ゴールドマン・サックス、Bitcoin研究レポート発表―「有望なテクノロジーだが、通貨ではない」

ゴールドマン・サックスが発表したレポートは、Bitcoinの信奉者に顔を洗って出直し現実に目覚めよと勧めている。

Mt. Goxの破綻、Bitcoinの発明者と思われる人物の特定資金洗浄容疑での逮捕という波乱の中、ゴールドマンはBitcoinについて詳細な研究を行い、「テクノロジーは有望だが、通貨となるには条件を欠いている」という結論を出した。

核心となる判断はこうだ:Bitcoin取引を支える台帳記入式のテクノロジーはおそらく主張どおりの機能を果たしそうだが、 通貨として機能することはありそうにない。

ゴールドマンは不慣れな読者のために、「Bitcoinとは権威あるサードパーティーなしに、ピア・ツー・ピアネットワークによって電子的取引を記録し、認証するシステムだ。Bitcoinネットワーク上での取引の単位はbitcoinと表示される。」と説明している。

主席マーケット・エコノミストのDominic Wilson、グローバル・エコノミストのJose Ursuaはbitcoinを通貨というより、石油や穀物のようなコモディティだとしてこう書いている。

Bitcoin始めデジタル通貨は、通貨、コモディティ、金融資産の境目に位置しているといってよいだろう。現在のところ、それらは決済手段として用いることができるものの、投機的金融資産として利用されているというのがわれわれの考えだ。通貨として成功するためには現実通貨への安定した交換率が必要だ。資産価値が予期せず大幅に変動することは普及の大きな妨げになる。

ゴールドマンのコモディティ研究部門の責任者Jeff Currieは「Bitcoinがコモディティだとしても、金というコモディティの王者に比較すれば、あらゆる面で問題にならない」という。

Currieはコモディティは新たにより便利なコモディティが出現すれば取って代わられるという。ではBitcoinは金を代替するようなコモディティになる可能性があるだろうか? 

「一言でいえば、ノーだ」とCurrieは書いている。Bitcoinに比べて金の資産価値ははるかに安定している。資産保有手段としてBitcoinは金を代替することはできない。

ただしGoldmanはBitcoinの通貨としての可能性には弱気だが、テクノロジー・プラットフォームには魅力を感じているようだ。他のコモデティ取引業者、GlobalAdvisersなどはすでに独自の技術によるBitcoin取引サービスを開設している。Global Advisersのファウンダー、プリンシパル、DanielMastersはBitcoinの荒い値動きを2005年から2011年にかけての銀市場と比較する。

多くの起業家、ベンチャーキャピタリストがBitcoinの通貨(コモディティ) としてあるいはテクノロジーとしてのBitcoinに大きな将来性を見出しているわれわれも報じてきたように、Bitcoinを巡っては新世代のより信頼性の高いサービスがいくつも創立されている。これらがBitcoinに何より必要とされている安定をもたらすことなるかもしれない。

連続起業家でAccelとGeneral Catalystが出資するBitcoinのスタートアップCircleのファウンダー、Jeremy Allaireは「今は熱狂的なアマチュアが排除されていく時期だ。しかし“Bitcoinは世界的な規模でネットワーク効果を発揮し始めている」と主張する。

Allaireによれば、「Bitcoinの普及のために欠けているもっとも重要な要素は公的規制だ。デジタル通貨の取引とデジタル・ワレットなどの付随サービスについて世界で共通する監督と取引ルールの制定が必要だ。そのためにはゴールドマンのような有力な金融機関が関与しなければならない。実際アメリカのトップ金融機関はすべてBitcoinに強い関心を抱いている」という。

ゴールドマン・サックスはBitcoinについて会社としての見解を明らかにする時期になっていないという立場を崩していない。しかし非公式にいくつかのBitcoin関連がプロジェクトが動いているという情報もある。

下にレポートの全文をエンベッドした。

イラスト:Bryce Durbin

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+