AWSがOracle Larry EllisonのRedshift批判に反論、“例によってLarry節だ”と

Oracle OpenWorlカンファレンスのキーノートでOracleのLarry Ellison会長が同社の新製品、全自動データベース(autonomous database, 自律的データベース)を発表したとき、彼は数分間にわたり、クラウド市場における同社の強敵AWSをけなした。マーケットリーダーであるAmazonをEllisonが標的にするのは当然だが、しかしAWSは今回、彼のコメントに公開の場で反論した。

AWSがとくにひっかかったのは、同社のビッグデータウェアハウスAmazon Redshiftがエラスティックでない、というEllisonの主張だ。Ellisonはこう語った: “Amazon Elastic Cloudと呼ばれているのは知っていますが、でもそれはエラスティックではありません。すなわちAmazonのデータベースRedshiftは、ワークロードが大きくなったとき自動的にプロセッサーの数を増やせません。逆にそれを、減らすこともできません。そんな能力が、そもそもないのです”。彼はさらに、Redshiftでは手作業でシステムを停止し、新しいインスタンスを立ち上げ、データベースを新しいストレージにコピーし、その後の稼働結果を古いデータベースへコピーバックしなければならない、と主張した。

これに対しAmazonのスポークスパーソンは応じた: ばかばかしい(もっと多くの言葉で)。

“まず、それは事実ではない。Amazon Redshiftでは、顧客は必要に応じてクラスターをリサイズできるし、コンピュートをストレージとは別にスケールできる。Amazon Simple Storage Serviceのデータに対してRedshift Spectrumを使えるし、顧客はストレージとは無関係に単純にクェリに対して支払うだけでよい”。

さらに彼らは、Ellison自身についても非難した: “でも多くの人は、Larryという人物をすでによく知っている。事実に基づかない乱暴な主張、そして、大量のこけ脅かしが、彼の常套手段だ”。

エラスティック(elastic, 伸縮自在)というのは、ジョブのサイズに応じて計算機資源が自動的に拡大縮小することだ。Ellisonの場合ジョブとは、データベースの運用、クェリの処理だ。

エラスティックであること、リソースの伸縮が自動的に行われることは、クラウドコンピューティングサービスの主な魅力のひとつだ。まるで、音量ボリュームのつまみを回すときのように簡単に、使用するリソースの増減ができる。自前のデータセンターだと、誰も自動的にリソースを増減してくれない。必要なキャパシティは新たに買わなければならないし、しかも今後の余裕を見て、今の必要量よりも多い買い方をしなければならない。資金の無駄遣いである。

それでもなお、ホリデーギフトシーズンのショッピングでデータ量が予想を超えてスパイクしたら、万事休すだ。リソースを、その日のうちに、しかもその日一日だけのために、買い増すことはできない。しかしクラウドなら、リソースの必要な伸縮が自動的に行われ、‘一日’という短期的なニーズにも対応できるから、リソースの無駄なアロケーションも発生しない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Oracleのイベントでラリー・エリソンが自律DB発表――AWSをからかう

Oracleはクラウド化の波に大きく取り残されており、ラリー・エリソン会長はそのことをよく知っている。そこでエリソンはあらゆる機会をとらえて最大のライバル、AWSに嫌味を言うことにしている。昨夜のOracle OpenWorldイベントのキーノートに登場したときも例外ではなかった。エリソンは自律的にチューニングを行う新しいデータベース・システムを紹介したが、同時にAWSを批判するという誘惑に勝てなかった。

今回発表されたスマート・データベースはテクノロジー的にみてクールなプロダクトに思える。エリソンとしては数分も割いてライバルについて論ずるより、自分たちの新しいデータベースの説明に集中したほうが効果的だったのではないか? このデータベースは、完全に自律的に作動するという。つまりチューニング、プロビジョニングを自ら実行できる。エリソンはこれを自分の自家用ジェット機の自動パイロットにたとえた(イベントの聴衆に自家用ジェットの所有者がどのくらいいたか知らないが)。つまり「今後はパイロットのエラーという事態は起きない。パイロットは乗っていないからだ。このデータベースではアドミニストレーションは完全に自動化されている」とエリソンはキーノートで述べた。

それに加えて、このデータベースには自己修復能力がある。なんらかの理由でデータベースの一部が壊れた場合、データベースは自らその部分を修復して運用を続ける。この能力があるため、Oracleは稼働率として99.995%を保証するという。エリソンはこれを「1年の作動あたり、計画的、突発的合わせて30分のダウンタイム」にすぎないと大胆に宣言した。

またエリソンは契約書にうたわれる4ナイン(99.99%)、5ナイン(99.999%)といった数字は「実質的にウソだ」と述べた。なぜならこの数字は通例ソフトウェアのバグ、セキュリティー・パッチのインストール、構成の変更などにともなうダウンタイムを除外してしているからだという。しかしOracleの新しいデータベースがいかにしてこうしたダウンタイムを一切排除できるのかについてエリソンは詳しく述べなかった。大規模なDDoS攻撃、最近アメリカを襲ったような猛烈なハリケーン、雷、それどころか単なるヒューマン・エラーも大規模なシステム障害を起こすことが知られている(昨年AWSに起きた障害がよい例だ)。

ともあれ、エリソンは何分か使ってAmazonのRedShiftを批判した。クラウドコンピューティングは非常に複雑なビジネスだが、赤丸付き急上昇でチャートのトップに立ったのはもちろAWSだ。一部の推定によればAWSのシェアはクラウドコンピューティング市場の40%を占めているという。2位のMicrosoft Azureは10%で、他はOracleも含めてこのトップ2社に遠く及ばない。

新しい自律的データベース・サービスは(18cというおよそ想像力を欠いた名称だが)、現在のOracleの強みを生かしながらクラウドでAmazonと戦おうとする試みだ。AWSはクラウド・ビジネスで何年も早くスタートを切り、巨大なシェアを誇っている。しかしOracleはデータベースを隅々まで知っており、これはクラウドに移行してもAWSより優位に立てる点のはずだ。

今回のイベントでのエリソンの発表は注目すべきものだったが、「プディングの良し悪しは食べてみるまでわからない」ということわざもある。このデータベースの能力も実際に運用されてみて初めて判明するだろう。Oracleによれば、新データベースは今年中に利用可能となるという。

画像:: Bloomberg/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+