事業を展開している同社は、15億ドル規模の市場をターゲットにしていると語っている。

Wallet Africa
アフリカのデビットカードでは、Netflixのような国際サービスへの支払いが行えないことがよくある。Wallet Africaは、Visaとのパートナーシップを通じて、これらのオンライン購入の多くをサポートする、デジタル銀行を構築している。チームは現在、毎月350万ドルの購入を処理している。

AuroraQ
「実用的な」量子コンピュータの開発者。創業者は量子物理学の博士号を持っており、AuroraQは「量子コンピューティング界のDellになる」になると発言している。量子コンポーネントレベルから統合されたコンピューターを作成することで、はるかに安いコストで組み立てられるはずだからだ。

Probably Genetic
消費者直販のDNAテストを売っている。その目的は稀な遺伝病を持っているにもかかわらず診断を付けられていない1500万人の米国人の1人かどうかを判断する手助けをするためだ。共同創業者らによれば、診断を受けるまでには平均7年以上かかっているということである。Probably Geneticはその状況を、12週間のうちにローンチする予定の、1200ドルのテストで変えることを望んでいる。

Viosera Therapeutics
AIを使用することで、癌やバクテリアの薬剤耐性を予測して阻止する。スタートアップがMRSAに感染したマウスをそのソリューションで治療したところ、感染したマウスの100%を治癒させることができた。同社は当初、その創薬プラットフォームを使いMRSA患者をターゲットにする予定だ。Vioseraは、今後6カ月以内に臨床試験を始めていると述べている。

Upsolve
低収入の個人がより簡単に破産を申請できるように支援したいと考えている。この非営利サービスは、非低所得家族を破産弁護士に対して紹介した際に紹介料を受け取り、それを使ってサービスを無料で提供することができている。同社によれば、医療費、レイオフ、略奪ローンは低所得世帯を悲惨な状況に追いやる可能性があるとし、過去6カ月間で彼らの非営利団体は顧客を2400万ドルの負債から軽減したと述べている。

Y Combinatorの2019年冬のDemo Day初日の有望スタートアップ10社

[原文へ]

(翻訳:sako)

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iOS向けバーチャルペットのHatch、信じられないほどの魅力を備えてApp Storeに登場

To Doリストアプリケーションで成功をおさめたのち、開発者は次に何に取り掛かるべきだろうか。Clearを開発したImpendingが自らに問うたことだ。悩んだ末に開発に取り組んでいたHatchが、ついにリリースされることとなった。たまごっち風のアプリケーションで、ほぼ1年間にわたって開発が続けられてきた。長期の開発のおかげもあってか、非常に特徴的で可愛らしいペットとして登場することとなった。

実のところ、これまでベータテスターとして関与する幸運を得て、これまでもiPhone内に生きるHatchと生活をともにしてきた。そしてついにこのHatchが200円の価格でApp Storeに登場することとなったのだ。Hatchの主人公は、非常に愛らしいFuguというキャラクターだ。この「Fugu」という名前は、ぷくっと膨らむ魚の日本での呼び名と同じだ。しかしHatchに登場するFuguは陸生の生物に設定されている。魚のフグの仲間であるハリセンボンのように針をむき出しにして迫ってくることもなく、抱きしめたくなる外見をしている。実のところこのキャラクターはFacebookのステッカーにも採用されていてしばらく経っており、既に親しみを感じている人も多いことだろう。

Hatchという名前は、ゲームをスタートさせるときの様子から命名されたものだ。ゲームを開始するとまずは好きな色のタマゴを選んで、それをしばらく世話する。するとそこからFuguが生まれるのだ(訳注:hatchという単語には「孵化する」とか「卵をかえす」という意味があります)。生まれたFuguは食事や世話、一緒に遊ぶことなどをリクエストしてくる。これはバーチャルペット好きな方には想定の範囲内のことだろう。ただ、Hatchはこれまでのバーチャルペットの単なる焼き直しではない。非常に洗練されていて、機能的にも興味深い面を多数もっている。

Hatchは、これまでに操作したiOSアプリケーションの中で、最も洗練されているものではないかと、個人的には思っている。もちろんバーチャルペットのシミュレーターとしても最高のものだと思う。たまごっち系のゲームは数多くでてきているが、これほど面倒を見ずにいることに罪の意識を感じ、できることならすべてを放擲して一緒に過ごしたいと思ってしまうようなものはなかった。Fuguと一緒にうまく過ごすことができれば、ゲーム内通貨を獲得することができる。またゲーム内で成長する樹木になる果物(Fuguのごはんでもある)を集めると、新しいアイテムと交換することもできるようになっている。つい、いつでも立ち上げておきたくなるし、あるいはちょっとした暇を見つけてはすぐに様子を見たくなってしまうことは間違いないと思う。

ベータテストの間は、実は少々ムッとすることもあった。頻繁にHatchをリセットする必要に迫られたのだ。そのたびに新しいFuguを育てざるを得なくなり、これが実際の別れのように思えて悲しく感じてしまったのだ。実際は、育てているFuguは他の人が育てているFuguと変わりはない(色が選べるくらいで、他にカスタマイズはできない)。しかし、一緒に過ごしていると、どうしても特別の存在に思えてしまったりするものだ。

Hatchは、おそらく単なるバーチャルペットの範囲をこえて成長していくことになるのだろう。関連ゲームも登場してくるのではないかと思う。あるいはアニメやキャラクター商品なども出てくるだろうと思われる。どういう風に発展していくのか、今のところはわからない。しかし一世を風靡したバーチャルペットが、全く新たな魅力をもって蘇ってきたということは言える。現在のところ存在する最高のものであると言って良いと思う。

訳注:Hatchは1年ほど前にも記事で取り上げています。また、TwitterアカウントおよびFacebookページも用意されているようです。

原文へ

(翻訳:Maeda, H