植物と暮らしのメディア「LOVEGREEN」のストロボライトが3.5億円調達、新サービスは造園業の“代理店”

植物と暮らしをテーマにしたWebメディア「LOVEGREEN(ラブグリーン)」などを運営するストロボライトは12月25日、ニッセイ・キャピタルを引受先とした第三者割当増資を実施し、総額3億5000万円を調達したと発表した。

写真左より、ストロボライト取締役COOの川上睦夫氏、代表取締役の石塚秀彦氏、執行役員兼MIDORAS事業部長の上野真哉氏

ストロボライトが運営するLOVEGREENは、植物の育成方法や飾り方などの情報を配信するWebメディアだ。現在、同メディアのFacebookページの“いいね!”は約12万、MAUは200万人ほど。1日あたり約10本の記事が毎日掲載されている。

そして、同社が2017年2月に創刊したのが「Botapii(ボタピ)」だ。LOVEGREENと同じく植物をテーマにしたBotapiiは、全国の花屋や園芸店などに設置するフリーペーパーだ。創刊から10ヶ月が経過した現在、発行部数は8万部、設置店は1300店舗を超えた。

このBotapiiがかなりの人気を集めている。同紙の発行日には設置店が店内の商品ディスプレイと最新号を一緒に写した投稿を自主的にアップするなど、Botappiを販促に用いる例が多くあるという。でも、それだけじゃない。なんと、このフリーペーパーはメルカリで転売されていたりもするのだ。

1つだけ注意してほしいのが、これは取材の準備をしているときに僕が偶然に発見したことであり、もちろんストロボライトもこういった転売行為を奨励しているわけではない。それにしても、無料のフリーペーパーが有料で販売されている(しかも売れている)という事実には驚きだ。それだけ人気があるということなのだろう。

造園、園芸業の“代理店”を目指す

ストロボライトはLOVEGREENやBotappiといったメディアの他にも、 個人の庭づくりや植栽、法人のオフィスグリーンなどのプロデュース事業である「MIDOLAS」も展開している。

簡単に言えば、MIDORASは全国に散らばる造園・園芸事業者とユーザーをつなぐサービスだ。とは言っても同サービスはクラウドソーシングのように両者を直接つなぐわけではなく、ユーザーの要望や悩みを聞き取り、それをもとに提携パートナーへと発注するという“代理店”のような役割をもっている。造園業というものは特定の大きなプレイヤーが幅をきかせる業界ではなく、中小事業者や個人事業者が多く存在する業界だ。国土交通省が2017年5月に発表した「建設業許可業者数調査の結果について」によれば、日本全体の造園業者数は2万1000社だが、その約14%にあたる約3000社は個人によって運営されている。また、資本金が1億円以上の事業者は全体のわずか0.7%(159社)だ。

中小事業者はリソースが限られており、専門の営業部隊を持たないことも多い。それによる機会損失も少なくないだろう。MIDORASはそういった中小業者などと提携を結ぶことで、彼らが手を回せない営業やヒアリングといった上流業務を代わりに提供している。

また、MIDORASのような集約された相談窓口があることはユーザーにとっても便利だ。ひとくくりに「造園」といっても、実際には剪定業者や資材業者など様々な専門業者が関わることになる。新築で住宅を建てる場合には住宅施工業者がそれぞれの業者に発注してくれるから良いものの、既存の住宅の庭を手直ししたいと思うと消費者はどこに頼めば良いのか分かりづらかった。一方、MIDORASではストロボライトのスタッフが造園に関するニーズを汲み取り、それに沿って適切な提携パートナーに発注してくれるため、ユーザーは1つの窓口に相談するだけでいい。

2017年6月にサービス開始したMIDORASは現在、関東地区を中心に70の事業者と提携を結んでおり、これまでの受注件数は数十件の規模だという。ストロボライトは、今回調達した資金を利用してMIDORASのサービス強化やそれにともなう人材採用を行う予定だ。

花と植物がテーマのメディア「LOVEGREEN」、運営会社が資金調達

lovegreen

インキュベイトファンドが運営する起業支援プログラム「Incubate Camp 8th」にも参加していたストロボライトが9月30日、アイモバイル、SMBCベンチャーキャピタル、プライマルキャピタル、個人投資家より資金調達を実施したことを明らかにした。調達額は非公開。

ストロボライトが手がけるのは、花や植物を中心とした生活「ボタニカルライフ」の支援をテーマにしたメディア「LOVEGREEN」だ。日本にも進出する米houzzやDeNA傘下のiemoが住宅をテーマにしたメディアというならば、LOVEGREENはその植物版といったところだろうか。

ボタニカルとは、「植物の」という意味。2014年頃から飲料や美容関連の商品などでもそのキーワードが使われるようになってきた。実際アパレルやインテリアショップでも植物を販売しているケースをよく見かけるようになった気がするのだが、ストロボライト代表の石塚秀彦氏によると、「20〜40代、今までのコアな園芸層とは違う新しい層が購入している」のだという。

Instagramのハッシュタグを見ても、「#花」の投稿数は「#ファッション」の2倍なのだとか。もちろんファッションもアイテム名やブランド名、植物も品種名など粒度の違うハッシュタグが数多く存在するのでこの「2倍」という数字をそのまま人気のバロメーターと考えるわけにはいかないだろうが、植物に今までとは違う層の注目が集まっているというのは事実だろう。

その一方で、実はこれまで特化したスマートフォン向けのメディアはあまりなかったと石塚氏は説明する。キュレーションメディアなどでも花や植物を扱う記事はあるが、それはコーディネートやデザイン的な見方が中心。「育て方などについて困った際、頼るメディアやコミュニティがない状況。そういうニーズも解決していきたい」(石塚氏)。今後は広告や店舗課金、ECなどでのマネタイズを検討する。