Virgin Orbit初の軌道飛行テストは輸送機からの離脱直後に異常終了

米国時間5月25日、Virgin Orbit(ヴァージン・オービット)は同社の軌道貨物打ち上げシステム初の完全飛行テストを行った。空中打ち上げロケット LauncherOne(ランチャーワン)の輸送機として、ボーイング747を改造した「Cosmic Girl(コズミックガール)」が使われた。Virgin Orbitはこれまでにも、Cosmic GirlとLauncherOneのテストやデモンストレーションを行っているが、全体を通したシステムテストはこれが初めてだった。しかし、テストは予定よりずっと早く、LuncherOneがCosmic Girlから飛び立った直後に終わることとなった。

Cosmic Girlは太平洋標準時正午(東部標準時午後3時)直前に、カリフォルニア州のMohave Air and Space Port(モハーヴェ航空宇宙空港)を飛び立った。操縦はチーフテストパイロットのKelly Latimer(ケリー・ラティマー)氏とコパイロットのTodd Ericson(トッド・エリクソン)氏が担当した。その後飛行機は目標切り離し地点へと飛び、LauncherOneは、予定時刻の太平洋標準時午後12時50分(東部標準時午後3時50分)に輸送機から「クリーンリリース」されたが、そのわずか数分後にミッションは「終了した」とVirginは伝えた。

Cosmic Girlの乗務員をはじめ従業員の安全は確認されたと会社は報告したが、残念な結果であったことは間違いない。それでもVirgin OrbitのCEOであるDan Hart(ダン・ハート)氏とVPのWill Pomerantz(ウィル・ポメランズ)氏は、新たな打ち上げシステムの最初のミッションは往々にして計画通り進まないものであると念を押し、そもそもテストするのはそのためだと語った。

Virgin Oneの軌道飛行テストの飛行計画マップ

それでも同社は多くの有用なデータをこのミッションからから得られるに違いなく、失敗の原因究明に役立つはずだ。ひと度、問題を修正したら、次のテストに向かうことは間違いなく、その時期は思っている以上に早いかもしれない。何故ならVirginは、打ち上げロケットのパイプライン化の取り組みに非常に熱心であり、代替機の飛行準備はほぼ完了しているからだ。

「輸送機を離れた後、LauncherOneロケットはブースターエンジンの点火に成功した。これは当社にとって初めての空中点火の試みだった」とVirgin Orbitが広報を通じて5月25日のミッションについて語った。「その後第一段飛行で異常が起こり、ミッションは安全のうちに終了した。輸送機のCosmic Girlおよび乗務員全員がモハーヴェ航空宇宙空港に無事着陸し、ミッションを終えた」。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Virgin Orbitの自動人工呼吸器を米食品医薬品局が緊急承認、数日以内に医療現場に提供へ

小型衛星の打ち上げを目指すVirgin OrbitはFDA(米食品医薬品局)から人工呼吸器用の緊急使用許可(EUA)を得た。同社は新型コロナウイルス(COVID-19)感染の重症患者に必須となる人工呼吸器のニーズに対処するため、数週間前から設計とプロトタイプ化の製造を開始していた。Virgin Orbitは、「FDAの承認が得られたので、数日以内に人工呼吸器の提供が開始できる」と期待している。

Virgin Orbitが設計した人工呼吸器は、救急車に搭載され救急隊員が自発呼吸の能力を失った患者に使用する手動人工呼吸器を自動化したものだ。設計に当たっては専門家と医師のグループ、ブリッジ人工呼吸器コンソーシアムの指導を得ている。「ブリッジ」という分類のとおり、主に「つなぎ」として使用されるタイプだが、これには大きなメリットがある。軽症患者にブリッジタイプの簡便な人工呼吸器を使うことにより、本来の人工呼吸器を新型コロナウイルスによって重篤な肺炎を起している患者の救命にあてることができるようになる。

Virginではすでに人工呼吸器の製造を開始していると発表しており、現在の生産体制で「週に100台以上」を生産できるという。今週中に出荷予定の最初の100台はカリフォルニア州に送られEMSA(Emergency Medial Services Authority)によって必要度の高い医療現場に配布される。

Vigin Orbitでは人工呼吸器の生産ラインを迅速に立ち上げて出荷を開始するために多大の努力を払ったが本業はやはり衛星打上だ。同社では独自の小型衛星発射システムの開発を続けるとしている。Virgin Orbitの空中発射システムについてはTechCrunchでも報じてきた。今月、Launcher Oneロケットを747母機の主翼下に吊り下げて所定の高度に上昇させる最終飛行テストに成功している。この後は実際にロケットに点火して衛星を打上げるテストとなる。これは今年中に実施される予定だ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Virgin Orbitの747、ロケット吊り下げ飛行に成功――LauncherONe衛星打上システムさらに前進

