LINEはリアルだけでなくバーチャルな関係性まで取り込みつつある

年内に世界3億ユーザー突破を見込んでいるモバイルメッセージングアプリ「LINE」。その成長を支えている要因の一つは、家族や親しい友人間だけでコミュニケーションを楽しむ「クローズド・リアルグラフ」という概念だ。リアルなつながりをベースに拡大してきたLINEだが、実は1年前に開始したアバターサービス「LINE PLAY」を通じて、バーチャルなつながりも取り込もうとしている。

LINE PLAYは、ファッションの着せ替えやルームの模様替えを楽しめるスマホ向けアバターアプリ。2012年11月にスタートして以来、同じ趣味や興味を持った人が集まってチャットをする「ラウンジチャット」、アバターを動かしてプレイできる釣りゲーム、ダイアリー機能といったコミュニケーション機能を追加してきた。

2013年11月現在、ユーザーは世界で1300万人で、このうち680万人が海外ユーザー。マクロミルが4月に実施した調査によれば、国内ユーザーの属性は男性35.8%、女性64.2%と女性比率が高く、年齢層では12〜19歳が26.4%、20〜24歳が8.8%、25〜29歳が14.3%、30〜34歳が11.7%、35〜39歳が15.7%と、10代と20代で半数近くを占めている。

利用状況を見ると、アバター間で挨拶できる「ハート」のやりとりは57億回、ダイアリーの投稿回数は1億1000万回、ラウンジでのチャット送信回数は16億回に上る。特に2月から提供されているダイアリーは、ライブドアブログの月間投稿数(スパムなどを除外し、純粋に日記として利用されている記事)が約250万本らしいので、いかに活発に使われているかがわかる。

売上の詳細は明らかにしていないけれど、仮想通貨「ジェム」や釣りゲームの課金、企業やキャラクターとコラボした公式アバターなどが主な収益源となっているのだという。

LINE執行役員の佐々木大輔氏

日本におけるアバターサービスといえば、古くは富士通Habitat、その後はヤフーやグリー、モバゲー、ハンゲームなどがPCでゲームや掲示板を利用するためのアバターを提供し、最近ではPCの仮想空間で自分の分身を作って楽しむSecond Lifeやアメーバピグなどが登場した歴史がある。これらのいくつかは終了したり、使われていなかったりするけれど、LINE PLAY責任者であるLINE執行役員の佐々木大輔氏は、アバターサービスのニーズをこう語る。

「かつては匿名でネットを利用するのが大半だったが、最近ではLINEを含めて実名で利用するサービスが増えている。だからこそ、仮想空間でアバターを通じて会話したりゲームをしたい欲求も出てくるし、実際に多くのコミュニケーションが行われている。サービス開始から1年が経ち、インタレストグラフにも大きな市場があるとわかってきた。」

オープン・インタレストグラフの領域は、「LINEのように成長するポテンシャルがある」と佐々木氏。具体的な期日は聞けなかったが、仮想空間のプラットフォームになるべく1億ユーザーは獲得したいようだ。そうなると今後は、興味や関心でつながる人同士で音楽やショッピングの体験を共有したりと、近い将来LINEに追加されるであろうサービスがLINE PLAYに追加されてマネタイズにつながるのかもしれない。