ベンチャーキャピタルのパイオニア、KPCBの共同ファウンダー、Tom Perkins、84歳で逝去

2016-06-10-tom-perkins

シリコンバレーの著名なベンチャーキャピタル、, Kleiner Perkins Caufield & Byers(KPCB)の共同創業者であるトーマス・パーキンス(Thomas Perkins)が84歳で亡くなった。死因は自然死とされている。

投資家となる以前、PerkinsはUniversity Labsと呼ばれるレーザー製品の企業を創業した。またHewlett-Packard(その後のHP)のコンピューター事業部の初代のゼネラル・マネージャーを務めた。1972年にPerkinsはEugene Kleinerと共にKleiner Perkinsを創立し、シリコンバレーにベンチャーキャピタルの基礎を築いた。

KPCBの共同創業者としてPerkinsは数多くの投資先企業の取締役を務めた。その中にはCompaq、Genentech、News Corpなどの有名企業が含まれる。PerkinsはHPの取締役だったが、2006年に内部情報がメディアにリークしたことに関連して取締役会が漏洩元を調査することに反対して辞任している

テクノロジー分野以外でもPerkinsは回想録小説を執筆し、Maltese Falcon〔マルタの鷹〕と名付けられた巨大ヨットを建造した。一方、近年、 Wall Street Journalに寄稿した公開状が「成功した1%への憎しみのトレンド」をナチス・ドイツに例えた点で批判を集めた。 公開状はもともとPerkinsの元妻で作家のDanielle Steeleに関する記事でのネガティブな記述への反論だった)。

2013年のTechCrunch Disrupt SFカンファレンスでPerkinsはSequoia Capitalのファウンダーー、Don Valentineと対談し、HPの共同創業者、David Packardを偉大なメンターだったと賞賛した。また投資家としての経歴における成功(Genentech投資)、失敗( Appleへの投資の機会を見過ごした)についても語った。PerkinsはまたKPCBがTechCrunchの親会社となったAOLを支援していることにも触れた。

「最良の投資方法というのはどうものかについては常に議論がある。人間に投資すべきか、アイディアに投資すべきか? こうした議論は永遠に続けられるだろう。しかし私は良いアイディアに投資する。悪い人間は良いアイディアを思いつくことはないと思うからだ。これは単純な法則だ」とPerkinsは語った。

〔日本版〕KPCBKの共同ファウンダー、Frank CaufieldとBrook Byersのメッセージについては原文を参照。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

クライナー・パーキンスとの性差別裁判に敗れたEllen Paoに、訴訟費用25万ドルの支払い命令

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Ellen Paoは、大きな注目を集めた性差別訴訟に全面敗訴しただけでなく、Harold Kahn判事はこのReddit暫定CEOに対して、25万ドル以上の訴訟費用をVC会社Kleiner Perkins Caufiled & Byers(KPCB)に支払うことを正式に命じた。

この裁定は、Kahn判事による前夜の暫定裁定に沿ったものだ。両当事者は、今日(米国時間6/18)午前サンフランシスコ高等裁判所で対面して決着をつけた。

金額は、KPCBがPaoに要求した訴訟費用、97万3000ドルから減額された。費用の大半に当たる86万4680ドルは鑑定人に支払われた。しかし、Paoと彼女の弁護人は、5月にこの訴訟費用の免除を求める裁判所文書を提出し、これを「法外」「悪意ある」請求であると主張した。

Kahn判事は費用の過剰性について同意し、今日、Paoの資力に見合った27万5996.63ドルへと減額した。

Paoは、もしKPCBが6週間にわたった訴訴費用として270万ドルを彼女に支払えば、控訴を取り下げると提案した。KPCBはその案を却下し、全くの見当外れであると指摘した。

Kleiner Perkinsは今日の決定を予測していた。パートナーのChristina LeeはTechCrunchに対する声明文に、以前の暫定裁定は「われわれの和解案は妥当であり誠意を尽したものであることを認めた」と書いた。

本誌はPaoの弁護士、Alan Exelrodにコメントを求めており、返信があり次第続報する予定だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

サンフランシスコの階級戦争は、ゴドウィンの法則に到達した

Tom Perkinsがやってくれた

今朝(米国時間1/25)のWall Street Journalに掲載された、「進歩的クリスタルナハトは来るのか?」という驚きのタイトルのレターで、かの伝説的ベンチャーキャピタリストは、「アメリカ人のトップ1%に対する進歩的戦い」を、ユダユ人に対するナチスドイツの戦いになぞらえた。

本題に入る前に、一つはっきりさせておきたい。何事であれ、ホロコーストと比較すべきでは〈ない〉。ユダヤ人600万人とドイツ人500万人が命を失った悲劇は、ホロコースト自身か、少なくとも国による他の大量虐殺以外と比べるべきではない。

ゴドウィンの法則[ネットでの議論が長引けば長引くほど、ヒトラーやナチを引き合いに出すことが多くなる」通りではあるものの、Perkinsのレターには重大な問題がある。この問題に対する彼の意識、およびそれに対する見当外れな反応だ。

「『占拠せよ』運動から、富裕層を悪魔化することまで、わが地元紙San Francisco Chronicleは、事実上あらゆる記事において成功している1%に対する憎悪で埋め尽くされる傾向が高まっていると私は認識している」とPerkinsは書いている。少なくとも、この部分には同意する人も多いだろう。

問題はPerkinsが、サンフランシスコの取り乱した労働階級と一民族集団を撲滅するための国家行動との類似性によって、その憎悪を強調しているだけであることだ。

1パーセントの人々を高級ペントハウス住宅から追い出し労働キャンプに送り込もうとする集権的運動は起きていない。地域の繁栄する情報産業セクターを国有化しようとする計画もない。財産が独裁政権によって奪われたり再配分される恐れもない。

サンフランシスコにとって反対運動は新しいことではない。同市民は60~70年代ベトナム戦争の指導的発言者であり、1980年代のAIDS危機でもそうだった。占拠せよ運動にまつわるデモ行進や、自分たちの庭で起きている収入格差問題の激化に注意を向けさせることは、驚くべきものではない。

犠牲者たちを責めることは、発展にも歩みよりにもつながらない。しかし、Perkinsのレターはまさしくそれをやっている。

おそらく最も憂慮すべきなのは、なぜ人々は高まる収入格差に憤慨しているのか、なぜあの1パーセントに対する不満が起きているのかを、Perkinsは理解していないと思われることだ。この自己認識の欠如は最も痛ましい。なぜならそれは、業界の多くの人々が誤りを暴こうとしている、全く同じ固定概念を強めるばかりだからだ。

そして、サンフランシスコ・ベイエリアに真の変化を与えようとしている人々や、豊かな技術者とあまり恵まれないその隣人との架け橋になろうとしている人々、そしてあの「他に方法はあるはずだ」と信じる人々にとって・・・Perkinsのレターは、物事をより困難にするだけだ。

アップデート:先ほどKleiner Perkinsのツイッターアカウントから以下の声明が発表された。

[Tom Perkinsはこの数年間当社に関わっていない。彼がWSJで表明した見解には憤慨しており、当社は同意していない。]

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook