集合住宅におけるインターネットプロバイダーの囲い込みを抑制する米FCCの提案

その建物で、他の人が使っているブロードバンドプロバイダーと同じものを使わなければならない。米国で新しいアパートに引っ越した人の多くが、同じ経験をしたことがあるだろう。しかし、米FCCの新しい提案が採用されれば、このようなロックインは少なくなり、プロバイダーと建物オーナーとの間の収益配分を防ぎ、競合他社に門戸が開かれる可能性がある。

アパートのプロバイダーが1社になってしまうのは、建物の配線費用の問題だ。投資が報われるのは当然としても、ISPは地域全体をおさえる方法を見つけ。

例えば、大きな集合住宅との契約では、建物の管理者がキックバックを受け取るなど、(技術的には)合法的な場合もある。また、既存のルールに抜け穴があり、競合他社がインフラを共有することが法外に高くつくようにISPが仕組んでいる場合もある。

米国時間1月21日、FCCのJessica Rosenworcel(ジェシカ・ローゼンウォーセル)委員長が内部的に配布し、プレスリリースにまとめた提案は、このような汚い手口のいくつかを防止し、軽減するものだ。収益分配契約を全面的に禁止し、その他の取り決め(マーケティングなど)をテナントに開示することを義務づけ、配線をリースまたは共有されたりすることを意図しているのに事実上独占できるようにしている抜け穴を塞ぐものだ。

「米国民の3分の1以上がアパート、モバイルホームパーク、コンドミニアム、公共住宅に住んでおり、ブロードバンド競争と消費者の選択肢を閉め出す行為を取り締まる時期にきています。消費者には、自分が住んでいる建物でプロバイダを選択できる権利があります。全米の何百万というテナントのために、ブロードバンドの競争的選択の障害を取り除くために、委員会のみなさんが力を貸してくれることを楽しみにしています」とローゼンウォーセル氏は述べた。

委員会は最近、本問題の調査を開始し、意見募集を開始し、証拠を調査した。当然のことながら、委員会は「委員会の目標に反して競争を阻害し、競争力のあるプロバイダーがアパート、マンション、オフィスビルのユニットテナント向けにサービスを提供する機会を制限する新しい慣行のパターン」を発見した。

ローゼンウォーセル氏の提案は、これらの過程を踏まえている。画期的な新しい規則ではないが、ちょっとした問題解決であり、ISPたちが共通して行っている不正行為を真正面から狙い撃ちしている。提案はFCCの票決の前に一般公開され、それがたとえ明日であっても、事態を修復するためのかなりの猶予期間があるだろう。すぐにプロバイダーを変えたいと思っていた人には選択肢はない。しかし来年になれば、事態は変わっているだろう。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

南アフリカの通信大手TelkomがNetflixの配信を停止

南アフリカの通信事業者Telkom SA SOC Ltdは、2021年10月以降、電話とインターネットのセットトップボックスからNetflix Inc.を廃止したとBloombergが報じている。

記事によると、Telkomのコンテンツ担当役員Wanda Mkhize(ワンダ・ムキゼ)氏が声明で、両社のパートナーシップは回復されないと述べ、それ以上の詳細は語られていない。

現在、両社に問い合わせ中なので、情報が得られ次第この記事を更新する。

Netflixは近年、アフリカ全土で成長を探り、有料会員と売上の増加を狙ってきた。Telkomとの関係が終わった今、同社が既存の会員や消費者向けに別のルートを作るのかはまだ明らかでない。

2021年9月、同社はケニヤのAndroidスマートフォン向けに無料プランを発表して新会員の獲得に乗り出した。このプランでは「同社のテレビ番組および映画の約4分の1」にアクセスできるという。

関連記事:Netflixがケニアで無料プランを開始、東アフリカでの成長を加速へ

全アフリカでの会員獲得と維持を目指すNetflixは今では、この大陸の多様な市場で作られた南アフリカの「Queen Sono(クイーン・ソノ)」、ケニヤの「Sincerely Daisy」、ナイジェリアの「2 weeks in Lagos」といったコンテンツを前面に打ち出している。

GSMAモバイル経済報告によると、モバイルインターネットに接続したサハラ以南の人口は2021年に全人口の約28%、3億300万人に達し、それをビデオストリーミングサービスも顧客として狙っている。モバイルインターネットに接続した人たちは2025年に人口の約40%に達すると予想され、Netflixのようなインターネット企業により大きな市場を提供する。

