Lucid Airが航続距離約837kmを達成、テスラを凌ぎ市販EVトップに

2021年中に上場を予定している電気自動車メーカーのLucid Group(ルシード・グループ)は、米国時間9月16日、同社が発売する高級セダン「Air(エアー)」の仕様の1つが、EPA(米国環境保護庁)による航続距離(一度のフル充電で走行可能な距離)で、520マイル(約837キロメートル)を達成したと発表した。この「Lucid Air Dream Edition Range(ルシード・エアー・ドリーム・エディション・レンジ)」の公的機関による評価は、長くこのカテゴリーで優位を保ってきたTesla(テスラ)を押しのけるものだ。

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Lucid Airの公式EPA航続距離は、テスラのいくつかのモデルと同等かそれ以上になることが期待されてきた。今回の発表は、Lucidに自画自賛する権利を与えるだけでなく、77400ドル(約850万円)から16万9000ドル(約1860万円)の間でさまざまなバージョンのAirを提供するという同社の戦略についても、少しだけ明らかにしている。

Lucidは当初、実質的に最初のフラッグシップモデルとなる「Lucid Air Dream Edition」の1バージョンのみを販売する計画だった。だが、現在はこの「Dream Edition」にも、最高出力933馬力で19インチ・タイヤを装着した場合の航続距離が520マイルの「Dream Edition Range」と、よりパワフルな1111馬力を発生するものの、同じく19インチのタイヤ装着車で航続距離が471マイル(約758キロメートル)に留まる「Lucid Air Dream Edition Performance(ルシード・エアー・ドリーム・エディション・パフォーマンス)」という2種類の仕様が設定されている。

Lucid GroupのCTO兼CEOであるPeter Rawlinson(ピーター・ローリンソン)氏によれば、この航続距離は同社の900Vバッテリーとバッテリー管理システム、小型化されたドライブユニット、そして電気ドライブトレイン技術の組み合わせで実現したとのこと。ローリンソン氏は、この数値が他のあらゆるEVを凌ぐ新記録だと確信していると言及している。

現在はすでに予約が締め切られている2種類のDream Editionの他に、LucidはEPA航続距離516マイル(約830キロメートル)を記録した「Lucid Air Grand Touring(ルシード・エアー・グランド・ツーリング)」を含む、いくつかのバリエーションの生産・販売を計画している。Dream Editionの価格は両モデルとも16万9000ドル(約1860万円)、最高出力800馬力のGrand Touringは13万9000ドル(1530万円)からとなっている。他にも目標航続距離が406マイル(約653キロメートル)で620馬力の「Lucid Air Touring(ルシード・エアー・ツーリング)」が9万5000ドル(1040万円)から、さらに出力を480馬力に抑えた廉価版「Lucid Air Pure(ルシード・エアー・ピュア)」が7万7400ドル(約850万円)からという価格で発売になる予定だ。

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Lucid Motorsが中古EV用バッテリーをエネルギー貯蔵システムに再利用へ

画像クレジット:Lucid Motors

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Lucid Motorsが中古EV用バッテリーをエネルギー貯蔵システムに再利用へ

Lucid Motors(ルシード・モータース)はラグジュアリーな電気自動車(EV)のバッテリーを2つの用途で使えるようデザインした。商業用顧客と住宅用顧客向けのエネルギー貯蔵システムをすでに実験している同社は電気自動車から出る中古バッテリーを再利用する方法にも目を向けている。

Lucidの初のEVであるラグジュアリーなセダンLucid Airは2021年下半期まで発売されないため、Lucidが数多くの中古バッテリーの処理に取り組まなければならないのは何年も先だ。それでも同社は、まだ展開されていないエネルギー貯蔵事業で中古バッテリーにどのように第2の役割を与えるかすでに計画している。

Lucidによると、同社の車両を動かすバッテリーモジュールはエネルギー貯蔵で使われる予定のものとまったく同じであるため「第2の役割」に適している。同社はすでに300kWhの設置型バッテリー貯蔵システムのプロトタイプをエンジニアリングラボに建設した、と同社の主任エンジニアでプロダクト担当上級副社長のEric Bach(エリック・バッハ)氏はTechCrunchに語った。そのシステムのバッテリーは新しいものだが、それらを中古バッテリーと交換することを妨げるような「テクニカル上の制限」はない、と同氏は述べた。同社のCEO兼CTOのPeter Rawlinson(ピーター・ローリンソン)氏は以前、Tesla(テスラ)が新しいバッテリーを使っているようなエネルギー貯蔵システムをゆくゆくは構築する計画だと述べていた一方、同社がプロダクト向けの第2の役割への応用について言及したのは今回が初めてだ。

