人間性というのは6種類くらいの感情パターンで要約されてしまうのかもしれない。いくつかの国でのテストの後、Facebookは今日(米国時間2/24)、リアクション・ボタンの拡大を世界の全ユーザー向けに実施した。
この記事も6種類の絵文字を小見出に拝借した解説だ。
いいね(Like) – Facebookはリアクション・ボタンをできるかぎり広く利用してもらおうとデザインした。そこで今やあらゆる投稿に「いいね」ボタンがついている。今回のアップデートで、「いいね」ボタンにマウスを載せる(モバイルなら長押しする)とボタンが拡大され、他の絵文字アイコンが表示されるようになった。他の絵文字というのは「超いいね(Love)」、「うけるね(Haha)」、「すごいね(Wow)」、「悲しいね(Sad)」、「ひどいね(Angry)」の5種類だ。
アップデート後のFacebookの投稿には、これまでのように「いいね」が押された回数ではなく、「いいね」アイコンに加えて拡大絵文字アイコンが人気順に複数表示され、友達情報を含めてリアクション・ボタンが押された回数の合計が表示される。これは投稿を多数の文字やアイコンでごたつかせたくないFacebookとしてはなかなかスマートな解決法だ。内訳が知りたければマウスオーバーするか画面をタップすれば誰がどんな感情を抱いたかが表示される。
リアクション・ボタンがずらりと表示されないのはスマートだ。絵文字で記事が混雑することもないし、リアクション・ボタンを使いたくなければ別に使わずにすむ。
超いいね!(Love) – ニュースフィードのエンジニアリング責任者、Tom Alisonによると、ザッカーバーグ自身が「ニュースフィードの記事に『いいね!』以外の反応を誰でも簡単にフィードバックできるようなボタンが欲しい」と直接指示したのがリアクション・ボタンの拡大のきっかけだという。ユーザーが悲しい、あるいは愉快でない出来事について書くことは往々にしてある。これに「いいね」ボタンを押すことはためらわれるが、それでも共感や同情を表したいときはどうすればよいのか、という問題だった。
たとえばなにか悲しいことがあったときに「いいね」ボタンを押すのは正しい反応とは思えない。「残念(sorry)」とだけコメントするのも何か冷たい感じがする。その点、「悲しいね」の絵文字を送るのは同情ないし連帯感を表明するのによい手段だ。読者の反応が「いいね」しかないのでは投稿はポジティブなものに偏る危険性がある。その点、リアクション・ボタンの拡大はFacebookをユーザーの実生活により近づける可能性がある。
うけるね(Wow) – リアクションの多様化でFacebookは読み手の反応を通じてそれぞれの投稿の感情的意味をさらに正確に知ることができるようになった。われわれが何に「うけるね」と言っているのかを知れば、結局Facebookの知識の精度が上がる。最終的には投稿を選択して表示順序を決定するフィルター・アルゴリズムの改善に大きな効果があるはずだ。
Facebookはこう書いている ―「ある記事でユーザーがこのボタンを押した場合、われわれはユーザーがこのタイプの記事をもっと読みたいと考えていると推定する。短期的にはユーザーがどのボタンを押しても表示には影響しない。しかし長期的には、リアクションボタンが押された傾向がニュースフィードのアルゴリズムを改良し、ユーザーがもっとも関心を持つ記事を表示するのに役立つものと期待している」
「ひどいね」ボタンをよく押すユーザーにはアドレナリンの放出を促すような記事が表示される確率が高くなり、ペットの写真に好意的な反応を示すユーザーには可愛いペット写真がより多く表示されるようになる、ということだろう。
うけるね(Haha) – われわれはFacebookの投稿へのコメントにLol(笑)を多用する。そこでFacebookはワンクリックで同じ感情を表現できる方法を考えたらしい。リアクション・ボタンの拡大にあたって、Facebookはニュースフィード記事に対する1語のコメントを分類し、どういったものがもっとも人気があったかを調べた。その結果、文化を問わず、世界中で6種類の感情が普遍的だと判明した。
文化背景という点は重要だ。標準的な絵文字を決めるにあたって、Facebookはどんな文化ないし言語圏に所属する人々にも理解しやすく、使いやすくなるよう注意を払った。私は友達の投稿を読んでおおよその意味がわかる程度のスペイン語の知識はあるが、すこしでも複雑な感想となるとどんな言葉を選ぶべきか皆目見当がつかない。しかしリアクション・ボタンがあれば話は簡単だ。友達がそれを見て私の感情を正確に理解してくれることにも確信がもてる。
悲しいね(Sad) – Facebookは「いいね」の拡大にあたって、Pathのアイコンのデザインを図々しくコピーしたと思えるのだが、私の取材に対してFacebookの担当者は他のSNSから影響を受けたことをきっぱり否定した。
考えてみるとFacebookはハーバード大学の寮の一室で誕生したときから、いいものとみればコピーするのをためらわないソーシャル・メディアだった。最近ではTwitterのリアルタイムで人気記事を表示するアルゴリズムを使っているし、コンテンツが短時間で消滅するというSnapchatの特長も取り入れている。
ある種の表現には正しいやり方が1種類しかない場合がある。そういうときにはそっくりのデザインになるのはやむを得ない。特に正しいデザインを見てしまった後では他のデザインを考えるのは難しい。だが悲しいことに、他人から影響を受けたという事実を誰も認めたがらない。
ひどいね(Angry) – 「いいね」は拡大されたが、「いやだね(Dislike)」ボタンは実装されなかった。それで「ひどいね」と思っているユーザーはかなりいるようだ。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)