米国時間11月21日、NBAゴールデンステート・ウォリアーズ対トロント・ラプターズの試合中に演出されたイベントで、Riot Games(ライアットゲームズ)の新eスポーツ社長であるJohn Needham(ジョン・ニーダム)氏が、スポーツファンで埋め尽くされたスタジアムに「League of Legends(LoL)」のTシャツをパラシュートで落下させ、シネマティックトレーラーとともに、世界最大級のeスポーツトーナメントが北米で復活することを発表した。
これは、2022年11月に開催される「2022 League of Legends World Championship」の決勝戦が行われるサンフランシスコの最新施設、Chase Centerを、世界中から数十名のプレス関係者が集まって見学した1日のクライマックスだった。
ニーダム氏はTechCrunchの取材に対しこう語った。「2016年以来、メジャーな国際イベントを北米では開催しておらず、さらにここ数年は新型コロナにともなう渡航制限のため、カムバックが果たせませんでした。ライブイベントを再開できることに非常に興奮しており、ファンのみなさまには、スーパーボウルのハーフタイムショーのようなスリリングな演出を期待していただきたいと思っています」とも。
2011年にRiotが「Worlds」と呼ばれるワールドチャンピオンシップを初めて開催して以来、10年以上になる。マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ(MOBA)ゲームであるLeague of Legendsは、月間1億8千万人以上のアクティブプレイヤーを誇る。LoLには10のフランチャイズチームがあり、それぞれNBA関係のオーナーと繋がりがある。Steph Curry(ステフィン・カリー)氏、Michael Jordan(マイケル・ジョーダン)氏、Magic Johnson(マジック・ジョンソン)氏といったNBAのオールスター選手をはじめ、ゴールデンステート・ウォリアーズ、ロサンゼルス・レイカーズ、ヒューストン・ロケッツ、クリーブランド・キャバリアーズ、ミルウォーキー・バックス、メンフィス・グリズリーズ、ニューヨーク・ニックス、フィラデルフィア・セブンティシクサーズ、ワシントン・ウィザーズ、シャーロット・ホーネッツなどの関係者がLoLチームに出資している。
ニーダム氏によると、2020年の4600万人から2021年には7380万人のファンがWorldsの決勝戦を観戦するようになり、League of Legends eスポーツトーナメントは、Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)、AXE by Unilever(ユニリーバ・アックス)、Spotify(スポティファイ)、Bose(ボーズ)、Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)、Red Bull(レッドブル)、Coca-Cola(コカ・コーラ)、Fenty by Rihanna(リアーナ・フェンティ)などの大手ブランドを引き寄せるビッグビジネスとなっている。
「当社はファンにバリューを提供するためにブランドと提携していますが、そうした際に、両方のブランドが引き上げられることがよくあると発見しました。ブランド各社は、我々の貴重でリーチしにくいZ世代へのアクセスを得られる一方で、当社はブランドと提携することで信頼を得ることができるのです」とニーダム氏は語る。「ルイ・ヴィトンが当社のために初のデジタルファッションラインを作ってくれたことで、ファンのゲーム体験がさらに充実しました。この種のスキンは非常に人気があるため、当社のビジネスモデルの基盤となっており、圧倒的に多くの収益を生み出しています」。
Riotの巨大なファン層は、グローバルなエンターテインメント企業になることを目指す同社の資産であることも証明されている。
米国時間11月6日には、Riot初のNetflix(ネットフリックス)シリーズ「Arcane(アーケイン)」の予告編がWorlds決勝戦で流され、約7400万人のファンが視聴した。また、Riotの親会社であるTencent(テンセント)が一部所有する、3億5千万人以上の登録プレイヤーがいるゲーム「Fortnite(フォートナイト)」の中でも「Arcane」のプロモーションを行った。数日のうちに「Arcane」はNetflixのチャートのトップに躍り出て、11月8日の週には3400万人以上の視聴者を獲得して第2位となった。
北米よりも欧州とアジアで大きなプレゼンスを持つ同社についてニーダム氏は、2022 Worldsツアーを、同ゲームへの新たな関心を生み出す手段と考えている。
「創設以来、世界中で6億人以上のプレイヤーがLeague of Legendsの世界を楽しんでくださっています。チャーンして現在ゲームをプレイしていない方も、プレイインのメキシコシティ、準々決勝のニューヨーク、準決勝のトロント、決勝のサンフランシスコと、我々が北米エリアをカバーしていく中で、再開していただきたいと思っています」。
Riotは新しいプラットフォームへの進出に興味を持っているが、ニーダム氏によると、メタバースに飛び込む計画はないとのこと。
「当社と提携してNFTをやりたいというパートナーはたくさんあり、分析しているところですが、今はまだ語れるようなNFTやブロックチェーンの戦略はありません。コレクターズアイテムは、伝統的なスポーツとは異なり、eスポーツでは大きな役割を果たしていないのです」と彼はいう。「eスポーツの観点から飛び込む前に、NFT市場がもう少し成熟するのを見たいと考えています」。
また、RiotはNetflix Gaming(ネットフリックス・ゲーム)やRoblox(ロブロックス)との提携も予定していないと同氏は付け加えた。
画像クレジット:Netflix
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(文:Martine Paris、翻訳:Dragonfly)