国際オリンピック委員会は、ITを用いて将来の開催都市を教育している

RIO DE JANEIRO, BRAZIL - AUGUST 03: A journalist works on his computer as Team Russia athletes for the Rio 2016 Olympic Games attend their welcome ceremony at the Athletes village on August 3, 2016 in Rio de Janeiro, Brazil.  (Photo by David Ramos/Getty Images)

【編集部注:Bérénice Magistrettは、スイスのフリーランス・ライターでサンフランシスコを拠点に、サウジアラビア、スイス、および新興国のスタートアップに焦点を当てている。】

リオ・オリンピックの閉会が迫り、選手たちがブラジルの都市を離れる準備を進める中、国際オリンピック委員会(IOC)は未来のオリンピックの基盤作りに向けて活動している。

開催期間を通じて、IOCの オリンピック競技大会知識管理プログラム(OGKM)は未来のホスト都市のためにオリンピックゲームのデータ収集、報告書作成を続けてきた。

同プログラムは2000年シドニー・オリンピックの準備に役立てるために設立され、このたび数ヵ月前に設立されたスイスのスタートアップ、Teleportとの協同で、没入・対話型ビデオプラットフォームを数多くの管理プロジェクトに導入した。

Teleportチームは、Meteorを使用してRandom Access Video Encoding(RAVE)アルゴリズムをJavaScriptに組み込んだ。

「私たちは、自分たちのコンテンツに文脈情報を与えることでもっとわかりやすくする方法を常に探っています。Teleportのプラットフォームは、コンテンツに言語の壁を超えたビジュアル情報を付加する理想的な方法です」と同プログラムの責任者、Christpher Payneは言った。

将来の開催都市である東京、平昌、北京等と知識を共有する上で、これが役に立つことは間違いない。

スイスのスタートアップとローザンヌ拠点のIOCとの出会いは幸運だった ― もちろんスイス同志のつながりが役立った。「私たちは正しい場所に、正しい時にいた」と、Teleportの共同ファウンダー・事業開発責任者、Cem Severは言った。

両社の協業は、2月にノルウェーのリレハメルで行われたユース・オリンピックの実証デモとしてスタートした。

結果に満足したIOCは、Teleportをリオ大会でも使うことを決めた。しかし委員会はこの段階ではプラットフォームを一般公開せず、内部で教育的ツールとしてのみ利用することにした。

「私たちは将来の組織委員会と共に、これをB2Bプロジェクトとして使っています。Teleportが私たちの管理プロジェクトに新たな技術を付加することで、大会運営に必要な多くの課題を説明してくれることを願っています」とPayneは言った。

リオ大会用アプリケーションのために、IOCは会場のタイプ毎に特化したTeleport環境を3種類作成した。関係者は自らが開催する大会を計画するためにこれを参照できる。

「大会運営に必要な具体的要件に関する膨大なコンテンツを初めてつなぎ合わせることができました。これであらゆる会場の要件が理解できるようになります」とPayneは言った。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アメリカ代表水泳チーム、BMWのモーショントラッキングを活用したトレーニングを導入中

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BMWはオリンピックチームに協力しながら、水の中で安全に自動運転車の実験も行う方法を見出したようだ。

BMWは過去6年にわたって、アメリカのオリンピック委員会の公式モビリティパートナーとなっている。そのパートナー活動の一環として、BMWはアメリカ水泳チームのためのモーショントラッキング・システムの開発なども行なっている。泳者をあたかもプールの中で動く自動運転車のように見立てて、各種データを収集するわけだ。

今年行われるリオオリンピックに向けては、BMWは新たに「テールライト」と呼ぶソリューションを投入した。車のライトのように泳者の身体にLEDを装着し、それをマーカーとして利用するものだ。LEDを付けて泳ぐことで、より精密なデータを収集できるようになり、能力向上に役立つようになるわけだ。

LEDは泳者の手首、肩、臀部、膝、足首、そしてつま先に取り付ける。ちなみにマウントは3Dプリンターで作ったものだ。そうしておいて、水中のカメラがモーショントラッキング・システムと連動する。データがBMW製のソフトウェアに送られて、コーチ陣が選手の動きを詳細にチェックできるようになるという仕組みだ。

アプリケーションでは動きのたびに手足の関節の動き方などをチェックして見ることができるようになっている。これまでもBMWは関節部にマーカーを付ける手法を確立していたのだが、LEDは使ってこなかった。LEDを利用することで、より詳しいデータを集めることができるようになったのだそうだ。

BMW/USA Swimming

BMWでGroup Designworks部門のディレクターを務めるPeter Faltによれば、システムはオリンピック出場選手のために特別に開発されたものであるとのこと。選手が着用していることを忘れるほどの装着感であり、また泳ぎの邪魔になることは一切ないのだそうだ。「実際の競技のときと異なる感覚を与えてしまったり、結果に影響を及ぼすようなものは使えないのです」とFaltは言っている。

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このシステムでは、主に2つの技術を統合して作られている。すなわち自動運転車で人や駐車場や車線の境界などを検知するコンピューター・ビジョンと、それに基づいて行うアクティブクルーズコントロールの機能だ。コンピュータービジョンと、それにより検知された情報を分析する技術は、まさに自動運転車でも必要とされる技術だ。

アメリカが2012年のオリンピックで獲得した金メダルの数は46個だった。そのうち16個が水泳競技で得たものだが、これにもBMWが投入した当時のモーショントラッキング・システムが役だっている。LEDの活用により分析性能が大幅にアップしたことで、リオおよびその後のオリンピックにおけるさらなる躍進を狙っているわけだ。

「選手のパフォーマンスの推移を見ながら、個々の選手に最適な調整を行うことができるようにと考えています」と、アメリカ水泳チームのパフォーマンスコンサルタントであるRussell Markは述べている。「現在のところはまだ試験段階で、これから精度をあげていく段階ではあります。しかしシステムの改善により、今後の世代においてより大きな成果を産み出すことができるのではないかと考えています」。

BMWとアメリカオリンピック委員会の契約のもと、BMWが提供する技術はぜんぶで4つだ。モーショントラッキングがまずその1つ目だ。あとは幅跳び、2人乗りボブスレー、およびパラリンピックのトラック種目における速度測定技術となっている。

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(翻訳:Maeda, H