オフィス家具通販サイト「Kagg.jp」を手がける47インキュベーションは8月23日、新品オフィス家具の月額レンタルサービス「Kaggレンタル」を新たにスタートした。
Kagg.jpは45万点以上の商品数を誇る国内最大規模の家具通販サイト。先月には、累計売上10億円を突破した。これまでは販売に特化していたがレンタルを始めることで「時代に合ったオフィス家具利用」を提案する。
Kaggレンタルでは、Kagg.jpで販売中のチェアを、1脚あたり月額990円(税抜)からレンタルすることができる。家具は新品で、対象商品は10万点以上。サービス開始当初の対応エリアは東京23区内で、順次拡大予定。また、将来的にチェア以外の商品の取り扱いも計画している。
サービスの大きな特徴としては、初期投資が抑えられる、必要な数だけ借りられる、いつでも返却できる、などが挙げられる。Kagg.jpで人気のSylphy(シルフィー)というチェアの販売価格は74736円だが、レンタルだと月額2990円。レンタルを2年間継続した商品は、そのまま無償で譲り受けることができる。
同社取締役でKagg.jp事業担当の梁原立寛氏は「シェアリングエコノミーに代表されるように、モノにお金を使う・モノを持つという考え方は変化してきている。サービスに関してもサブスクリプション化しているというのが大きな流れとしてある」と新サービス開始の背景について語った。
たしかに、同氏が言うとおり消費形態は近年“所有”から“利用”へと大きくシフトしてきている。音楽を聴くなら「Spotify」、映画を見るなら「Netflix」、オフィス系だと「Adobe Creative Cloud」や「Office 365」、アパレルは「airCloset」や「Laxus」といった具合に、サブスクリプションサービスは若い世代を中心に徐々に浸透・定着してきている。
さらに「企業は多様化し、スタートアップ・ベンチャーが増加している」「WeWorkに代表されるようにオフィス自体も流動化している」という観点から、家具レンタルのニーズは高まっているはずだと梁原氏は睨む。
「必要な数だけ借りられる上、いつでも返却できる。スタートアップ・ベンチャーだと、一年後にどんな人数でどんな組織になっているかわからない。一月単位、一脚単位で必要な数だけ借りていただき、いらなくなれば返していただく」(梁原氏)
家具の分野ではKaggレンタルのほかに「CLAS」やTechCrunch Japanでも以前に紹介している「KAMARQ」などのサービスがすでに存在している。
KAMARQも7月30日に月額制のオフィス家具提供を開始しているが、Kagg.jpとの決定的な違いは商品数だ。KAMARQはテーブル、椅子、チェスト含む22種のオフィス家具を提供しているが、Kaggレンタルの対象商品は10万点以上。なので「既にある家具をもう一つ追加したい」といったニーズに応えられるのが強みだと梁原氏は語った。
なお、お気づきかもしれないが、Kaggレンタルにより貸し出される家具は全て新品だ。返却が相次いでしまった場合にはどのように対応するのか。梁原氏は「基本的には長くお使いいただけるという期待をしている」というが「新古品として販売」したり「中古品として販売またはレンタル」することも視野にあると説明した。
「中古オフィス家具のニーズはかなり強い。新品のレンタルあるいは何か別の入手方法によって在庫となったオフィス家具に関しては販売またはレンタルといった形で提供したいと考えている」(梁原氏)
「お客様のニーズに合わせた様々な利用形態を提供できるようにするのが理想的だ」と同氏は話していた。
個人的に、中古家具の在庫を抱えるのはリスクになりうると思う。だが、例えばフリマアプリ「メルカリ」では多くの中古品が流通していたりするし、「絶対に新品でないと」という価値観を持つ人は昔に比べると減ってきているはず。
中古家具のレンタルならスタートアップ・ベンチャーにとってさらなる初期投資の削減になる。同社のさらなるサービス展開に今後も注目していきたい。