英語学習者の読解レベルに応じたニュース文書を提供するNewsela、対象をニュース以外にも拡大

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Newselaは2012年にサービスを開始し、英語学習者に広く活用されているサービスだ。英語の読解力を、個々人のレベルおよびペースで高めることを目的としている。

NewselaのCEO兼共同ファウンダーであるMatthew Grossによれば、80万の先生および770万の生徒が利用しているのだとのこと。

読解の教材にはもっぱらニュースを使っていたのだが、英語学習の観点からみると、これだけでは不十分だという話になったようだ。英語をただ読むだけでなく、内容を把握して自分自身で考える能力も身につけさせたいと考えるうち、教材の幅を広げることになったそうだ。

新学年を迎えようとする今、Newselaが新たに追加したのはLibraryだ。このLibraryでは歴史や有名な人物に関する一時的情報を、さまざまな読解レベルに応じた形で提供する。用意している言語は英語およびスペイン語だ。

扱うものを具体的にみれば、歴史ないし人物関連の情報の中でもとくに、メディアやポップカルチャーにも頻繁に登場するものを集めている。たとえばリンカーン大統領のゲティスバーグ演説やブラウン対教育委員会裁判に関するものなのだ。

こうした資料は非常に価値あるものではあるが、読解を難しく感じる人もいる。オリジナルをみてみようとウェブや印刷物を探しても、読めなくてがっかりする人も多い。

そこで、こうした資料を読解レベルに応じた形で提供しようとしているわけだ。合衆国憲法を8歳程度の子供の読解力にあわせて書き換えている例を下に掲載しておこう。

オリジナル
We the People of the United States, in Order to form a more perfect Union, establish Justice, insure domestic Tranquility, provide for the common defence, promote the general Welfare, and secure the Blessings of Liberty to ourselves and our Posterity, do ordain and establish this Constitution for the United States of America.

変更後
We the People of the United States want to form a more perfect country. We will set up justice, promise peace, protect the people, keep them healthy, and have liberty for ourselves and our children. Now we create this Constitution for the United States of America in order to do those things.

なお、Libraryの追加とともに、Pro版および、教師用および学校単位でプレミアム版を利用している人に対するサービスを改良した。

追加機能により、教師は生徒たちがどのようなコンテンツを読んで、また読解力を伸ばしているのかを確認することができる。また、どのレベルで難しさを感じているのかなどを、クラス単位ないし個人毎にチェックすることもできる。

Gross曰く「生徒たちの読解力に応じて、読む力や知識、読書へのモチベーションを高めたいと考えているのです」とのこと。

本サービスは、外国語として英語を学んでいる人(ESL:English-as-a-second-language)や貧困層を主な対象としたものだ。

サービスの提供によりもちろん利益をあげることを目指しているが、まずミッションありきのサービスでもある。技術および教育の融合を考えるKPCBOwl Venturesなどからの出資を受けている。

Newselaはこれまでに2216万ドルのベンチャーファンド資金を集めている。

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(翻訳:Maeda, H

ベンチャーキャピタルのパイオニア、KPCBの共同ファウンダー、Tom Perkins、84歳で逝去

2016-06-10-tom-perkins

シリコンバレーの著名なベンチャーキャピタル、, Kleiner Perkins Caufield & Byers(KPCB)の共同創業者であるトーマス・パーキンス(Thomas Perkins)が84歳で亡くなった。死因は自然死とされている。

投資家となる以前、PerkinsはUniversity Labsと呼ばれるレーザー製品の企業を創業した。またHewlett-Packard(その後のHP)のコンピューター事業部の初代のゼネラル・マネージャーを務めた。1972年にPerkinsはEugene Kleinerと共にKleiner Perkinsを創立し、シリコンバレーにベンチャーキャピタルの基礎を築いた。

KPCBの共同創業者としてPerkinsは数多くの投資先企業の取締役を務めた。その中にはCompaq、Genentech、News Corpなどの有名企業が含まれる。PerkinsはHPの取締役だったが、2006年に内部情報がメディアにリークしたことに関連して取締役会が漏洩元を調査することに反対して辞任している

テクノロジー分野以外でもPerkinsは回想録小説を執筆し、Maltese Falcon〔マルタの鷹〕と名付けられた巨大ヨットを建造した。一方、近年、 Wall Street Journalに寄稿した公開状が「成功した1%への憎しみのトレンド」をナチス・ドイツに例えた点で批判を集めた。 公開状はもともとPerkinsの元妻で作家のDanielle Steeleに関する記事でのネガティブな記述への反論だった)。

2013年のTechCrunch Disrupt SFカンファレンスでPerkinsはSequoia Capitalのファウンダーー、Don Valentineと対談し、HPの共同創業者、David Packardを偉大なメンターだったと賞賛した。また投資家としての経歴における成功(Genentech投資)、失敗( Appleへの投資の機会を見過ごした)についても語った。PerkinsはまたKPCBがTechCrunchの親会社となったAOLを支援していることにも触れた。