バッテリーは通常、一度EVから取り出されると充電容量は約70%となる。つまり、もう10年ほど活用できる可能性があることを意味する。General Motors(ゼネラルモーターズ)やFord Motor(フォード・モーター)、Audi AG(アウディAG)などの自動車メーカーは、残っている価値を引き出す目的で第2の活用パイロットプロジェクトをすでに開始した。

バッハ氏はLucid MotorsのEVで使われるバッテリーを、活用できる期間の終わりに達した後に専門のサービスセンターを通じて、あるいは顧客が車両を新しいものに交換するときに回収すると説明した。バッテリーが戻ってくると、バッテリーパックからモジュールを回収して品質チェックを行う。同社の車両はそれぞれバッテリーパックからモジュールレベルに至るまでのデータを提供するビルトインセンサーを搭載していて、各モジュールの状態を判断するのに使えるとバッハ氏は話した。物理的テストを終えると、モジュールは出荷される製品に配置されることになる。

貯蔵システムには部品が追加される。家庭向けシステムではDCからACへのインバーター、冷却システム、安全スイッチが含まれる。実際のバッテリーはLucidのプロダクトと一貫性がある。

Lucidは再利用のバッテリーを家庭と産業での応用にどのように振り分けるか決めていない。

「個人的には産業向け応用でのモジュール活用がより適していて、簡単だと思います。鍵となるメトリックはkWhあたりの価格ですから」とバッハ氏は話した。

Lucidの車両がクルマの解体業者に持ち込まれた場合、バッテリーパックをLucidに返す解体業者にインセンティブを与えるかもしれない、とバッハ氏は説明した。たとえそうならなくても、EVバッテリーの原材料の価格は上昇し続けているため、解体業者がバッテリーパックを企業やリサイクル業者に販売する事業を展開することは大いにあり得る。

まだプロダクトがなく、販売も少量から中量が予想される現時点で、Lucidは材料リサイクルそのものには着手していない。当面、同社はリサイクル事業を韓国のLG化学のようなバッテリーサプライヤーに委ねる。

「長期的には我々はまだスタート地点に立ったばかりです。数年のうちにバッテリー製造と、該当するエネルギー貯蔵デバイスを作るのに必要なすべてのもののフルバリューチェーンを計画することが想像できます」とバッハ氏は話した。「ですので、将来はボリュームが増えるにつれ必ず理に適います。より多くのサプライチェーンを含めて原材料を回収する持続可能な方法にすることにチャレンジする必要があります」。

LucidはLucid Airにピンポイントでフォーカスしており、家庭用バッテリーシステムを一般の人が目にするのは数年先かもしれないとバッハ氏は述べた。それまでLucid Airには双方向充電能力が搭載される。これにより顧客はクルマから家に給電できる。

「本質的にそれは今後展開される初の家庭バッテリーシステムです」と同氏は話した。

人的に、そして資金的にどれくらいのリソースをLucidがエネルギー貯蔵事業に注ごうとしているかは不透明だ。そうした詳細は同社の正式上場後まで乏しいままだろう。同社は2021年3月に特別買収目的会社であるChurchill Capital IV Corp.との合併を通じて上場会社となることで合意したと発表した。白紙小切手会社と電気自動車スタートアップとのこの手の取引としては最大とされている。

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サウジアラビアの政府系投資ファンドが引き続き最大株主となる合併会社の株式価値は117億5000万ドル(約1兆2827億円)となる。PIPE(上場企業の私募増資)取引の価格は1株あたり15ドル(約1640円)で、仮の株式価値は240億ドル(約2兆6170億円)が見込まれる。

調達する資金はLucid AirとSUVのマーケット展開、ならびにアリゾナ州にある工場の拡張に使われる、とローリンソン氏は以前TechCrunchに語った。同社は生産能力を年36万5000台とするために今後数年にわたり3段階に分けて工場を拡張する計画だ。7億ドル(約764億円)かけた第1段階は2020年末に完了し、年間生産能力は3万台だ。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Lucid MotorsLucid Air電気自動車バッテリー

画像クレジット:Lucid Motors

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi