携帯電話やスマートフォンの修理屋だと思われている〔そして主にApple製品の分解ページ/記事シリーズの〕iCrackedには、実は大きな野心があった。
同社が目指しているのは消費者電子製品の販売企業だが、これまでの単に売るだけの小売業と違って、消費者の手元におけるその製品の全生涯のお世話をする。それを目指す第一歩として、スマートフォンの下取り過程の自動化から始める。そのために必要なキャリアとの新たな契約からデータの転送まで、一部始終を消費者に代わってiCrackedがやるつもりだ。
iCrackedのファウンダAJ Forsytheはこう言う、“その日が来たらボタンを押せばiTech(iCrackedのエンジニア)が画面に出る。そして彼があなたに新しいスマホを送り、古いのを下取りし、損傷説明を開示する”。
Forsytheによると、iCrackedはスマートフォンの大手流通企業とパートナーするつもりだが、その相手はVerizonのようなワイヤレスのキャリアでも、Best Buyのような大型店でもない。いずれにしてもサービスのローンチは来年のQ1を予定している。
今日同社は、iCracked Advantageを立ち上げてその目標に一歩近づいたようだ。それは一種の保険サービスで、来年スマホが壊れる人が(統計的には)4000万人いるから、その人たちに(希望者に)提供するサービスだ。
毎月7ドルの保険料で、地元のiTechによる同日(壊れた当日)の修理サービスを受けられる。ただし修理は実費の25ドル、これで、割れた画面、水漬けでだめになったデバイス、電池の欠陥、不具合なホームボタン、などを直してもらえる。最大5台までのファミリープランは月額25ドル、10台なら45ドルだ。
Forsytheによると、スマートフォンのオーナーの約30%が保険に入っている。それらは、AppleCareやSquareTrade、キャリア提供の保険などだ。世界のスマートフォン人口は今年20億を超えると言われているから、その70%が無保険ということは、膨大な市場機会だ。
Forsytheはビジネスコンセプトを次のように語る: “目標は消費者電子製品のライフサイクルの最初から最後までを完結することだ。壊れたら修理し、ニューモデルが出たら古いのを下取りして新しい機種を届ける。会員制だから、ユーザ自身は自分のデバイスのことをあれこれ心配する必要はない”。
ForsytheはCal Poly(カリフォルニア州立ポリテクニック大学)の学生だった2011年に、iPhoneの壊れたスクリーンを直してあげていたことが、自然にサイドビジネスとしてのiCrackedになっていった。
“iCrackedという名前はジョークだった〔cracked==壊れている〕。ぼくは必ず自分のスマホを一度壊してみるから、友だちにはジョークで、またiCrackedアプリをダウンロードしちゃったよ、なんて言っていた”。
4年後の今、iCrackedは世界の13か国で利用でき、2500名以上のiTechたちがこれまでに数十万のデバイスを修理した。そしてForsytheは今、iCrackedを単なるスマホの修理屋を超えたものにしたい、と考えているのだ。
“消費者電子製品の消費者自身が、アップグレードや修理や下取りなどのことを気にすべきではない。うちのライフサイクル完結サービスはスマートフォンとタブレットから始めるが、もちろん家の中やオフィスのいろんなインターネットデバイスにも手を広げていく”。
それはもう、カレッジの寮で生まれた修理屋企業とは思えない、ビッグな夢だ。