契約書の作成から管理までを一括サポートするクラウドサービス「Holmes(ホームズ)」を運営するHolmesいわく、外食業や小売業、宿泊業などの店舗ビジネスは、新規出店数の増加に伴い、慢性的な人材不足を抱えているという。
リソースが限られているため、店舗責任者や本社の人事担当者にとって、「店舗と本社」や「店長と採用予定者」の間でやりとりが発生する“雇用契約業務”はとても大きな負担になっていると言えるだろう。
加えて、4月からは「改正出入国管理法」の施行により、一定の知識や経験を有する外国人就労者に新たな在留資格が付与され、日本の多くの多店舗企業で外国人材の雇用が促進されることが予想される。
Holmesは「来たる東京オリンピック・パラリンピックに向けたサービス向上」のためにも「店舗責任者と本社の人事担当者は、この法改正に備えて雇用管理のオペレーションを見直す必要がある」と説明している。
そんな同社は3月1日、外食業や小売業、宿泊業などの多店舗展開企業向けの雇用契約ソリューション「Holmes for 店舗」を新たにリリース。上記のような課題の解決を目指す。
これまでもTechCrunch Japanで紹介してきたHolmesは、クラウド上で企業間の契約書の作成、締結、管理までを一括して行えるSaaSサービスだ。
そして、今回新たに発表されたHolmes for 店舗は、多店舗展開型の企業向けに提供される雇用契約ソリューション。採用予定者との「内定通知書」「入社承諾書」「誓約書」「雇用契約書」などのやりとりをクラウド上で行い、店舗と本社の間でリアルタイムに共有。本社と店舗間における契約書業務の管理を一元化し、雇用契約業務を効率化する。
なお、Holmes for 店舗はHolmesの機能の一部として提供されるため、利用するにはHolmesの契約が必要となる。
具体的に何ができるのか。Holmes for 店舗では、まず、自社で扱っている雇用契約書やその他の雇用契約に関連する内定通知書や入社承諾書などのデータを、テンプレートとして登録することが可能だ。クラウド上にデータが格納されることで、人事の負担の削減や業務効率の改善が期待できる。なぜなら本社の人事担当者は各店舗向けに雇用契約書を毎回作成し郵送する必要がなくなるからだ。
また、雇用契約の締結もタブレットまたはPCを渡し、もしくはメールなどでURLを送り、「必要事項の記入」と「本人確認書類の画像データの共有」に対応してもらうだけで可能だ。
さらに、Holmesのダッシュボードでは、雇用契約の締結内容や進捗状況なども確認することが可能だ。これにより、店舗責任者と本社人事担当者の間でのコミュニケーションロスの軽減や、記入漏れや添付漏れが起きない仕組み作りの構築などが期待できる。結果、雇用契約の未締結や書類不備といったコンプライアンス面でのリスクを最小限に防げる。
2017年3月設立のHolmesはHolmes for 店舗に続き、今後も新たな業種や業態に向けたソリューションをリリースしていく予定だという。今回のHolmes for 店舗は第一弾と位置付けられているみたいなので、第二弾、そして第三弾も発表されるのでは。
なお4月には「労働基準法施行規則」の改正により、「労働条件通知書」の書面交付義務がなくなり、電子メールによる交付が可能となる。この国における“雇用契約の電子化”の更なる加速に期待したい。