キッドテックのスタートアップ、SuperAwesomeが1700万ドル(約18億5000万円)の資金を確保した。 これにはMicrosoftのベンチャーファンド、M12からの新たな戦略的投資が含まれる。今回のラウンドには既存の投資家やEquity、Hoxton Ventures、Ibisをはじめとした他のエンジェル投資家が加わっている。
これまでSuperAwesomeが外部から調達した資金は3700万ドル(約40億円)だ。
ロンドンに本拠を置くSuperAwesomeは「子供に優しいウェブ」を実現するテクノロジーを開発している。子供たちが大人同様に自由にウェブを活用できるようにするのが目的だ。
SuperAwesomeのCEOである Dylan Collins(ディラン・コリンズ)氏は「歴史的に言えば、インターネットはもともと大人が使うことを前提にした仕組みだった。しかし現在ではユーザーの40%以上が子供だ。我々はインターネットの構造の過渡期にいて、キッドテック、つまりプライバシーと子供の保護を強化するテクノロジーをさらに必要としている。デスクトップからモバイルへのシフトはこの必要性をいっそう高めるものだ」と述べている。
同社が提供するプロダクトは、子供に安全な広告やソーシャルツール、認証、各種のペアレンタルコントロールなどだ。こうした広汎なサービス提供は子供向けにビッグビジネスを展開する企業である Activision、Hasbro、Mattel、Lego、Cartoon Network、Spin Master、任天堂、バンダイ、WB、 Shopkins maker Moose Toys、WPP、Omnicom、電通、Niantic、Wildworksなどで利用されている。現在、同社のクライアントは300社を超えているという。
SuperAwesomeの登場は、まさに適切なタイミングだった。アメリカのCOPPA(Children’s Online Privacy Protection Rule、児童オンラインプライバシー保護法)をはじめとして、EUのGDPR-Kが制定され、さらに中国、ブラジル、インドなどの巨大マーケットでも法的規制が厳しさを増している。そのためテクノロジー業界では子供を保護するキッドテックが強く求められている状況だ。この1年でFTCにより、Musical.ly、TikTok、YouTubeなどが子供向けとして不適切なコンテンツ掲載やプライバシーの侵害などで制裁を受けている。
こうした状況がSuperAwesomeにとって追い風となったのは言うまでもない。経営は今や十分に黒字であり、同社のサービスは子供向けトラフィックを毎月120億回処理している。コリンズ氏はTechCrunchの取材に対して「2019年の収入は5500万ドル(約60億円)だったが2020年は8000万ドル(約87億円)から9000万ドル(約98億円)に達するものと期待している」と語った。
Microsoftからの投資に続く両社の戦略的提携の具体的内容については、現在も両社で話し合いが続いている。我々がつかんだ情報によれば、テーマの1つは「ファミリーアイデンティティ」をめぐるビジネス・チャンスについてだったという。現在、MicrosoftはEdgeブラウザをはじめ、各種の教育的ツールなどあらゆるプロダクトでプライバシーと子供の保護に特に力を入れている。
「Microsoftとその投資事業部のM12の人々と話し合った結果、我々はインターネットのあるべき姿について同じビジョンを抱いていることがはっきりした。それはより多くの子供たちがインターネットに参加できるようになり、さらにプライバシーの保護が徹底されなければならないというものだった」とコリンズ氏は述べた。
一方、Microsoftのコーポレイト・バイスプレジデントでM12の国際事業責任者、Nagraj Kashyap(ナグラジ・カシャップ)氏は投資の際の声明で次のように述べている。
「SuperAwesomeをM12のポートフォリオに加えることができたのは、本当に喜ばしいことだ。デジタルネイティブな最初の世代である子供たちにとって、インターネットをさらに安全かつ快適な場所とするという重要な使命を果たす上で、ディラン(コリンズ氏)たちは十分な経験と熱意を持ったチームだ。ユーザーがアイデンティティをより良くコントロールできるよう努力してきたMicrosoftとしては、SuperAwesomeと協力できる機会が得られたことを歓迎する」
画像:SupeAwesome SA-image
[原文へ]