Virgin OrbitはLauncherOne発射母機のロケットを吊り下げて飛行することに成功した。これによりVirginグループの宇宙事業は新しい低軌道衛星打ち上げシステムの実現に向けてさらに一歩前進した。

この発射母機はVirgin航空を退役した747-400を改造したものだ。発射母機が翼下に全長21メートルのカーボンファイバー製の2段ロケットを吊り下げて飛行できることが実証された。

Virgin Orbitが来年に予定している実際の衛星打ち上げに向けてこのテストは必須の段階だった。

テスト飛行はカリフォルニア州ロングビーチの Virgin Orbit工場に近いモハーベ・エア・スペースポートで行われた。実際の衛星打ち上げもこのスペースポートが利用される予定だ。

Virgin Orbitのチーフ・テストパイロット、Kelly Latimer空軍中佐(退役)は声明で「今日の飛行は万事順調だった。機上のクルーも地上のスタッフも機体、吊り下げパイロン、ロケットそのものから得られたデータに大いに満足した。コックピットからの感触では機体は信じられないほどスムーズに反応した。シミュレーターで訓練されたとおりの反応だった」と述べた。

同社では、LauncherOneロケット搭載、非搭載、双方の状態で747-400母機の飛行テストをさらに数回続けるという。山場はドロップ・テスト、すなわち747母機(Cosmic Girlと命名されている)からロケットを実際に投下する実験だ。

ドロップテストでは747側システムの状態と共に自由落下状態のロケットの挙動についても詳細なデータを収集する。

 

Virgin Orbitは最近急速に数を増やしつつある低軌道衛星打ち上げを目指す民間企業の一つだ。これにはVirgin Orbitを始め、RocketLab、Relativity Space、ARCA、AstroSpace、Blue Origin、Generation Orbitに加えてロッキード・マーティンやノースロップ・グアマン(Orbital ATK)などの大企業も加わり、巨額の投資が行われている。

画像: Virgin Orbit

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滑川海彦@Facebook Google+

アメリカ国防省、Virgin Orbitと試験飛行契約――747ベースのLauncherOneがいよいよ空へ

アメリカ国防省はVirgin OrbitのLauncherOneのプロトタイプのテスト飛行を契約した。Virgin Orbitが今日(米国時間11/15)発表したところによれば、国防省は同社の地球低軌道打ち上げ能力を調査するためだという。

LauncheOneのマニフェストには国防省の宇宙テストプログラムが掲載されており、実際の打ち上げは早ければ2019年1月にも実施されるという。

この契約は、国防省の宇宙ミサイルシステムセンター高度システム開発局とDefense Innovation Unit Experimentalを通じて締結された。相手方の Vox Spaceは、われわれがすでに報じたとおり、この種の政府契約を処理するために設立されたVirgin Orbitの子会社だ。

LauncherOneはVirgin Orbitが開発している再利用可能な空中発射プラットフォームで、ボーイング747を改造のベースとしている。この母機に使い捨ての衛星打ち上げロケットを吊り下げ、高空で発射するという仕組みだ。

Virgin Orbitはロングビーチの製造工場でテスト用ロケットの組み立てを完了しており、747改造の発射母機はテスト飛行の準備中だ。

テスト飛行が成功すれば、次には技術デモ衛星の実験打ち上げを行い。Virgin Orbitが低価格で低軌道に衛星を投入する能力、また随時、迅速に打ち上げ要求に答える能力などがテストされるはずだ。【略】

Virgin Orbitもこれでやっと空に飛び立つことができそうだが、われわれが報じたとおり、SpaceXは、Falcon 9による衛星打ち上げを16回成功させ、今回は国防省がノースロップ・グラマンを介して発注した極秘のペイロードを搭載した17回目の打ち上を準備 している。

そうではあっても、物事はどこからか始めなくてはならない。Virgin Orbitの得た契約がそれになるのだろう。

安全保障関係の政府の宇宙契約の窓口となっているVOXの社長、Mandy Vaughnは「LauncherOneは〔747の改造であるため〕多数の機体を短期間で製造可能だ。空中発射システムは商業的に魅力的なサービスを提供してきた。今回の国防省との契約により、われわれはこの能力を実証できることとなった。ここで空中発射による衛星打ち上げのための新しい優れた方法を実証できると期待している。国防省が示しているイノベーションと創造性を高く評価するものだ」と述べた。


〔日本版〕トップ画像はLancherOneに搭載予定のテスト用ロケット。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+