「最良の投資方法というのはどうものかについては常に議論がある。人間に投資すべきか、アイディアに投資すべきか? こうした議論は永遠に続けられるだろう。しかし私は良いアイディアに投資する。悪い人間は良いアイディアを思いつくことはないと思うからだ。これは単純な法則だ」とPerkinsは語った。

〔日本版〕KPCBKの共同ファウンダー、Frank CaufieldとBrook Byersのメッセージについては原文を参照。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

メアリー・ミーカーが恒例のインターネット・レポートを発表―2016年版のハイライトとスライド完全版

2016-06-02-trends-title16

テクノロジーの世界で何が起きているかを学ぶいちばん手っ取り早い方法はこのレポートを読むことだ。 KPCBのパートナー、メアリー・ミーカー(Mary Meeker)が今や伝説的となったインターネット・トレンドの年次レポートを発表した。

これにはインターネットの進化の現状を考える際に不可欠の統計が多数収集されている。ベンチャーキャピタルの動向、スマートフォン普及率、巨大企業の現状、優秀なターとアップ、その他、メアリー・ミーカーのレポートにはすべてが含まれている。

この記事の末尾に 2016版レポートのスライド全体をエンベッドしておいた。

ハイライトをいくつか拾ってみると―

  • 世界のインターネット普及率は対前年比9%と頭打ち。 世界人口の42%にあたる30億人が利用している。
  • スマートフォン普及率の伸びも減速。Androidのシェアは増大するもデバイス単価は下がる
  • ビデオ視聴は急成長、SnapchatとFacebook Liveは有望。 ビデオ広告の有効性には疑問符。
  • Facebook、WeChatなどッセージ・サービスは急成長。単純なテキスト・チャットから新たな「ホーム画面」に成長し、自己表現の場となる。コマースも有望。
  • アメリカのデジタル広告はさらに成長。GoogleとFacebookで市場の76%を支配。ただしオーディエンスの新メディアへのシフトと比較すると広告主はレガシー・メディアに不相応の支出を続けている。
  • ミーカーの予測によれば音声インターフェイスには高い将来性がある。速く、使いやすく、個人別に特化され、ハンズフリー、しかも安い。Android版Google検索の20%はすでに音声。Amazon Echoの販売も増加。ただしiPhoneは減速。
  • アメリカの自動車産業は1959年以來縮小を続けてきたが、TeslaとGoogleのおかげで再活性化中。Uber/UberPoolなどの共有経済がメインストリームになるにつれ、自動車所有率は減少。
  • 中国のインタネットのトレンドはアメリカより有望。世界の大国のインターネットは引き続き成長中。
  • さまざまなインプットデバイスの普及によりデータが次世代のプラットフォームになってきた。これにより非テクノロジー分野の巨大企業がテクノロジー企業を買収し、デジタルにシフトすることによって成長を活性化しようとする動きが目立つ。

詳細はこちら。 Here’s our breakdown of the most important insights from the 2015 Internet Trends report

〔メアリー・ミーカーは元モルガン・スタンレーの上級アナリストで、インターネットの動向をまとめた詳細なレポートが高い評価を得るようになった。2010年からはベンチャーキャピタルの名門KPCBのパートナー。TechCrunchでも毎年紹介している。2015年版2014年版(ハイライト付)

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

KPCBに加わって半年たったアリエル・ザッカーバーグにVCになった感想を聞いた

2016-02-16-ariellezuckerberg

昨年11月のアリエル・ザッカーバーグがベンチャーキャピタリストになるというTechCrunch記事が出た後、アリエルはKleiner Perkins Caufield & Byersに加わった。それから半年たったので、アリエルを私のポッドキャストに招いてVCの世界に入った感想を話してもらったら面白いだろうと考えた。

さいわい、アリエルはベンチャーキャピタリストになるにあたってどこがもっとも困難だったか、過去の経験がどのように役立ったかを実に率直に語ってくれた。アリエルはKPCBに加わる以前、Googleに勤務しており、次いでスマートフォン・アプリのHuminに参加し、エンジェル投資やプロダクト・マネージャーを務めた。

われわれの会話は多岐にわたったが、その中には兄のマーク・ザッカーバーグが今後はあらゆるプロダクトで人工知能が利用されるようになるだろうちう信念や、偉大なファウンダーとなるにあたって何が必要なのかベンチャーの世界に入ろうとする人間が地位を確立するにはどのようにすべきか、などが含まれた。アリエルは月曜朝のKPCBの全体会議で自己紹介としてムーンウォークをアカペラで歌ったことも話してくれた。

〔日本版〕アリエル・ザッカーバーグはFacebookのファウンダー、マーク・ザッカーバーグの1番下の妹。記事の筆者のハリー・ステビングズ自身がポッドキャストでアリエルにインタビューしている。ロンドン育ちのため英国風の英語。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

