任天堂は米国時間7月10日、まだ現役のゲーム機「SwitchのLite」バージョンを発表した。本体はやや小型化されたが、コントローラーは取り外しできなくなっている。それでいてバッテリ寿命は延長された。Switchというネーミングは、ハンドヘルド型としてだけでなく、テレビに接続したり、本体だけをテーブルに置いて楽しむといった、いろいろな使い方ができることを意味していた。しかしLiteでは全体を手で持って遊ぶしかないので、元来の「Switch」の意味はなくなっている。
いずれにしても、Liteの最大のメリットは価格が下げられたこと。発売は9月(日本では9月20日)だが、価格は199ドル(日本では1万9980円)。これまでのSwitchより100ドル(日本ではちょうど1万円)も安く、大幅な値下げと言える。これにより、任天堂にとって新たなプレーヤー層を開拓することが期待できるだろう。しかしLiteでは、これまでSwitchを特別なゲーム機にしていた特徴の多くが取り除かれてしまったのも事実だ。例えばテレビにつないで大画面で楽しんだり、Joy-Conと呼ばれるコントローラーを本体から切り離し、感触フィードバック付きのモーションコントロールでゲームをプレイしたりといったことはできなくなった。
このようにSwitch Liteで省略された部分については、多くのユーザーが実際にSwitchをどのような使っているかということを任天堂も理解したうえでのものだと私は推察している。それは、任天堂の広告やプロモーションビデオで、熱心で理想的なSwitchユーザーがやっていたのとは異なった使い方だろう。すでに述べたように、Liteでは実際にゲームプレイ中のバッテリー寿命を延ばしている。例えば、「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」などでも、これまでより1時間ほど長くプレイできるだろう。そして本体サイズの小型化によって、旅行に持っていく際などにもバッグの中でかさばらなくなる。
本体から切り離せなくなったコントローラーは、新たに設計し直されたもの。左側に本物の十字キーを備えるようになった。これまでは独立した4つの丸いボタンで代用していたが、何かと評判のよくない部分だった。小型化されたとはいえ、画面の解像度はこれまでと同じ。そのため、表示はより鮮明に見えるはずだ。
私に言わせれば、そしておそらく多くのSwitchユーザーにとってもそうだろうが、Liteの変更点は、Switchの使い方の90%については、実際には妥協というよりも改良だ。例えば、私はテレビにつないでプレイすることはほとんどない。使うとしても、1回限りのパーティーゲームなので、それほど必要というわけでもなく、別になくても構わない機能だった。十字キーを装備したコントローラーのデザインは、ずっと実用的になった。実は私は、これまでにSwitchでプレイしたすべてのゲームで、モーションコントロールを使ったことは1度もない。バッテリー寿命が延びることによって、おそらく旅行の途中で充電する必要がなくなる。もちろん旅の長さにもよるが、短中期なら大丈夫だろう。また、小型化されたことで、荷造りする際にも、家に残しておくより一緒に持っていこうと思える機会が増えそうな気がする。
すでに、Liteはあらゆる点でSwitchの「改悪」モデルだと断言している批評家もいる。しかし私はその反対だと思っている。確かに任天堂は、Switchという名前が表す特徴を、このLiteでは削ってしまったかもしれない。しかしその結果生まれたのは、ほとんどの人が、ほとんどの時間、実際に使いたいと思っているゲーム機に、かなり近いものになったのではないだろうか。
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(翻訳:Fumihiko Shibata)