大陸全土にわたる安価で高速なインターネットはNetflixやAmazonなどのビデオストリーミングサービスに、この大陸に巨大な足場を築く機会を与えている。

Netflixには、同国にもう1つのパートナー、MultiChoice Group Limitedがいる。同社は大陸最大のペイTVプロバイダーで、南アフリカではペイTVサービスの一環としてNetflixやAmazonを提供している。MultiChoiceが両社と契約を交わしたのは、2020年半ばだ。それはあくまでもMultiChoiceのペイTVの会員確保努力であり、そのために2015年には低料金のストリーミングサービスShowmaxを導入した。

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韓国裁判所がNetflixに不利な判決、ISPによるストリーミングサービスへの帯域幅使用料徴収の道をひらく
韓国のISPであるSK BroadbandがNetflixに帯域使用料を反訴

画像クレジット:Sam Wasson/Getty Images

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(文:Annie Njanja、翻訳:Hiroshi Iwatani)

韓国裁判所がNetflixに不利な判決、ISPによるストリーミングサービスへの帯域幅使用料徴収の道をひらく

韓国での裁判はNetflix(ネットフリックス)の敗北、同国ISP(インターネット・サービス・プロバイダー)の勝利となった。ISPはトラフィックを食い尽くすストリーミングプラットフォームから帯域幅使用料金を徴収する権利を得た。判決は控訴される可能性が高い。なぜなら事実上これは、市場の爆発的な伸びにあわせ新世代のストリーミングサービスにISPとの価格交渉を強いるものだからだ。

Korean Economic Dailyの報道によると、裁判所の決定は「自分たちで解決せよ」とする公式見解ほど規範的なものではない。しかしストリーミングサービスを彼らが数年来戦ってきた特別な帯域幅使用料から保護するものでもなかった。

2020年にNetflixは、ISPであるSK Broadband(SKブロードバンド)に同プラットフォームが使用する帯域幅の使用料を要求する権利はないと主張する裁判を起こした。2014年前後に勃発した訴訟と同様の内容だ。

当時ISP各社は、ストリーミング・サービスは法外な量の帯域幅を消費しているので、提供側コストを補償する支払いをすべきだと主張した。一方ストリーミングサービス側は、自分たちはすでに帯域幅の利用料金を払っているユーザーの要求を満たしているだけであり、ISPは同じものに課金して「二重稼ぎ」しようとしていると反論した。

厳密には現実はもう少し複雑であり、結局Netflixは、膨大なデータを高速で安定して配信するために必要なインフラストラクチャーを維持するための相互接続費用なるものを払うことになった。Netflixはこれを「高速レーン」税のようなものだと述べたが、その後の説明はなく同社はそれを事業運営のコストとして計上したと見られる。

Netflix広報担当者は、SKが要求していた料金は、世界中どこのISPとの契約にも見られないものだったとTechCrunchに説明した。同社は過去に相互接続その他の費用を払ってきたが、現在はブロードバンド・ロバイダー各社と別の方法を検討中であり、コンテンツ配信を高速化するローカル・キャッシング・インフラストラクチャーを構築することでISPの通行料を回避しようとしていると広報担当者は言った。NeftlixはSKの要求について、何人のユーザーや何テラバイトのトラフィックに対して何ドル / 何ウォン支払うなどの詳細は明らかにしなかった。

「現在裁判所の見解を慎重に検討しているところです。当社は今後も引き続き、SK Broadbandと協力して共通の顧客にサービスを提供し、私たちのOpen Connectサーバーに投資していきます」とNetflixが声明で語った。

韓国では他国と比べてこの問題が解決しておらず、爆発的に成長していることから、ストリーミングサービスは自分たちの成功に比例した料金を払わないことを望んでいるものと思われる。その結果がこの訴訟だ。しかし、裁判所の最新の決定はボールを相手コートに返し「手数料を払うかどうかは両当事者間による交渉で決める必要がある」とした。

これはブロードバンドプロバイダーにとって朗報だ。なぜなら交渉結果が何であれ、これまでのゼロよりは大きいからだ。どういった種類の金額を要求可能なのかは完全な謎である。なぜなら業界の変化があまりにも速いからだ。そしてこの判決は世界最大級の企業(貪欲な韓国市場で大儲けしている)にとって不利であることから、再燃することはほぼ間違いないだろう。一方この国の消費者にとってはストリーミングの価格が上がる可能性が高い。消費者の反発を引き起こす実証済みの方法だ。

この問題は米国その他の地域でも解決にはほど遠く、民主党主導となったFCC(連邦通信委員会)の下、強力なネット中立性ルールの新たな後押しがあるかもしれない。Netflixは当初のネット中立性推進の議論の中でこの種の料金を違法であると主張したが、最終的にその考えを捨てた(後日ルールが撤廃さればそもそも意味がなくなる)。ISPが何を課金できて何を課金できないか誰が払うべきかの議論は今なお全世界で進行中だ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:韓国Netflix動画配信ISP裁判

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nob Takahashi / facebook