警護ロボ「K5」が池に身投げ――アシモフのロボット工学3原則破り

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ワシントンDCにあるショッピングモールが導入した警備ロボットが、仕事中に突然、施設内にある池に身を投げて動かなくなってしまいました。ロボットの自殺はアシモフのロボット工学3原則に違反する行為です。

自殺を図ったと伝えられるのはKnightscope社製の警護ロボット「K5」。身長およそ152cm、重さは136kgもある、そこそこ大型のロボットです。このロボットはショッピングモールに導入されてからは施設内を動き回り、なにか異常を発見すれば警備室もしくは警察に通報する仕事を任されていたとのこと。

ロボットの雇い主であるショッピングモールの管理者は、普段のK5について特に変わったところはなかったとしており、なぜ身を投げたのかは記事執筆時点では明らかになっていません。

ただ、この4月にはシリコンバレーで同じKnightscope K5が深夜勤務中、近くにいた酔っぱらいに転倒させられるという事件があったばかり。幸いにも、転倒させられたK5は自ら警察へ通報し、すぐに犯人の酔っ払いを逮捕することができました。とはいえ、Boston Dynamics製ロボットとは違って転倒させられると手も足も出ないK5シリーズは、もしかするとそのことを気にしていたのかもしれません(?)

一方、K5のレンタル派遣料金は1時間あたり7ドルしかなく、合衆国が定める最低賃金よりもさらに25セントも安く雇われていたことが、ひょっとしたら不満の募るところだった可能性も(?)

SF作家アイザック・アシモフはロボット工学3原則の第3原則として、人に危害を加える恐れがない場合、もしくは人に命令されたのでない場合は自己を守らなければならないと定めました。もしK5がロボット工学三原則を遵守して作られているのなら、ロボットが守るべき原則を破ったことになります。

……真面目に話をすれば、今回の事故は何者かによるいたずらの可能性も指摘されています。ただ、落ちたのが池だったのは、原因が何であれ不幸中の幸いでした。もしこれが普通の人が通る階段だったら、135kgもあるロボットに跳ね飛ばされて大けがをする人が出ていた可能性もあったはずです。

Engadget 日本版からの転載。

Knightscopeの防犯ロボットはリアルタイム治安ネットワークの賢いノードになる、大規模暴力事件を未然に防げるかも

ある日ロボットが蜂起して人類を支配するのかもしれないけど、今現在はPalo AltoのKnightscopeが、人類の安全のために犯罪と戦うマシンを開発している。

Knightscope製のセキュリティロボットK5は、スターウォーズのR2D2とドクター・フーのダレクに似ている。そしてこれらのロボットを動かしているシステムは、ちょっとジョージ・オーウェル的だ。ブロードキャスト機能と高度な監視能力のあるK5は、コンサートホールや商店街など人が集まる場所をパトロールし、不審な行動などをチェックする。

視界360度でHDの低ライト赤外線カメラが捉えた画像を、バックエンドのセキュリティネットワークへアップロードする。通行人の声を拾うマイクもある。ある程度のコミュニケーション能力もある。また、ガラスが割れる音などの異常音を感知してアラートを送る。

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すでにいくつかのショッピングモールやオフィスビルがK5を採用している。それらの名前は公表しないらしいが、Knightscopeによると、主にテクノロジ企業の社屋やシリコンバレーのショッピングモールだそうだ。

CEOのStacey Dean Stephensは元警官で、ロボットが送ってくる都市内の情報を利用する、犯罪防止のための予測的ネットワーク(次に起きることを予測できる情報ネットワーク)を構想した。協同ファウンダのWilliam Liとともに、これまでKonica Minoltaなどから1200万ドルを調達している。

近い将来にロボットが警官やガードマンをリプレースする、とKnightscopeが考えているわけではない。ロボットはあくまでもアシスタントだ、と同社はその製品を位置づけている。料金はレンタル制で、5本足300ポンドのK5を1時間6ドル25セントで貸し出している。われわれの最低賃金より、安いよね。でもティーンエイジャーのワルガキどもがロボットを小突いたりしたら、K5は彼らに声をかけるし、彼らの行為を撮影して署に送ったりするから、ガキどもにはショックだろう。

これらのロボットは、ロボット自身の治安機能が必ずしも目的ではない。むしろKnightscopeは今、ロボットよりも、それらから送られてくる情報を利用するセキュリティネットワークの研究開発を進めている。そのネットワークは、ロボットからリアルタイムで送られてくる映像やデータから、公共の場所における不審な行動を見つけて、警察機関などに報告するだろう。それらの予測に基づいて事前に行動が取れれば、大規模な銃撃事件などの暴力事件を、未然に防げると思われる。

上のビデオで、Stephensにインタビューしている。ロボット本体と、ロボットをベースに構築していく治安ネットワークのことが、よく理解できるだろう。

[原文へ]。
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

ロボコップが現実に、ロボット警備員を開発するKnightscopeにドコモ・ベンチャーズが出資

Knightscopeのサイトより引用。現時点では公道での使用は許可されていません

スターウォーズに登場するR2-D2のような姿をしたロボット警備員が街の治安を守る。そんな日がまもなくやってくるかもしれない。そう、自立走行型マシン「K5」ならね。

K5は高さ152cm、横幅81cm、重さ136kgと少しずんぐりとした体型のマシン。内部には、周囲360度の動画を撮影するHDカメラ、4方向の音声を収集するマイク、超音波式の近接センサー、対象物の移動速度や距離を図るセンサーなどがある。

開発元の米Knightscopeによれば、人々の挙動をリアルタイムに監視し、攻撃的であったりコソコソした身振りを察知した場合は、当局に通報して犯罪を未然に防ぐのだという。1台のK5が年間に収集するデータ量は90テラバイトに上る。

各種センサーで収集するデータに加えて、顧客企業が指定した地域で投稿されたソーシャルサービスのデータも活用する。具体的には、市民の抗議や違法行為に関する雑談などがあると、Knightscopeのセキュリティオペレーションセンターに警報が届く仕組みだ。

TechCrunch Japanのメールインタビューに応じたKnightscopeのCEO、William Santana Li(ウィリアム・サンタナ・リー)氏によれば、同社は2012年12月のサンディフック小学校銃乱射事件や2013年4月のボストン・マラソン爆発事件をきっかけに設立。現在、北米には約200万人のガードマンや警察官、約50万台の警察車両があるというが、「その数はこれ以上増えることは見込めず、治安を守るにはテクノロジーの助力が不可欠」という思いから創業した。

「K5が単調な仕事や、時として危険の伴う仕事までも請け負うことで、人間には高次元の思考や、細かい陣頭指揮が求められる衝突などに注力してもらいたい。将来的には特定エリアの犯罪を50%減らすことを目標に掲げている。」

2014年第2四半期にはシリコンバレーでベータテストを開始する予定で、「ウェイティングリストには30社近くの大企業が順番待ちをしている状況」。本格展開は2015年を見込んでいて、月額3000ドルで提供する計画。ショッピングモールやイベントスペースなど比較的広域なエリアでの利用を想定している。日本での展開は未定だが、リー氏は2020年の東京オリンピックを商機と捉えているようだ。

3月13日には、NTTドコモ・ベンチャーズが同社に出資したことを発表。出資額は明らかにしていないが、NTTグループの安心・安全に関わるビジネスや、機械と機械が互いに通信を介して情報をやりとりするM2M(Machine to Machine)分野への貢献を期待しているという。