Facebookは悪事を招く類似ドメイン名詐欺でOnlineNICを提訴

Facebookは米国時間10月31日、ドメイン名登録業者のOnlineNICと、同社が運営するプロキシサービスであるID Shieldを、カリフォルニア州に提訴したと発表した。「www-facebook-login.com」や、「facebook-mails.com」など、Facebookと関連があるように見せかけたドメイン名を登録している件についてだ。こうしたドメイン名は、一般のユーザーを意図的に誤解・混乱させ、Facebookとやり取りしていると信じさせるものだとFacebookは主張している。

これらの偽のドメインは、フィッシング詐欺など悪事に結びつくことが多い。そのようなドメインを登録することで、最終的に法外な金額でFacebookに買い取らせて暴利を得ることを企む者もいれば、さらに悪い意図を持った者もいる。また、Facebookが独自暗号通貨のLibraを発表したのに伴って、多くの新しいドメイン名について、ネット不法占拠者が出現している。Facebookは最近、「facebooktoken.org」や「ico-facebook.org」など、そうしたドメイン名のいくつかを無効にすることができた。しかし、すでにその中の1つはFacebook ICO(Facebookによる新規仮想通貨公開)を名乗ることで、個人情報の収集を始めていたことが確認されている。

しかし、Facebookの今回の訴訟はOnlineNICだけに焦点を当てたものとなっている。Facebookによれば、OnlineNICには、自ら運営するプライバシー/プロキシサービス、ID Shieldを使って、ドメイン名の登録をネット不法占拠者に許可した前科があるという。この訴訟では、「hackingfacebook.net」などの登録されたドメイン名が、「フィッシング詐欺やハッキングツールを販売しているとされるウェブサイトの運営」など悪事のために利用されているとしている。

またこの訴訟は、FacebookやInstagramの商標と紛らわしく、誤解を与える可能性のあるほかの約20のドメイン名も含むものだという。

OnlineNICは、この種の活動を許可したとして、以前にもVerizon、Yahoo、Microsoftなどから訴えられた経緯がある。Verizonの場合(編集部注:VerizonはTechCrunchの親会社)の場合、OnlineNICはVerizonの商標に似た600以上のドメイン名の登録に責任を負うとされ、裁判所は3315万ドル(約35億8500万円)の損害賠償を裁定した。これについてもFacebookの訴状に記されている。FacebookはOnlineNICの活動に対して、永久的な差し止め命令と損害賠償を求めている。

Facebookとしては、同社が示した懸念にOnlineNICが対応しないので、この問題を法廷に持ち込むことにしたという。Facebookは同日、複数のドメイン名登録業者と、それぞれのプライバシー/プロキシサービスによる登録の悪用の事例も積極的に報告している。多くの場合、そうした業者に働きかけて、悪意のあるドメイン名を無効にしたことも明かしている。しかし、この問題が及ぶ範囲は広い。現状では、こうしたサービスを通して数千万のドメイン名が登録されている。もちろん、その中には、評判のよろしくないビジネスも含まれている。OnlineNICのような一部の業者は、Facebookが発行した悪用のレポートに基づいて調査することをしないばかりか返答さえよこさない。

今回の訴訟に関するニュースは訴状に基づいて、すでにCnetやその他のドメイン名を扱うニュースソースによって報告された。以前の裁判で、Verizonへの3315万ドル(約35億8600万円)の賠償を勝ち取った弁護士であるDavid J. Steele(デイビッド・J・スティール)氏が、この訴訟でもFacebook側に立っている。

「OnlineNICとID Shieldは、私たちのアプリやサービスの名前を含むドメイン名によって、それらを正規なものに見せかけ人々を混乱させることを意図しています。こうした活動は、サイバースクワッティング(ネット不法占拠)として知られており、OnlineNICにはその前科があります」とFacebookは発表の中で述べている。「この訴訟は、人々の安全とプライバシーを保護するための、私たちの継続的な取り組みの、もう1歩進んだステップなのです」。

OnlineNICに対してはコメントを求めており、何らかの応答があれば記事を更新する。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)