クライナー・パーキンスとの性差別裁判に敗れたEllen Paoに、訴訟費用25万ドルの支払い命令

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Ellen Paoは、大きな注目を集めた性差別訴訟に全面敗訴しただけでなく、Harold Kahn判事はこのReddit暫定CEOに対して、25万ドル以上の訴訟費用をVC会社Kleiner Perkins Caufiled & Byers(KPCB)に支払うことを正式に命じた。

この裁定は、Kahn判事による前夜の暫定裁定に沿ったものだ。両当事者は、今日(米国時間6/18)午前サンフランシスコ高等裁判所で対面して決着をつけた。

金額は、KPCBがPaoに要求した訴訟費用、97万3000ドルから減額された。費用の大半に当たる86万4680ドルは鑑定人に支払われた。しかし、Paoと彼女の弁護人は、5月にこの訴訟費用の免除を求める裁判所文書を提出し、これを「法外」「悪意ある」請求であると主張した。

Kahn判事は費用の過剰性について同意し、今日、Paoの資力に見合った27万5996.63ドルへと減額した。

Paoは、もしKPCBが6週間にわたった訴訴費用として270万ドルを彼女に支払えば、控訴を取り下げると提案した。KPCBはその案を却下し、全くの見当外れであると指摘した。

Kleiner Perkinsは今日の決定を予測していた。パートナーのChristina LeeはTechCrunchに対する声明文に、以前の暫定裁定は「われわれの和解案は妥当であり誠意を尽したものであることを認めた」と書いた。

本誌はPaoの弁護士、Alan Exelrodにコメントを求めており、返信があり次第続報する予定だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

GoogleのNest買収で儲かったのは誰だ?―クライナー・パーキンスの投資は20倍に、シャスタには過去最高のヒット

ご承知のようにGoogleはNest32億ドルのキャッシュで買収した。そこで初期の投資家であるKleiner Perkins Caufield ByersとShasta Venturesは大儲けをした。複数の情報源から聞いたところでは、Kleinerは2000万ドルを投資し、買収で4億ドルを得たという。20倍になったわけだ。

NestはシリーズA、シリーズBのラウンドでの投資家も投資金額も明らかにしていない。そのため今回スマート・サーモスタットとスマート煙探知機の買収で誰がどれだけの利益を得たかを正確に判断するのは難しい。

とりあえず分かっていることを確認すると、ShastaとKPCBでNestの2010年9月のシリーズAを全額引き受けている。これはNestが創立されてわずか数カ月後のことだった。次に2011年8月のシリーズBにも両社は参加しているが、このときはGoogleVentures、Lightspeed Venture Partners、Intertrust、Generation Investment Managementも加わっていた。

複数の情報源によると、Kleiner PerkinsはシリーズAとBを合計して2000万ドルを投資しており、Nestの最大の投資家だという。 Googleが払った32億ドルはKPCBの投資を20倍にしたとFortuneのDan Primack記者は聞いたそうだ。この資金は2010年に組成された6億50 00万ドルのKPCB XIVファンドから支出されたものだ。つまりKleinerはNestへの投資だけでこのファンドの60%の利益を出した計算になる。これでNestへの投資を主導し、取締役にもなっているKPCBのパートナー、Randy Komisarの地位も一段とアップすることだろう。

Kleiner Perkins Caufield Byersは1990年代末のインターネット時代の初期にGoogle、 Amazon、AOL、Intuitなどに投資するというホームランを連続して放った。最近ではFacebookとTwitterの株式上場で成功を収めている。またSquareやSpotifyにも投資している。しかしこれらはかなり後になってからの投資で、そう高い倍率は望めない案件だった。しかしNestの場合、KPCBは最初期から関与していたため、久々に非常に高い利益率を得ることができた。

左はShasta VenturesのマネージングディレクターでNest投資への投資を主導したRob Coneybeerだ。

[アップデート: 事情に詳しい情報源によると、今回のGoogleのNest買収で、Shastaは2億5000万ドルのShasta IIファンドの「大半を取り戻した」という。つまりShastaは2億ドル以上を得たもよう。]

CitrixのZenprise買収、IntuitのMint 買収などでShastaはこれまでも成功を納めているが、今回のNest買収は桁違いの利益を生んだもようだ。これで今後投資パートナーからベンチャー資金を募るのが楽になるだろう。

シリーズBとCをリードしたGoogle Venturesがおおきな利益を計上したことも間違いない。Tony FadellMatt Rogersの二人の共同ファウンダーも同様だ。

ベンチャーキャピタル全体として考えると、Nest買収はハードウェア起業家への強い追い風となる。Googleのような巨大企業が何十億ドルもの金をソフト企業ではなく家庭ハードウェアを製造する誕生したばかりのスタートアップに投じたことは、ハード起業家が資金を集めることを大いに助けるだろう。

[本記事の調査にはKim-Mai Cutlerが加わった]

Googleのネスト買収の詳細については下の画像をクリック:

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+